2019.09.25
寝起きの朝に、職場での眠気覚ましに、おやつのお供に…「コーヒーが大好きで一日に何杯も飲んでしまう」といった方もいるのではないでしょうか。そうした中で「カフェインの過剰摂取」が問題となっています。
リラックスしたい時や集中したい時に飲むコーヒーですが、摂り過ぎてしまうことで、「カフェイン中毒」となる危険性があるとのことです。もしかしたら、さまざまな不調の原因もカフェインにあるかもしれません。
そこで、今回はカフェイン中毒にならないための「安全量」についてまとめてみました。
改めて知りたいカフェインの作用とは?
カフェインは、コーヒー以外にも、日本茶や紅茶、ウーロン茶、チョコレートなどにも含まれており、古くから嗜好品として愛されてきました。
カフェインが持つ効果の1つに、眠気覚ましがあります。主に、脳の中枢神経系を興奮させることで、眠気を払ったり、集中力を高める効果が得られるのです。
このほか、カフェインの効果には、利尿作用や鎮痛作用といったものもあります。カフェインを摂取すると交感神経が刺激され、それに伴い腎臓の血管が拡張します。
腎臓は血液をろ過し、体内の老廃物を尿として体外へ出す働きをしています。カフェインを摂取して血管が拡張することにより、ろ過される血液の量が増えて排尿の働きが強まるのです。
カフェインには血管を収縮させる働きがあります。そのため、血管の拡張による頭痛などに対して効果があるとされています。風邪薬や頭痛薬などの医薬品の箱の成分表示を見ると、カフェインが使われていることがあります。
一方で、摂りすぎると、心拍数の増加、不眠、下痢などを起こすことがあります。特に妊娠中の場合は、流産や胎児への影響などのリスクもあるので、控えるようにと言われています。
カフェイン中毒とは?
カフェイン中毒とは、カフェインを摂り過ぎてしまうことによって引き起こされる中毒のこと。
要因の1つに、「カフェイン耐性」というものがあります。これは、繰り返しカフェインを摂り続けることで、体がカフェインに反応しにくくなる状態のことです。
さらに多くのカフェインを摂りたくなってしまう、「カフェイン依存症」というものもあります。それら2つが同時に起きてしてしまうことによって、継続的かつ多量に、カフェインを摂り続けてしまうことになるのです。
1日に摂っても大丈夫なカフェインの量には、基準があります。もし、その基準の量を大きく超えた場合には、次のような症状が出る可能性があるのです。
【身体的な症状】
・胸痛
・頻脈
・嘔吐
・頻尿
・呼吸困難
【精神的な症状】
・落ち着きがなくなる
・感覚過敏になる
・興奮する
・不眠などがあります。
重要なのは、上記のような症状が見られ、本人がその症状に対し苦痛を感じているということ。さらに、その症状が原因で社会生活にも支障が出ている場合に、「カフェイン中毒」と診断されることです。
「カフェイン中毒」になった状態で、カフェイン摂取を止めようとしても、離脱症状が起きてしまいます。具体的な離脱症状としては、頭痛や眠気、便秘、うつ、神経過敏、不安などがあります。
近年多発していることから、農林水産省のサイトでも「カフェインの過剰摂取について」の注意喚起を行っています。
安全なカフェインの量は3mg/kg体重が目安
欧州食品安全機関(EFSA)は2015年にカフェインに関するリスク評価を発表しています。それによると、大人の場合、カフェインの摂取量が3mg/kg体重であれば急性毒性の心配はないとのことです。
仮に体重60kgの場合、1回180mgであれば大丈夫と考えられます。ちなみにレギュラーコーヒーに含まれるカフェインの量は、コーヒーの種類にもよりますが、1杯100~150mlとすると約40~90mgが含まれているといわれます。
また、妊娠中の場合を除き、大人の場合は、一日あたり400mgまでであれば、健康リスクは増加しないとしています。同様に、妊娠中の場合は、一日あたり200mgまでとされています。
子どもの場合は、習慣的なカフェイン摂取に関する研究が進んでないため、確実とは言えないものの、3mg/kg体重/日までが安全とみなされています。体重が40kgほどであれば1日約120mgまでならば、カフェインを摂っても大丈夫、ということになります。
特に近年は、エナジードリンクの過剰摂取が問題となっています。成長期にある子どもに関しては、カフェインのない飲み物に切り替えるなどしたほうがよさそうです。
ノンカフェイン飲料の上手な活用を
「もしかしてカフェインの摂り過ぎでは」とドキッとした方もいるかもしれませんね。これからは、カフェイン量を確認してから買うようにするとよいかもしれません。特に子どもたちには、ノンカフェインのドリンクをあげるように気を配りたいものです。
最近は、カフェイン抜きのコーヒーや紅茶、ハーブティーなども販売されるようになっています。種類も豊富になっているので、家族の健康を考えてチェックしてみてはいかがでしょうか。
【参考サイト】
欧州食品安全機関(EFSA)、カフェインの安全性に関する科学的意見書を公表(食品安全委員会)
文/小野寺香織