注目のキーワード

注目のキーワード
コピーしました
お使いの端末は
この機能に対応していません

鈴木おさむさん 【育休1年+ワーパパ2年で得た父親目線の気づき~後編~】

ライフスタイル

2018.07.27

2018.08.27

_MG_4883

妻である森三中・大島美幸さんの仕事復帰を応援しながら、育児に奮闘した記録を一冊の本にまとめた人気放送作家・鈴木おさむさんのインタビュー。後編では、まだまだ世の中的にはマイノリティと言わざるを得ない「育休をとったパパ」である鈴木さんだからこそ感じた、育児にまつわる社会の意識や、時代の変化の様子について。放送作家というメディアの発信者としてのご意見を伺ってみました。

 


世の中が、「残業するのはカッコ悪い」という雰囲気になりつつある


 

――鈴木さんが育休をとった2015年を含め、この数年で男性の育児も随分と社会に浸透してきた気がしますが、そうした変化は感じられますか?

 

「働き方改革」という言葉に関して言えば、ものすごく感じます。それは僕がテレビの世界にいるからとくに感じること。テレビ局って、本当に夜に会議をする業界だったんですけど、近年はそれがとにかくなくなった。こんなことを言うと怒られちゃうけど、テレビ局ってこういう時代の変化への対応が一番遅れている業界だと思うんです。だけど、今では会議も以前よりは早く終わるし、みんなが早く家に帰る。テレビ局でさえこうなんだから、多くの企業はもっともっと時間を作る流れになっていますよね。その要因には、恐らく過労死の問題なども含まれているんでしょうけれど、世のお父さんがやりたがっているかどうかは別として、世の中が子育てに割く時間は必然的に増えている潮流を感じます。

 

――それこそ、肌で感じる。

 

はい。あと、僕は育休をとった翌年に慶応大学でワークライフバランスについての講演をやったんですけど、今の大学生は男子でもハッキリと、「仕事だけではなく自分の人生をどう充実させるかが重要」と断言するんです。それを聞くと「マジで変わってきてる!」と思いますね。そういう若い世代の子たちが結婚をして子どもを持つようになったときには、いかにプライベートを大切にするかという考え方が浸透しているんでしょう。

そして、そういうことに国全体が取り組むようになってきた気もします。先日も講演会に呼ばれたんですが、それはとある自治体が男女共同参画のためのフォーラムを、予算を割いて開催しているわけです。もはや時代は、「仕事だけやっていればOKという価値観自体がカッコ悪い」という雰囲気になってますよね。残業も、カッコ悪い。

 _MG_4829

 

――そういう意味でも、鈴木さんはまさに時代の最先端を行っていたことになりますが、ご自身がご子育て世代を応援する空気を後押しした手応えはありますか?

 

まあ、男の人には嫌われたでしょうね()。実際に「迷惑なことしやがって」とか「鈴木さんだから出来ただけ」という人もいますよ。でも、空気を作ったという意味では、僕よりも妻が妊活休業をしたことのほうが影響はあった気がします。当時は、「妊活」と表立って言う人も、それで休業を世間に発表することもありえなかった。こんな発表をして「もし子どもが出来なかったらどうするんだ」と叩かれるのもわかってましたよ。だけどそれでも世に向けて言うことで、不妊治療という言葉に替わって妊活という言葉が流行ったり、企業によっては妊活休業を制度に取り入れてくれたおかげで安心して会社を休めた人もいたと聞きました。そういう期間を経験してきて、僕自身も夫として、個人として、世の中に何かお返ししなくちゃいけないなというのが、育休をとった一番の理由なんです。

 

――そして、育休をとったことでいろんな世界が見えた。

 

自分の時間の使い方は確実に変わりました。人生ってたぶん、階段の上り下りの連続。極端な話、育休をとったことで減った仕事や降りた階段もありますよ。だけど降りたことで見えた別の階段や景色だってある。手放したものも多いけれど、年齢的にも同じ階段に居続けるのも辛かっただろうし、子どものおかげで、そういう切なさみたいなものから離れる理由にもなったんですよね。そこは素直にありがたいです。

