子どもの行動も、ハードルを下げればイライラしない

 

「自分に高いハードルを課すママは、子どもにも高い目標を設定しがちです。

習い事や勉強の成果に対して、「こうあるべき」という理想があって、それに追いついていないと口出ししたくなるんですよね。

でも、学童期までの子どもに、いきなり高い成果を求めても、ほとんどは達成できません。

子どもひとりひとりの水準にあわせて、そこから一歩ずつ積み上げていけばいいと思うんです。

その要求水準や進めかたを見直すことも、パターン崩しとして効果的です」(中島先生)

 

実現可能な行動にひとつずつチャレンジし、目標とする行動に近づいていく方法を、認知行動療法では「スモールステップ」といいます。  たとえば、夏休みの課題で絵を描かなくてはいけないとき。動物の絵ひとつ描くのでも、動物の形をなぞるだけで精一杯の子もいれば、毛の描きかたに集中して、背景に気がまわらない子もいます。 その子なりにがんばっていることを理解し、いまのレベルに一回下りてあげることが、まずは必要です。そこから「今度は毛を描こうか」「背景を描いてみようか」などと、スモールステップで積み上げていきます。

 

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家族で外食するときなども、基本の考えかたは同じ。 「走り回っちゃダメ!」「ちゃんとしてなさい!」ときびしく注意しても、子どもはじっとしていられません。でも、料理が出てくるまでのあいだに何をしていればよいか、先に考えて準備をしておくと、うまくいきます。 たとえば、家を出る前に、「あなたの好きなマンガをもっていこう。注文して、食事が出てくるまで、それ見て楽しもうね」と、段取りを組んでおく。禁止事項を押しつけるのではなく、子ども自身が望むこと、好きなことを代わりにとり入れることで、望ましい行動を自然ととるようになります。 これも、認知行動療法の基本テクニックのひとつです。