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痛みや苦味をくぐり抜けないと、大人にはなれない…映画『4月の君、スピカ。』大谷監督が伝えたかったこと

ライフスタイル

2019.04.10

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「大人にこそ観てほしい青春映画」と語る大谷監督

 

公開中の映画『4月の君、スピカ。』で5年ぶりに映画を撮影した大谷健太郎監督。杉山美和子さん原作の人気少女コミックの実写化作品は、ドラマに続き2作目となります。主人公は高校生ですが、映画を観たら、すぐにあの頃の気持ちに戻れる作品に仕上がっているという本作。「大人にこそ観てほしい」と語る大谷監督に、作品の見どころや映画を通して伝えたかったことについて伺いました。

 

CHANTO読者には懐かしい、あの作品の話もちらっと登場しています!

 

©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

—— 杉山美和子先生原作はドラマ(FOD)『花にけだもの』に続き2度目となりますが、杉山先生の原作から感じる印象について教えてください。

 

大谷監督  「女の子の願望を叶える」を描くことに長けた人です。先生はすごくチャーミングで、現場で俳優の芝居にキャッキャされたりもするのですが、それは女性がキュンとなるのはどういうことなのかを熟知されている証拠。反応がストレートでそういう感性を持っている方という印象です。その一方で、恋愛がスイートでロマンティックなだけじゃないことを表現し、痛みも苦味も容赦なく描いているところに「いいな」と共感を覚えました。『NANA』の映画化のときにもそんな気持ちを抱きました。可愛いだけじゃない、情けなさや未熟さもきちんと描かれている作品に惹かれます。

 

サブ3

 

©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

—— 『4月の君、スピカ。』の原作を読んだときの感想を教えてください。

 

大谷監督 『花にけだもの』もそうだったのですが、言い方はよくないけどヒロインの学力が低いんですよ(笑)だけど、男の子はめちゃくちゃ頭も良くて、見た目もかっこいい。男子側からすると「参りました!」と言うしかないイイ男なのですが、そんな男子からも好かれるだろうと思えるくらい人物造形が行き届いています。そんなハイスペック男子が二人もいて、一人のそんなにスペックは高くない女の子を好きになる。女の子の夢の塊が描かれていると思いました。

 

ただ、そういうキャラクターでありながら、日常にあり得る、誰もが経験したことのある関係性のうつろいをリアルに感じられる作品です。

 

 

★メイン小

©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

—— 恋愛と友情の間で揺れる三角関係がポイントになりますが……。

 

大谷監督 高校時代だけが、恋愛と友情の間で悩んだり傷ついたりする唯一の時期。中学生の頃は、恋愛が何かというのもまだつかめていないし、大学生になったら自由恋愛、個人を大事にするものです。

 

幼馴染、同級生、友情という、これまでに育んできたものを、好きな異性が現れたことでなかなか壊すことができない、その関係性を飛び越えることができない様子をすごく丁寧に表現したいと思い、ストーリーの複雑さよりも、関係性の脆さや儚さを丁寧に描くことにこだわりました。

 

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©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

—— 「原作ファンだけでなく、映画が好きな“大人”の方にも観てほしい」とおっしゃっていましたよね。

 

大谷監督 CHANTOの読者さんにも、男の子に告白してフラれた瞬間を、昨日のことのように思い出してもらえるのではないでしょうか。子どもがいるから、仕事があるからということは全く関係なく、どの人物もフったりフラれたり、傷ついたり傷つけたり。そういった出来事のひとつひとつを丁寧に描いています。こういうことをくぐり抜けないと、大人にはなれない。そういう意味では大人が観ても「キュン」としたり、痛みや苦味も思い出せる作品になっています。友情と恋愛の板挟み、そこに昔の彼女も登場してきて、関係性が複雑になる。人間関係のおもしろさを感じてもらえるはずです。

 

 

—— ハイスペック男子・深月がフラれてしまうなんて、実際には考えられないですが、そういうところもこの作品の見どころだと思います。

 

大谷監督 原作をコミックで手にしたとき、1巻は深月が表紙でした。しかし彼は星の恋心を受け入れず「僕はそういうのダメだから…」って言ってしまう。そこから物語が展開していき、すべてがはじまります。杉山先生の作品の何がすごいって、起承転結の「転」からはじまるというところなんです。「すごいですね」と感想を伝えたら「それをわかってくれたのはすごくうれしいです!」とおしゃってました。

 

※SNSにて解禁済み

©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

—— 杉山先生の作品以外にも、『NANA』や『黒執事』と原作に熱烈なファンがいる作品の映像化を手がけてきていますが、普段から漫画をチェックしたりしますか?

 

大谷監督 支持されている作品にある魅力や良さの理由を知りたいので、おもしろそうなものはないかなとチェックすることはあります。

 

—— 漫画をチェックしていて「キュン」とすることはあるのでしょうか?

