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第4回|疲労困憊でも夏を満喫したいと思わせる『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

ライフスタイル

2018.08.03

2019.12.01

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ママだって、パパだって…! 夏休みが欲しいじゃないか。

 

どうも、こんにちは。映画コメンテーターの赤ペン瀧川です。

どうやら世間は夏真っ盛り。子どもたちも夏休みに突入し、家族でキャンプやバーベキュー、旅行へ出かけるなど夏を満喫している方も多いのではないでしょうか。

 

え? 僕ですか? 

怒涛のドラマ撮影に突入し、朝から晩までスタジオにこもっているので…。陽の光を浴びることなく、家族と過ごす時間も激減。“平成最後の夏を満喫しなくちゃね!”と意気込む若者を恨めしそうに眺めるだけの日々を過ごしています。

 

これじゃいけない。

ここはひとつ、夏にふさわしい映画でも観て、夏っぽさを取り返さないといけない。映画を観る時間があったらプールに連れていけ!だなんて意地悪なことは言わないで欲しい。なぜなら、僕にはこの大事な連載があるからだ。

 

それに、毎日頑張るママ、パパにだって、夏休みは必要なんだ! 夏休みだなんて大げさなことを言えなくても、ちょっぴり昔の思い出なんかに浸って、「ああ、夏がまた来たのか」って思うひとときが必要なんだ! ドラマ撮影が終わったら、息子をプールに連れていく。キャンプも約束しようじゃないか。しかし、今は! 今だけは! 映画を紹介させていただこう。

 

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▲隙があれば息子を即プールに入れてくれる嫁に感謝。

 

<一つ前の作品紹介を読む> この夏、あのヒーローファミリーが帰ってくる!『Mr.インクレディブル』

ママに捧ぐ映画 第4回 新房昭之総監督作品
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』


“夏を感じる映画”と言えば。

「スタンド•バイ•ミー」や「サマーウォーズ」、「ジョーズ」も夏感が半端ないです。いや、サメ感も半端ないですが。

 

なかでも僕が大好きなのは、1995年公開の岩井俊二監督『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』。テレビドラマとして製作された作品でしたが、あまりにも好評だったために再編集され映画化。本編も約50分ほどの短編映画です。このコラムを読んで下さっているママさんたちも、この作品をご存知の方が多いかも知れません。当時、高校生だった僕はこの作品の映像の美しさ、物語の切なさ、主人公の子どもたちのフレッシュさに打ちのめされたものです。

 

▲「短編映画でもこんなに面白い作品があるのか!」と当時の僕は驚愕しました。さん

▲「短編映画でもこんなに面白い作品があるのか!」と当時の僕は驚愕しました。アニメ版にまでなるのもうなづけます。

そして、2017年。岩井俊二監督の実写版を原作とした、アニメ版が公開されました。それが新房昭之総監督の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」です。

 

新房監督は「魔法少女まどか マギカ」など、様々なアニメ作品をヒットさせています。脚本に「モテキ」や「バクマン。」などを手がけた大根仁さんが参加しているのも要チェック。実写版では描かれていなかった、新たな運命を辿る冒険と、恋の行方が描かれています。

 

主人公なずなの声には広瀬すずさんが、典道の声には菅田将暉さんが。そして、話題になった主題歌には数々のクリエイターを魅了してきたDAOKOさんが起用され、そのウィスパーボイスに…なぜでしょう、胸がキュンとなるのは。そう、とにかく製作陣が豪華なこと、忙しい家事の合間にBGMのように流しながらちらりと見るだけでも夏のワクワク感を感じられる映画であること間違いなしです。

 

夏といえば・・・“冒険”と“恋”。

 

冒険、と、恋。

夏はこの2大テーマで描かれることが多い時期ですが、この作品も例に漏れず。

 

クラスの中でも大人っぽくてミステリアスな女の子・なずな。そして、彼女を好きになってしまった典道と祐介の3人の夏休みの1日が描かれています。少年少女の爽やかな恋の三角関係という、僕の大好物設定から映画は始まります。

