2018.07.07
2020.12.02
4年に1度の熱戦が連夜繰り広げられている、サッカーの祭典FIFAワールドカップロシア大会。残念ながら決勝トーナメント第1回戦・対ベルギー戦で、後半アディショナルタイムでの逆転負けという歴史的な惜敗を喫した日本。日本サッカー史上初の「ベスト8」が見えていただけに、日本中が残念がりつつも、闘志あふれるプレーを見せてくれた日本代表には拍手喝さいでしたね。
そんな感動を与えてくれた侍ブルーに感謝を込めて、ロシア大会で大活躍した日本代表選手や対戦国に関する「へぇ~」なお話を、大会のおさらいがてらお届けします!
(信じるも信じないも、あなたしだいです)
「大迫半端ないって~!」の生みの親には一銭も入らない!?
ワールドカップ2018年ロシア大会で一躍名を挙げた選手と言えば、第1戦の対コロンビア戦で値千金のゴールを決めた大迫勇也選手でしょう。
この時、スタジオで掲げられた「大迫半端ない」という応援ボードで話題になった「半端ないって!」は、いまや今年の流行語の最有力候補とまで言われるほどの人気に。といってもこのキャッチフレーズは今大会で生まれたものではなく、9年前の高校時代にスーパープレーを連発した大迫選手に、対戦高校の中西隆裕主将が「大迫半端ないって~!!」と絶叫する姿がテレビで報じられ、あまりにインパクトの大きな映像に、サポーターの間で応援ボードやTシャツがつくられるなどの大人気となった定番ネタなのです。
しかしこの「半端ないって」の生みの親である中西さんは、その後、大学でもサッカーを続けましたが、卒業後はメガバンクへ就職し、サッカーの第一線を退いています。サポーターの応援ボードぐらいならともかく、業者が大量に生産して販売しているTシャツなども、本人には許可を得ていませんが、「半端ないって」のワンフレーズぐらいではなかなか著作権は認められにくいようです(ただし、中西さんの絶叫する顔写真などを無断で使った場合は、肖像権の問題が発生します)。
生みの親なのになんの恩恵にあずかっていないのは気の毒な気もしますが、現在は有能な営業マンとして働いているという中西さんにしてみれば、営業トークとしてこれ以上のネタはないかも!?
1回のごはんで16回おかわり!?“半端ない”大迫勇也伝説
その大迫勇也選手は、涼しげなたたずまいで女性人気も高く、次世代の日本代表をになう大物ストライカーとして期待されています。
対戦国の筋骨隆々とした選手に混じると細身にすら思える大迫選手ですが、中学時代はごはんを16杯おかわりするなどしてからだを作ってきたという“半端ない”伝説の持ち主。
負けず嫌いな性格で知られる大迫さんですが、「半端ないって!」が人気となり、大迫選手の応援フラッグに自分ではなく中西さんの顔が描かれ大迫選手の名前がないという逆転(?)現象が起こった時も、「いいんじゃないですか」と余裕の笑みを浮かべていました。
サッカーに対してはとにかくストイックで、高校時代に最後の試合を終えてみんなで「お菓子を食べよう、夜更かししよう」となった時、チョコ1かけを食べて夜9時には寝ていたという話も伝わっています。
熱戦を繰り広げた日本は世界の話題をさらい、エースストライカーの大迫選手は、海外でも「HANPANAI」が紹介されるなど、特に注目を集めています。現在はドイツ・ブンデスリーガのヴェルダー・ブレーメンで活躍していますが、さらなる飛躍が期待されます!
日本一“セクシー”!? 乾貴士伝説
大迫選手と並んで、ロシア大会で華麗なゴールを連発して注目を浴びたFW乾貴士選手。日本の敗退が決まったベルギー戦直後の涙のインタビューも話題に。
乾選手と言えば、ふだん見せる無邪気な笑顔が女性にも人気ですが、サッカーファンの間で有名な二つ名が“セクシー・フットボール”。色っぽいサッカーって、どういうこと!?
滋賀県にある野洲高校出身の乾選手は、高校2年生の時に全国高校サッカー選手権大会で優勝、夢の全国制覇を成し遂げています。その際、乾選手を筆頭とするチームが高校生離れしたテクニックを駆使した高度なプレイを連発したことから、「華麗で美しいサッカー」という賞賛の意味で“セクシー・フットボール”と呼ばれることになったそう。
ちなみにふだんの乾さんは、一人息子をかわいがる子煩悩パパとしても有名。現在はスペインのリーガ・エスパニョーラのレアル・ベティスに所属し、単身赴任中ですが、ロシア大会は妻子ともに現地で観戦・応援しています。
NHKが地上波放送した日本代表の試合は勝てない!?