 _MG_4768

だけど、自分がもし20代だったら、たぶんこんな気持ちにはなれなかった。僕にとって、仕事の酸いも甘いもある程度わかった40代で子どもを授かれたのは本当に良かったんです。たとえ叩かれても、応援してくれる人がたくさんいることも知ることが出来ました。もちろん、40代で親になったからこその不安もありますよ。息子が二十歳になったら、自分は60代か…とかね。だけどそんな回り道も、まあいいじゃんとも思えます。

 

 


 親の居場所に子どもが来て楽しむというのも、どんどんやったらいい




――お話を伺っていると、男性の育休はいいことづくめの気がしてきますが、それでも世の中の多くのパパには、そうした声がなかなか届きません…。

 

でも、以前は100人に1人くらいの割合だった男性育休も、100人に3人くらいにはなってきてるんじゃないですか。世の中の変化って、それくらい少しずつだと思うんです。だからこそ、男性目線の育児本が僕は心底ヒットして欲しいんですよ。だって、ものすごくヒットすることで時代って変わることがあるじゃないですか。僕がモノ作りをするうえで常々考えているのは、そのときの価値観を大ヒットによって変えたいということ。例えば最近だと、「3040代の大人が観に行くラブコメが日本映画界にあってもいいじゃないか」という思いから『ラブ×ドッグ』という映画を製作しました。興行的には正直あまり成功したとは言えないけれど、そうやって「世の中を少し変化させる入り口に立ちれば…」と思うんですよね。

_MG_4822 

だから、この本がヒットすれば、育児するパパの話をあまり聞きたくないお父さんの耳にも自然に入るかもしれないですよね。僕の仕事の経験上、全く興味がない人に興味を持たせることは難しくても、少し興味がある人にものすごく興味を持つようにさせることは、意外とできるものだと思ってるんですよ。で、この本が少しでもその力になれれば、子どもをとりまく笑顔も増えて、そういう人を見て周囲も変わっていくかもしれないですよね。

 

――ぜひとも、世のパパたちにも、この本をきっかけに育児の喜びを知って欲しいですね。

 

そう思います。そういえば先ほどの映画を撮った際、僕が唯一後悔したことがあるんです。それは、現場に関わる誰もが我が子を連れて来られる日を設けなかったこと。予算やスケジュールを考えたら、僕にはどうしてもその決断が出来なかった。そんな話を本広(克行)監督にしたら、「僕は毎回やってますよ」と言われ、「うわーっ、やる人はちゃんとやってるんだ!」と悔しくなったし、同時にこういう人が同じ業界にいるんだと嬉しくもなった。普段、あまり子どもと関わる時間を持てないお父さんも、本当は自分の職場に我が子を連れてきたいだろうし、仕事ぶりを見せたいと思っているはずだと思うんです。だからこそ、権限のある立場の人間がいろんな軋轢や確執をぶっ飛ばしてでも、他のお父さんの意識を変えるきっかけ作りをやるべきだったなって。なので、次の機会があったら、絶対に「子どもOKデー」は作るつもり。この日だけは役者もスタッフの垣根もなし! お互いの撮影もOK! 

 _MG_4864

 

――子どもの会社見学が行われている企業も世の中にはありますよね。

 

そういうの、すごくいいですよね。保育園に夏祭りがあって、そこに親子で行くのと同じように、親の居場所に子どもが来て楽しむというのも、どんどんやったらいいと思うんです。こういうことを言うと、今度は「子どもが出来ない人にも配慮を」などと言われたりするけれど、時代を良くしていくためにも、そこは開かれていく方向でいいじゃないですか。

 

 

profile

_MG_4746

鈴木おさむ

1972年生まれ、千葉県出身。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。

バラエティーを中心に多くのヒット番組の構成を担当するとともに、映画・ドラマの脚本や舞台の作演出、小説の執筆等さまざまなジャンルで活躍。200210月には、交際期間0日で森三中 大島美幸さんと結婚。「『いい夫婦の日』パートナー・オブ・ザ・イヤー 2009」「第9回ペアレンティングアワード カップル部門」を受賞。『ママにはなれないパパたちへ』(マガジンハウス刊)が好評発売中。

 

取材・文/井上佳子 撮影/藤沢大祐

 

鈴木おさむさんのインタビュー記事前編はコチラをcheck

あなたにオススメの記事

ライフスタイルテーマ : 【芸能人インタビュー】その他の記事

芸能人インタビュー
もっと見る