2018.10.29
出版不況と言われている中で、一定数の顧客を獲得しているのがカフェと一体型になったブックカフェ。購入前の本をカフェスペースに持ちこんで試し読みができるので、カフェ感覚で本屋に立ち寄ることができますね。いいこと尽くしのように思えますが、一部の人から見ると不評なようで…?
カフェ×本屋はナイスアイデア?
現在話題になっているのは、本屋に隣接されている「ブックカフェ」での読書について。「3冊まで持ち込み可能」「撮影やメモをしない」といったルールがありますが、基本的には新品の本をコーヒーやお菓子とともに楽しむことができます。ところがある女性は、持ちこんで本を読み始めた時点で新品ではなく古本になってしまうのでは? という疑問を抱いているよう。
この違和感に賛同する人は多いようで、「水滴とかページのよれがあるやつをわざわざ買わない」「立ち読みを促進するようなことはやめてほしい…」「人が触ったものは買う気になれません」「そんなに読みたいならマンガ喫茶に行ってくれ! って思っちゃう」といった声がネット上には続出。
しかし一方では、「食べ物を提供している店は少ないから、食べかすは気にならないかな」「買うときはビニールがついたものを買うようにしてるから問題ないかも」「カフェを利用してる人も大人なんだしある程度のマナーはあるものだと思ってる」といった声も多く上がっていました。
利用者が語るブックカフェの魅力
“ブックカフェでの読書”について意見が分かれる中で、実際に利用している人はどう感じているのでしょうか。
頻繁に利用している人からは、「比較的ゆったりと本を選ぶことができるので、どうしても気になった本を眺めたい時に利用するかも」「ゆっくりと本を吟味した上で買えるからありがたいシステム」「カフェが入っているとお店の雰囲気が柔らかくなって好き」「新しい本と出会うきっかけにちょうどいいから、変化が欲しい時に行きたくなる」といったプラスの面が語られています。
また出版不況から、電子書籍や電子コミックが主流になってきたことも関係しているよう。「まずは雑誌や文庫本を手に取ってもらうところからスタートっていうイメージかな」「文庫本ならではの良さを感じてもらうために、読みやすい環境を作ってる気がする」「電子書籍だと試し読みできないから、紙媒体ならではの戦略」と受け入れている人も少なくないようでした。
最先端ブックカフェはコレ!
ここ数年でガラッと本の販売形態が変わってきましたが、ブックカフェ業界の中でもまだまだ進化は進んでいるよう。
今年の8月に箱根にオープンしたのは、「本との出会い」がテーマのブックホテル「箱根本箱」です。「本箱」というネーミングは、本と箱根をかけ合わせたもの。同施設の中にはブックストア、レストラン&カフェ、シアタールームなどを完備しています。また各界の著名人がセレクトした本が集まる“あの人の本棚”が館内に出現し、自由に手に取ることができるんだとか。ホテルの部屋によっても置かれている本が異なるので、何度来館しても楽しめそう。
東京・池袋には「梟書茶房」というブックカフェが登場。ラウンジやテラス、キッチンなどのエリアに分かれていて、好きな場所で読書を楽しむことができます。中には「シークレットな本屋さん」と呼ばれる本棚があり、本に書かれた“あおり”だけで本をセレクトしていく仕組み。ブックカバーには次におすすめのブックナンバーが書かれているので、次々と本の世界が広がっていきますよ。
カフェと併設することで、より身近に本が感じられるブックカフェ。一度訪れてその魅力を堪能してみてはいかが?
文/牧野聡子