ロシア大会は時差の関係で日本ではほとんどが夜半~深夜にかけての試合放送となり、寝不足を抱えて仕事に向かった人も多いのでは?
しかし、ワールドカップのテレビ放送に、とある都市伝説が…!
なんと、「地上波放送をNHKが行う試合は、日本は勝てない」というもの。
1998年フランス大会では、計3戦すべてを放送し、3戦全敗
2002年日韓大会では、計2戦を放送し、対ベルギー戦は引き分け、対トルコ戦は負け
2006年ドイツ大会では、計2戦を放送し、2戦とも負け
ちなみにドイツ大会では、唯一テレビ朝日が放送した対クロアチア戦は引き分けていることも、この伝説に拍車をかけたよう。
しかし、2010年南アフリカ大会では、初戦のカメルーン戦1戦のみの放送でしたが、1-0で見事日本が勝利! 伝説を打ち破ったかに思われたのですが…。
2014年ブラジル大会では、初戦のコートジボワール戦1戦のみを放送し、1-2で負け
そして、2018年ロシア大会では、初戦のコロンビア戦1戦のみを放送し、1-0で日本が勝利!
というわけで、2010年以降は勝ちと負けが交互に来ているよう。伝説の通りなら、2022年のカタール大会でのNHK放送試合の結果が心配です…。
ポーランドは1次リーグ敗退が決まってからは100%勝つ!?
ヨーロッパから出場した国で最初にグループリーグ敗退が決まってしまったポーランド。日本とはグループリーグ第3戦で対戦しましたが、その時点ですでに2敗し、決勝トーナメント進出の可能性はありませんでした。
となると、日本としては「消化試合」を期待したいところでしたが、苦難の歴史の続く中で何度も復興し“不死鳥”と呼ばれる国だけあって、とんでもない伝説を持っていました。
なんと、「開幕2連敗を喫しながら、予選敗退が決まった後の3戦目で勝つ」というのです。2002年日韓大会、2006年ドイツ大会と、2連続でこの結果。
そして3大会ぶりにこの2018年ロシア大会に出場すると、初戦はセネガルに1-2で敗れ、続く第2戦もコロンビアに0-3で敗戦。最終節の第3戦が、対日本戦だったのです。
そして、その結果は…!?
そう、1-0でポーランドが勝利! 最後に一矢報いた形で、ロシア大会を終えました。日本にとってはグループリーグ唯一の敗戦相手が、すでに敗退の決まったポーランドということになります。
これでポーランドは、直近3大会において「1次リーグで2連敗した後の3戦目の勝率は100%」!! 伝説としては十分です。
おそるべきポーランドの底力…!
前の大会で優勝した国は次の大会で決勝トーナメントに進めない!?
ワールドカップの覇者ともなれば、優勝国は巨額の賞金(2018年ロシア大会で約43億円)とともにたいへんな栄誉を手にし、選手たちは国の英雄として称される立場に。
が、その栄光も長くは続かないようで…。
実は、「前の大会の優勝国は、次の大会で1次リーグで敗退する」という都市伝説があるのです。実際、
- 2010年南アフリカ大会のイタリア
2006年ドイツ大会で優勝
↓
2010年南アフリカ大会で、2引き分け1敗で1次リーグ敗退
- 2014年ブラジル大会のスペイン
2010年南アフリカ大会で優勝
↓
2014年ブラジル大会で、1勝2敗で1次リーグ敗退
と、そうそうたる強豪国が、この都市伝説通りに1次リーグで敗退しています
さらに、少しさかのぼって2002年日韓大会のフランスも同様に「前大会で優勝、次大会で1次リーグ敗退」の憂き目を見ています。
では、2018年ロシア大会ではどうだったのでしょうか?
前回2014年ブラジル大会で優勝したのは…ドイツ!
ドイツはご存知、過去4回もワールドカップを制し、FIFAランキングは堂々1位!(※2018年6月時点) 文句なしに世界一のチームと言えるでしょう。
が! そのドイツは、初戦の対メキシコ戦を0-1で落とすと、続く第2戦の対スウェーデン戦を2-1で勝利するも、第3戦の対韓国戦では2-0で惨敗し、なんと1次リーグで姿を消すことに。この不名誉な伝説に名を連ねる結果となりました。
さて、この都市伝説にをデータから見ると、より説得力がまします。
というのも、過去の5大会での記録をもとにしたデータでは、初戦で勝った場合、85%のチームが1次リーグを突破したものの、引き分けの場合は55%、そして負けた場合はわずか11%しか勝ち上がることができなかったのです。3大会連続となった「前大会覇者が次大会で1次リーグ敗退する」という伝説も、3国とも初戦を敗戦または引き分けで終えています。ワールドカップで「初戦が大事!」といわれるのは、データに基づいていたのですね。
コンフェデレーションズカップで優勝した国は、W杯では勝てない!?
