2018.11.29
漫画やアニメは空想の世界を描いた作品が多く、エンターテインメントとして楽しめますよね。ただし、いじわるな見方をすれば「これって現実世界ではありえない?」と気になる部分も。実際に“法律家”がアニメを分析すると、どんな事実が判明するのでしょうか?
「出入国管理違反」にあたる「どこでもドア」
11月12日放送の『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)では、「弁護士がアニメのコンプライアンスをチェックする」という斬新なテーマを特集。「確かにそうだ」と納得の指摘もあれば、「アニメだからしょうがないよ…」と思わずツッコみたくなる指摘もありました。
まずピックアップされたのは、国民的アニメの「ドラえもん」。秘密道具の中でも登場回数の多い「どこでもドア」は、使うと「密出国」になってしまいます。弁護士の菊地幸夫先生によると、「税関の審査を通らず他の国に行くのは、出入国管理違反」にあたるそう。
続いて「欠陥住宅」と「道路運送車両法違反」の疑いがあるのは、映画『ハウルの動く城』に登場する「ハウルの城」です。映画では壮大なスケールで動く“お城”が話題を呼びましたが、菊地先生曰く「(城が)動くので車両の一種ととらえられる。あと曲がる時ウインカーが出ていないし、止まる時もブレーキランプがついていない」との指摘。
他にも、映画「君の名は。」では2つのシーンが指摘の対象となります。まずは女子高生の三葉が「口噛み酒」を作るシーンで、こちらは「密造酒」の疑いがアリ。また高校生の瀧くんが「口噛み酒」を飲むのも「未成年禁酒法違反」です。
アニメへの“マジレス”にネット上で反響続出
2001年に公開された映画『千と千尋の神隠し』は、国内興行収入No.1をいまだにキープしています。菊地先生によると、問題となるシーンは千尋のお父さんが「トンネルの手前で車を止める」場面。「落ち葉が車に溜まるほど停まっているので、『自動車の保管場所に関する法律違反』」となる可能性があります。
ネット上で「それを言ったらおしまいだよ!」とツッコミが入ったのは『ルパン三世』。
言わずと知れた名作で、「ルパン三世」が警察から逃げつつ華麗に“盗み”をはたらきます。「銭形警部」とのライバル関係が見どころですが、菊地先生は「(ルパン三世は)常習累犯窃盗犯」とバッサリ。
“タブー”とも言える「アニメのコンプラチェック」には多くの反響がありました。「ドラえもんの道具は法律と照らし合わせたら大体アウトだよ!」「動く城は違法建築って知らなかった」「千尋が現実世界に戻って来た時、車に駐禁貼られてたら萎えるでしょ…」などの声が続出。また「アニメにマジレスするこのコーナー好き」と、あえてまじめに分析する企画が好評だったようです。
ペンライトを隠して持っていると犯罪になる!?
アニメの中で起こる「コンプラ・法律違反」は他人事ですが、実は日々の暮らしの中でも“軽犯罪法”はかなり身近な法律。刑事事件に強いことで有名な「泉総合法律事務所」の公式サイトから、「法律違反にあたる行為」をいくつかピックアップして見ていきましょう。
日常でよく利用する、電車やバスなど公共の機関。この公共の場で“行列に割り込む行為”をすると、「行列割込み等の罪」にあたります。条文中には「演劇など切符を買うための行列」とも記載があり、割り込みのほか“列を乱す行為”も違反の対象。
また昨年「懐中電灯を持っていた」理由で、ある男性が“軽犯罪法違反容疑”で逮捕されました。疑いのかかった罪は「侵入具携帯の罪」で、“正当な理由がなく、他人の家や建物に侵入する際に使われるような器具を隠して携帯する”行為が違反。条文の中には「ペンライト」も対象になると記載されています。
どんな行為がコンプライアンスや法律違反にあたるのか、一度詳しく知っておいた方がいいかもしれませんね。
文/牧野聡子