2018.11.20
©I KILL GIANTS FILMS LIMITED 2017
想像力豊かであることは、楽しくもあり時に苦しいこともあります。人に話しても理解してもらえることが少ないからです。
『バーバラと心の巨人』の主人公もその一人。自分を“巨人から街を守る戦士”と思い込み、巨人を撃破すべくさまざまな作戦を練っているのですが、それは実に孤独な戦いです。
映画『バーバラと心の巨人』あらすじ
目指すは巨人撃破!バーバラの孤独な戦いに理解者現る?!
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マディソン・ウルフ演じるバーバラは、いつもうさ耳をつけ、自分の殻に閉じこもり、周囲から孤立するちょっと風変わりな女の子。周囲が自分をどう見ていようと、当のバーバラは気にしていません。なぜなら、バーバラにはある使命があるからです。それは、バーバラたちが住む村にやがて襲来する巨人を倒すこと。バーバラはいたって真剣なのですが、姉も学校の友だちも「バーバラの妄想」だと思っています。
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そんなバーバラが出会ったのがイギリスからの転校生ソフィア(シドニー・ウェイド)です。ソフィアはバーバラの家庭の事情を知り、巨人の話はバーバラの幻想なのでは? と思い始めます。バーバラにもそのことを伝えるのですが、巨人打倒! を目指して進んできたバーバラにその声は届きません。それどころか、バーバラの妄想はどんどんエスカレートし、いよいよ決戦の時がやってくるのです…。
バーバラのイマジネーションには理由がある
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うさ耳をつけ、巨人を倒すために日々を過ごしてきた少女。現実的ではないと思うのが普通でしょう。なにか現実逃避しなければならない理由があるのでは? と考えてしまいますよね。実は、バーバラには乗り越えなければならない壁があります。その秘密はバーバラの家の2階に隠されています。バーバラが立ち向かわなければならない現実とは一体なんなのでしょうか?
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「誰もわかってくれない」バーバラの心の叫びが聞こえているものの、どのように手を差し伸べればいいのかわかりません。どうにかしてバーバラを救い出そうとするソフィアとスクールカウンセラーのモル先生(ゾーイ・サルダナ)の苦しさも痛いほど伝わってきます。姉・カレン(イモージェン・プーツ)も、バーバラとは違った悩みを抱えているようです。
周囲の声を聞くことで人生が変わりだす!
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自分の殻に閉じこもり、現実逃避することは、子ども時代によくあることです。嫌なことや困難なことから逃げたい!と思うことは当然の考え方です。しかし、逃げてばかりでは何も解決しません。現実に目を向け、周囲の声に耳を傾けることで、少しずつ大人になっていくのです。
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誰も自分のことを理解してくれないと思っていたバーバラも、ソフィアやモル先生の言葉に耳を傾けることがきっかけで、考え方に変化が訪れます。自分の殻に閉じこもっていて気づかなかったけれど、実はバーバラを気にかけてくれる人が周りにちゃんといたこと。そこに気づいたことで現実に目を向ける機会を得たのです。
想像の世界で生きることは楽しいし、ラクですよね。ですが、自分の思い通りにならないことがたくさんあるのが現実世界です。つらいときには妄想に浸る…。そうすることで、現実から一時避難し、平常心を保つという方法もアリかも?! 大人になったら上手にコントロールしていきたいものですよね。
[作品情報]
『バーバラと心の巨人』
◉TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開中
◉公式サイト:barbara-movie.jp
◉©I KILL GIANTS FILMS LIMITED 2017
文/タナカシノブ