 

大谷監督 「キュン」というのはさすがに難しいけれど、例えば『NANA』を読んだときには「20歳の女の子にも人生があるんだ」と思いました。『4月の君、スピカ。』なら、高校生なりの人生、リアリティがあるわけです。自分の高校時代は、はるか昔なので思い出せないけれど(笑)。その目線に立つように心がけています。大人になったら当たり前のことが、高校生のときは当たり前ではない。そういうところを杉山先生はきちんと描いています。

 

今なら「寿司か焼肉」って訊かれたら、「寿司!」「焼肉!」と即答できるけど、高校生って「寿司かな〜、焼肉かな〜」って延々と考える。経験のなさからくる、迷いの多さはこの時期特有のものですからね。そういう部分を丁寧に表現したいと思っています。

 

 

©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

—— 福原遥(早乙女星役)さん、佐藤大樹(宇田川泰陽役)さん、鈴木仁(大高深月役)さんの印象を教えてください。それぞれが演じるキャラクターはいかがでしたか?

 

大谷監督 現在放送中のドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』での福原さんの演技も観ていますが、あのような芝居ができる人だというのは、最初会ったときにわかりました。子どもと一緒に観ていた“まいんちゃん”のイメージが強かったのですが、長かった髪をバッサリ切って原作に似せてくれたんです。生まれて初めて髪を短くすることをためらわず、自分のイメージより役を考える。「この人は女優さんだ」と思いました。主役を夢見ていたこともあり、絶対にいいものにしたいというやる気が伝わってきましたね。子役からやっていることもあり、周りがすごく良く見えていて、気配りもできる。とても大人です。可愛い見た目と芯のある中身。バランスのいい女優さんです。

 

佐藤くんは、まさに宇田川泰陽という感じで、役にぴったりでした。とてもまっすぐな性格で「FANTASTICS from EXILE TRIBE」のリーダーでありながら、「EXILE」では最年少というおもしろい立ち位置にいる人。内に秘めたアツいものがありながらも、あまり表には出さないタイプです。とても可愛らしい一面もあって魅力的です。

 

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©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

鈴木くんもルックス的に、役にピッタリでハマっているという印象でした。何を考えているのか分からない、ミステリアスであることが深月の魅力。謎の部分を残して演じるようにアドバイスしたら、その塩梅をおもしろがって演じていましたね。

 

実は、佐藤くんと鈴木くんが、撮影中にジャケットをプレゼントしてくれたんです。休みの日にロケ地に近いアウトレットショップに二人で買いに行ってくれたりして。とてもうれしかったので、今も別の現場の撮影中に着ています。「監督寒そうにしてたから」なんて、かわいらしいですよね。

 

 

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映画に登場するおすすめスポットも紹介してくれました!

 

—— 演じるうえで三人にどんなリクエストを出したのでしょうか?

 

大谷監督 これは人間関係、三角関係の物語であることを伝えたうえで、自分のセリフだけを覚えて、自分の役だけを考えるのはやめようと言いました。相手のセリフも頭に入れることで、どういうキャッチボールで会話が転がり話が進んでいくのかを感じてほしかったからです。そうしたら、佐藤くんと鈴木くんが現場でセリフを入れ替えてしゃべるという遊びをしていたんです。お互いのセリフが頭に入っているので、相手を理解したうえで感じたものを演技に活かせる。キャラクターだけに依存した話ではなく、役を自分たちのものにすることで「芝居で楽しませることができる作品」に仕上がりました。

 

—— 景色がとても美しい作品です。おすすめのスポットはありますか?

 

大谷監督 星空もそうですが、星を見渡せる丘はありそうでない場所なので、ぜひチェックしてもらいたいです。桜の名所や川もとても魅力的ですし、天文台にも注目してほしいです。CHANTO読者さんには懐かしい、ドラマ『白線流し』に出てきたあの天文台が登場します。気になったら、足を運んできれいな星空を見てほしいですね。

 

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©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

 

大谷健太郎 / 監督 

映画監督。多摩美術大学卒業。『avec mon mari アベックモンマリ』(1999)でデビューし、『とらばいゆ』(2002)『NANA』(2005)『黒執事』(2014)などで監督を務める。近年は『ある日、アヒルバス』(NHK)や『恋がヘタでも生きてます』(NTV)『花にけだもの』(dTV・FOD)など、テレビドラマも手がける。

 

[作品情報]

『4月の君、スピカ。』

◉原作:杉山美和子(小学館「Sho-Comi」連載)

◉出演:福原遥、佐藤大樹(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)、鈴木仁、井桁弘恵ほか

◉監督:監督:大谷健太郎

◉配給:イオンエンターテイメント

◉公式サイト kimispi-movie.com

◉©︎2019 杉山美和子・小学館/「4月の君、スピカ。」製作委員会

取材・文/タナカシノブ

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