 

夏休み、「地元の花火大会に行こうぜ!」と盛り上がる男子たちですが、彼らはふと疑問に思います。「花火って下から見るといつも丸いけど、横から見たら丸くなくて平べったいんじゃね?」と。男子ってバカ。凄くバカ。でもそこが愛おしい。

 

どうしても確かめたくなった男子たちは打ち上げ花火を横から見るために遠くの灯台に出かけようと計画を立てます。一方その頃、母親が再婚することで夏休み中に引っ越しが決まったミステリアス少女のなずなは典道か祐介、どちらかを誘って駆け落ちしようと計画を立てます。と、まぁ、これだけなら普通のひと夏の恋の物語ですがそれだけじゃありません。ある出来事をきっかけに、典道が“過去に戻ってやり直せる力”を手に入れてしまいます。自転車で灯台に行って花火を見ようぜ!とか言ってる場合じゃない強力なファンタジー要素が飛び込んでくるんです。

 

実写版では、“結論Aか結論Bか”という二つの道を辿りました。アニメ版ではA、Bという道を描いたところから、さらに少しずつ運命の分岐点に戻ってやり直しては、そこから先へ進むという展開に。

大人になれば、ひとつやふたつくらいありますよね。「あの時に戻って、やり直したい!」と後悔していること。「もっと早く泳げればあの子を振り向かせられたかも」とか、「好きだ!」って言えばよかったとか…ああ、甘酸っぱい。

 

今は保育園児の息子も、いつかこんな冒険と恋…するんだろうなあ。この映画を観ると、息子に言いたくなるんです。「なあ、今を生きろよ」と。

 

過去には戻れない現実を生きている僕らは、後悔しないように今を生きなきゃいけない。だから息子よ、ママに無理言ってプールを作らせ、旬のきゅうりを丸かじりする君は正しいんだ。日々、全力で夏を楽しみたまえ。ママさんたちも息子さん、娘さんたちに伝えてあげて欲しい。例え、夏休みの1日の過ごし方でも、後悔ないよう過ごしなさいよと。

 

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▲満面の笑みでキュウリを丸かじりする息子。

 

美しい夏の風景がきっとあなたにも蘇る

 

実際のところは、夏って不快なことも多いですよね。駅まで歩いただけで汗だくになるし、洗濯物も増えるし。しかし、この作品で描かれる夏はとにかく美しいのです。天気はいいし、緑も多いし、花火は綺麗。そして、過去をやり直す度に不思議な世界に迷い込んで行くことになるんですがその描写も美しい。まったく夏が足りてない僕ですが、かなり夏の充電ができたような気がします。そして、実写版から22年後にアニメ版を見るというこの体験はちょっとすごいです。22回もの夏を過ごしてきたのか…と感慨深い気持ちになりました。

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▲自転車の後ろに女の子を乗せて花火へ…。なんだか遠い日の記憶ですよね。キラキラした二人の後ろ姿が眩しい。

今年の夏は、一生に一回だけ。

僕は結婚してから今回で6回目の夏を迎えます。仕事でギュウギュウなスケジュールを見て“夏は来年もあるしなー”と夏の充実を諦めかけていましたが、これじゃいけない!と、この作品を見て思い直しました。

 

僕だけでなく、毎日ギュウギュウでも頑張っているママさんたちも、同じ気持ちで…充実した夏を諦めかけてしまう日がきっとあると思うんです。それに、近年、屋外は暑すぎます…。でも、この映画を観て美しい夏の風景を見ているうちに…やっぱり楽しんでおきたい!って思ってもらえるはず。今からでもまだまだ遅くない! 海、花火、キャンプ…さあ、家族の思い出をどう増やしましょう!?

 

[DVD Info]
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

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原作 : 岩井俊二/脚本 : 大根 仁/総監督 : 新房昭之/キャスト:なずな・広瀬すず、典道・菅田将暉

価格:3800円+税/(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会

 

<次の作品紹介を読む> 親になったらぜひ見返して欲しい名作…『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』

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