他者との距離感を考える

©︎2020映画「青くて痛くて脆い」製作委員会

人付き合いが苦手で周囲と距離を置いている楓と、理想論を掲げて周囲から浮いている秋好。他者との距離感をうまくつかめていない二人が「モアイ」を通じ、上手にバランス取れるようになっていく……かのように見えています。しかし、実際は、人と向き合えた気になっていた、だけかもしれない。楓が復讐劇に走った経緯を見れば、そう感じずにはいられません。

 

SNSやネットが良くも悪くも活躍するシーンの多い本作。いつでも誰かと繋がれる便利な時代になり、寂しいと感じることも少なくなっています。その一方で、その相手の顔や本音が見えにくいことで、知らぬ間に相手を傷つけたり、自分自身が傷ついたりすることも増えています。ツールを通しての人との付き合い方、距離感を考えると同時に、だからこそのリアルでの向き合い方も考えさせられます。