伝説No.1と似ていますが、こちらもまことしやかにささやかれている伝説のひとつ。
ワールドカップの前哨戦ともいうべきコンフェデレーションズカップは、ワールドカップの前年(または前々年)に開催されます。ここで優勝した国は、ワールドカップでは優勝できないという不吉な言い伝えがあるのです。
実際に、過去20年の結果を見てみると、
1997年コンフェデレーションズカップはブラジル
↓
1998年フランス大会の優勝国はフランス
2001年コンフェデレーションズカップはフランスが優勝
↓
2002年日韓大会で優勝したのはブラジル
2005年コンフェデレーションズカップはブラジルが優勝
↓
2006年ドイツ大会で優勝したのはイタリア
2009年コンフェデレーションズカップはブラジルが優勝
↓
2010年南アフリカ大会はスペインが優勝
2013年コンフェデレーションズカップはブラジルが優勝
↓
2014年ブラジル大会はドイツが優勝
となっています。ブラジルはコンフェデレーションズカップを3連覇したのに、ワールドカップでは優勝できなかったんですね…。
そして、ワールドカップ2018年ロシア大会のプレ大会となる2017年のコンフェデレーションズカップを制したのは…ドイツ!
そのドイツのワールドカップでの結果は、1次リーグ敗退。伝説は続きます…。
バロンドール受賞者のいるチームはワールドカップで優勝できない!?
毎年、世界最高のサッカー選手に贈られる「バロンドール」。受賞者は、名実ともに世界一の栄誉をほしいままにします。当然、各国代表にも選ばれ、ワールドカップでも活躍が期待されます。
しかし、「ワールドカップ前年にバロンドールを獲った選手のいる国は、ワールドカップで優勝できない」というふしぎな結果に…。
こちらも過去20年の結果を見てみると、
1997年のバロンドール受賞者はロナウド(ブラジル)
↓
1998年フランス大会の優勝国はフランス
2001年のバロンドール受賞者はマイケル・オーウェン(イングランド)
↓
2002年日韓大会で優勝したのはブラジル
2005年のバロンドール受賞者はロナウジーニョ(ブラジル)
↓
2006年ドイツ大会で優勝したのはイタリア
2009年のバロンドール受賞者はリオネル・メッシ(アルゼンチン)
↓
2010年南アフリカ大会はスペインが優勝
2013年のバロンドール受賞者はクリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル)
↓
2014年ブラジル大会はドイツが優勝
世界一の選手を擁していても勝てない…。ワールドカップって厳しいですね!
ほかにも、アルゼンチンのスターにして、現代サッカーにおいて3本の指に入るとされるリオネル・メッシ選手は、同国の伝説的OBであるマラドーナさんが応援しに来たワールドカップでは輝けないという伝説も。
実際に、ロシア大会では初戦の初出場した小国アイスランドを相手にPKを失敗して引き分けると、第2戦ではクロアチアを相手に3-0の惨敗。伝説は更新されてしまうのかとみながハラハラしていたところ、第3戦の対ナイジェリア戦でようやく1ゴール! 「神のよう」と絶賛されたスーパーゴールに、マラドーナさんも大興奮して大喜び!
残念ながら、その後、決勝トーナメント第1戦でフランスに敗れたため、アルゼンチンを優勝に導いたマラドーナさんとの伝説の真偽はあやふやなまま今大会を終えました。
何はともあれ、下馬評を見事に覆し、世界の強豪と互角に渡り合う姿を通して私たちに勇気と感動を与えてくれた日本代表。
今回、新たに感じた都市伝説としては、「日本代表は前評判が低いほど、本選では輝く!」ということでしょうか。過去も監督との関係が良好と言われた大会ではグループリーグで敗退し、直前の戦術変更など不安要素が強いと心配された大会では本番で好成績を収めています。今回もそのパターン。となれば、次回はあらかじめ厳しい目で応援すると、本番ではよい結果を残せるかも!?
2年後の2020年東京オリンピック/パラリンピック、4年後のワールドカップ2022年カタール大会を目指して、さらに羽ばたいてほしいですね!
◆ライタープロフィール
ライター:ぽにょこ
三度の飯より雑学やトリビアが好きなサブカル系ライター。日々、「人生の役には立たないがちょっと楽しくしてくれる」ネタを追い求めている。