そんなきっかけがあったんですね。暮らしをシンプルに整えるために、当時は書籍やブログなど、何かを参考にされたんですか?

うーん。今から5年ぐらい前のことなんですが、当時はまだ「シンプルライフ」という発想って今ほど浸透していなくて…。まだミニマリストという言葉すらないころだったんで、断捨離をしている人たちのブログに感化されて、あぁ物を減らすっていいんだなと。育休中の一年くらいをかけて、まずは物をだいぶ減らしましたね。 ただ当時は物を減らすことが家事の効率化に繋がるとは思っていなくて。単純に「断捨離すげぇ!」みたいな。でも、そうした環境をシンプルに整えていったら、家事の手間が減って、時短になったんですよ。

 

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▲昔はたんすを空けたら服がぎっしり詰まっていたそう。

 今はシーズン問わず、家族全員の衣類が寝室のハンガーラックにすべて収まる量に厳選。

ハンガーに吊るせば、服をたたむ手間も省ける。

 

そこから、やらない家事を決めたり、家事をパターン化したり…仕組みを整えるようにしました。それによって物を減らすだけでなくムダな行動や考えが省けて、暮らし全体がシンプルになったことで、忙しくてもゆとりがもてるようになりました。


いちばん手を抜けるのは家事なんです


 そんなご自身の経験をもとに、これから復職するママになにかアドバイスをするとしたら

 

まずは、固定観念にとらわれないことですね。人は人、うちはうち。家事の正解なんて、家庭ごとに違っていいんです。 でも、最近はみんなSNSで他人の暮らしを見てるから、全部ちゃんとしなきゃいけないって思っちゃっているんですよね。 料理が得意な人は実は収納がニガテだったり、収納が得意な人は料理があまり好きじゃなったりするじゃないですか、実際は。 でも「SNSの中の人」っていうふうにまとめてしまっていて。自分も全部やらなきゃって。だから疲れちゃう。

SNSはあくまで、暮らしの一部を切りとっている場合が多いですからね

 

分けて考えて、自分と家族に必要な部分だけ参考にできればいいんですけど。でも、他人がどうしているか気にしちゃいますよね。すてきなお家に住んでいる人の生活がのぞきたい気持ちはあるから。 それでテンションがあがって、「よしやろう」と思えればいいんですけど、「私はできない!」って思う人の方が多い気がします。 でも、仕事と育児、家事って考えたら、いちばん手を抜けるのは家事なんですよ。

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▲朝食は火を使わないパンなどをワンプレートにと決めている。

 パターン化することで、毎日の考える手間を省いている。

家事にもいちおう1から10まで手順があるじゃないですか。 私は1と10さえよければ、あいだの2から9は省いたって、工夫次第でどうにかなると思っていて。ルンバや食洗機を使う方法もあるし。 たとえばお皿をワンプレートにして洗いものを減らすだけでも、その積み重ねで時間は生み出せるので。 復職して、家事が完璧にできないからって、「あぁ私は仕事がむいていないんだ」と諦めてしまうのはもったいない。