産後うつを抜けた彼女の「心を休める方法」

 

すると次の回で、意外なことが起きました。彼女が、日常を書き留めたメモを持ってくるのをやめたのです。 理由を聞くと「メモも〝完璧〟にしなければいけないと思っていた」とのこと。 彼女が自分の意志で〝完璧であること〟を手放し、行動を変化させられたことを、筆者は高く評価しました。 すると彼女は少しずつ、自分の中のルールを緩めていきました。 「少しくらい自分を甘やかしても〝ダメ人間〟にはならない」と体感していくことで、少しずつ理解ができたようでした。

 

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そしてカウンセリング開始から半年ほど経過した頃、彼女は嬉しそうに「先生、昨日娘と公園に行きました」と教えてくれました。 公園に行くための事前準備をすべてやめ、思い切ってノープランで臨んでみたのだとか。 「不安になる前に動いてみたんです、なんだか大丈夫と思って…そしたら大丈夫でした」とのこと。 「不安になる前に動いてみる」ということが、彼女が見つけた「心を休める方法」のひとつでした。

 

彼女の中にある「完璧にできないと認められない」という信念が、消えたわけではありません。 でも「完璧でなくても大丈夫」という新しい信念を、彼女自身の力で見つけて、自分の新しい武器として持つことができたのです。