2019.12.16
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寝つきが悪い、眠りが浅い、すぐ目が覚める、熟睡できない…睡眠に関する悩みはいろいろです。そんなとき薬の使用もひとつの方法ですが、睡眠に関する薬には、似て非なるいくつかの種類があります。不眠症とその薬について解説します。
「眠れない」お悩みはありませんか?
不眠症にはさまざまな原因が考えられるため、自己判断は禁物。眠れない日が続いているのであれば、原因をしっかりと見極めるためにも病院での受診をおすすめします。
そして、医師から不眠症と診断された場合、一般的には睡眠薬や睡眠導入剤が処方されます。
睡眠に関わる薬について
現在使用されている睡眠薬や睡眠導入剤の多くは、いわば強制的に脳の神経活動を抑えることで入眠を促すものです。
脳の神経活動を抑えるというとちょっと恐ろしくも聞こえますが、興奮を抑えてリラックスできるように導くもの、とイメージしてみてください。
最近はこのような薬に加え、メラトニンという体内時計に関わる物質の分泌を促し、自然な眠りを促すような薬もあります。
これらは医師による処方箋が必要で、不眠の原因や体質等に合わせて、医師と相談しながら決めていくこととなります。
睡眠に関係する薬には、ドラッグストアで購入できる一般用医薬品もありますが、これは「睡眠改善薬」と呼ばれるもの。
「精神疾患等病的な原因のない人」の一時的な不眠症状を緩和するものです。
睡眠改善薬と睡眠薬の違い
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「睡眠改善薬」と睡眠薬や睡眠導入剤の違いは、処方箋を必要とするかしないかですが、これは有効成分の違いでもあります。
睡眠薬や睡眠導入剤は、前述の通り、長期に渡る不眠症に対して用いられる医薬品であり、強制的に眠れるような成分を配合しています。
これに対し睡眠改善薬は、眠気を催して自然と睡眠状態へ入れるように導きます。風邪薬や花粉症などのアレルギー薬を飲んで、眠くなった経験があると思います。
睡眠改善薬の有効成分は、風邪薬やアレルギー薬にも使用されている抗ヒスタミン剤で、覚醒物質であるヒスタミンの作用を抑えて、入眠へ導くのです。
睡眠薬や睡眠導入剤は、ふらつきを感じる、強い眠気が翌日まで続く、などの副作用がでる場合もありますが、睡眠改善薬では副作用例も少ないことが分かっています。
ただし妊娠中や、妊娠の可能性がある方は使えないので、注意してください。
OTC薬は一時的な不眠症状に!
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もし一時的な不眠症状であれば、OTC薬(薬局などで購入できる薬)の睡眠改善薬を使ってみるのもひとつ。ただし、用法用量、使用上の注意などをきちんと守り、薬に頼りすぎないということが大切です。
また、不眠の改善や睡眠の質を高める工夫をしてみるのもひとつ。
●寝具や照明、温度などを整え、眠りやすい環境をつくる
●眠る前のスマホはやめてリラックスする
●ヒーリングミュージックやアロマテラピー
なども、寝る前のリラックスタイムに有用です。
眠れない夜が続くと、「また眠れないのでは?」「朝起きられるだろうか?」といった不安が募り、ますます眠れなくなるという悪循環を招きがちです。
慢性的や不眠となる前に、「睡眠改善薬という選択肢」があることも知っておくと、助けとなるかもしれません。ただし、慢性的な睡眠問題がある場合には、必ず受診することをお約束ください。
特に睡眠というデリケートな問題ですから、慢性的にお薬を使う前に医師にご相談いただくことを推奨して、薬剤師からのお薬の紹介とさせていただければと思います。
文:鈴木渓子