「産後うつ」彼女の気づき

 

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筆者から見ても、彼女は痛々しいほどに自分で自分を責めていました。 話を聞く限りでは「十分完璧にやれている」と思う家事や育児も、彼女にとっては「できていない」ので、周りの言葉が耳に入らないのです。

 

筆者は彼女の心がとても疲れている状態にあることを説明し、カウンセリングを通じて、自分なりの「心を休める方法」を見つけていくことを提案しました。 彼女は承諾し、彼女自身の願いである「子どもと一緒に公園に行けるようになりたい」ということを当面の目標に、カウンセリングがスタートしました。

 

カウンセリングがはじまると、彼女は日々の様子をとても真面目に、事細かにメモしてきました。 起きた出来事や自分の行動に「自分は役立たずな気がする」「子どもの泣き声に責められているように思う」などの気持ちを添えて。 しばらくは、そのメモに沿って「どこからその気持ちが出てきているのか」について話し合いました。

 

話し合いを重ねていると、彼女には「完璧にできないと認められない」という強い思い込みが、自分の中にあることに気づきました。 その思いが生まれた理由や経緯に触れながら「認められるとはどういうことか」「なぜそう思うのか」について、さらに理解を深めていったのです。