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親子で地元の伝統芸能体験【母親編】

ライフスタイル

2018.04.24

子供に勧める前に親が体験してみました!


親というものは勝手なもので、子供時代に自分が実現出来なかった事を、“自分の子供にはさせてみたいな”という考えが頭をよぎることがあります。もちろん自分の体験に基づき「楽しい」と思ったことも勧めますが、昔叶えられなかった憧れも勝手に勧めたくなるという矛盾した気持ちを持つことも結構あります。

私の場合、子供時代に楽器(ピアノやフルート、バイオリン等)を習いたかったのですが、親に許してもらえず、密かに“いつか楽器を演奏したい”という憧れを持ちつつ大人になりました。そして忙しく働いて過ごしているうちに昔の憧れを忘れていました。

(実は実父が尺八の師範でしたが、さすがに小娘が渋い尺八を習いたいとは思いませんでしたね…)

しかし、子供を持ってみると、何気に『子供が習いたければ楽器をやらせてもいいかな…』などと考えている自分がいました(笑)。ただ単に親の憧れを押し付けるだけでは、子供には迷惑になるだけなので「いっそ気が済むように、自分自身が楽器にチャレンジしてみればよいのでは?」という考えに至りました。

継続して習うのではなく、ある程度限られた期間の中で楽器を習える機会を伺っていたところ、市の広報紙に3ヶ月間だけ学習できる“篠笛体験講座受講者募集”の記事を発見!毎週金曜日の18:30から2時間の講習時間なら、主人にこの期間中だけ定時退社をお願いすれば息子の学童保育所の迎えに対応してもらえるのと、受講料が笛代含み7,940円という良心的な価格設定、そして何より地元(ゆかり)の邦楽曲を習えるという事で、伝統芸能に興味を持つ自分にとって挑戦しやすい条件が揃っていたので、家族に了承をもらい、篠笛講座受講を決行することにしました。

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意外と面白い?!邦楽演奏


講習日の初日、何気にわくわくしながら指定練習会場に行くと、会場はほぼ満席状態。総数33名の受講者のうち、シルバー世代(60代以上)が大半を占めていた様です。若年層は、見たところ小学生が1人と、40代以下とみられる方が数人いらっしゃった様に思います。男女比は半々といったところでしょうか。

最初はやる気に溢れたシニア&シルバー世代の皆様の熱気に気圧されましたが、じき慣れました(笑)。

こちらの篠笛講座は、平成2912月中旬から平成302月初旬までの計7回(うちリハーサル1回)の講座で、2月の中旬には市内の舞台で演奏を披露するという、なかなかタイトなスケジュールになっていました。

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篠笛講師の原千恵子先生は、粋な着物が似合ういかにも『江戸っ子』風の女性で、気風の良さと明るさで、受講生をてきぱきと指導して下さいました。

さて、肝心の“篠笛”について少しご説明させて頂きます。本来篠笛は竹製の楽器ですが、今回は全くのビギナーでしたのでプラスチック製の「7本調子(7つの孔がある)」というタイプの篠笛を使用しました。

この篠笛の難しいところが、吹き口に対する唇の角度と息の出し方が悪いとなかなか高音が出ないのと、きちんと孔を指の腹で塞いでいないとすぐ音程が狂うところでしょうか…。この辺りが結構苦労しましたね。

それから楽譜ですが、邦楽は音符の代わりに数で曲を書くのですね。これは正直驚きました!音楽の授業だと「ドレミファソラシド」というのが「0、一、二、三、四…」になるわけですからね。そして音階も「ゼロから七(この講座ではこの音階のみ使用)」とシンプル。この7つの数を表記した楽譜を譜面台に置いて目で追いつつ、必死で指を動かして練習しました。

しかしさすがに「僅か7回の練習では舞台で演奏するレベルに達しない」と思い、私は講座の練習以外に自宅で運指(指使い)の練習を週末行いました。拙宅は集合住宅の為篠笛を吹くのも憚られ、苦肉の策でした。

それでも、憧れの楽器を習えて嬉しかったので、密かに喜んでいましたが(笑)。

他の伝統芸能とコラボする発表会に出演!


元々こちらの篠笛体験講座は、文化庁の平成29年度の文化遺産総合活用推進事業の一環として行われていました。『地元の豊かな伝統文化・芸能をまちなかで気軽にみて、きいて、ふれること』を目的として開催されていましたので、篠笛の他にも“車人形(3つの車が付いた箱型の車に腰かけて人形を1人で操る特殊な人形芝居)”と“説教節(語り物文芸・語り物芸能)と三味線”の体験講座が並行して市内で開催されていて、発表会は、この3つの芸能を順番に発表して、最後は3つの芸能をコラボレーションさせる形でフィナーレを飾る事になっていました。

発表会の前に原先生から幾つかアドバイスがありましたが、邦楽の発表は以下のルールが基本の様です。

「前髪は上げる(おでこを出す)。装飾品は一切付けない。綺麗な格好で舞台に上がる。」

前髪が顔にかかっていると顔がはっきり見えないし、装飾品は光を反射するので宜しくない。そして綺麗な格好というのは、着飾るというのではなく、聴衆の皆様に不快感を与える格好をしないという意味だそうです。たとえ素人の発表会でもせっかく聴きに来てくださった方に失礼にならないようにとの配慮だそうで、こういった細かい部分にも、日本人のさりげない気遣いといいますか、おもてなしの心が現れている気がしました。

さて、発表会前日に全ての体験講座受講生でリハーサルを行い、いよいよ発表会当日が来ました。

一応家族も「せっかくだから成果発表は聞いておくよ」と観に来てくれましたが、正直そこまで上手くはならなかったので微妙な気持ちでした。息子の前で音を外したらいやだなあとか思って…(笑)。

当日は一応私も着物着用で恰好だけはつけてみました。受講生の中高年のマダム達数人は素敵な着物着用で、男性はジャケット着用の方が多かったと思います。

原先生は「たった7回の練習でここまで演奏出来るのは凄い事なの!自分らしくありのままでやりなさい!」と受講生達を舞台に送り出してくれました。私は緊張するかなと思ったら、そこまで緊張はしませんでしたが、舞台に上がった後は、楽譜を目で追い指を動かすので精一杯で、あまり演奏中の事は覚えていません(笑)。聴衆席を見る余裕すらありませんでした。いやもう音を外さないよう、テンポを狂わさないよう必死でした。

また、この日は他の2講座の発表も鑑賞出来たのですが、車人形も説教節も初めて目に、そして耳にした芸能でしたのでとても新鮮でしたし、地元にこんな素晴らしい文化があったのか!もっと早く知りたかった!と、何だか地元民として誇らしく嬉しい気持ちになりました。

そして発表会の最後は「さくらさくら」を篠笛で演奏し、説教節の皆様が謡い、車人形が舞い踊る形式でフィナーレを迎えました。この時篠笛奏者は客席の通路に立って演奏したので、ここでやっと主人と息子の姿を発見!息子がニコニコ手を振っていたので、とりあえず笑って軽く手を挙げて応えましたが、その後はまた必死で演奏して終わってしまいました(笑)。

「さくらさくら」の後は舞台に集まり、聴衆の皆様に挨拶をして、聴衆の皆様が帰られた後に、出演者全員の一本締めでしめくくり、解散。こうして私の篠笛体験講座は終了しました。

この後、篠笛体験講座の受講生皆で、お世話になった原先生にサプライズで大きな花束をプレゼントしました。

原先生にコメントを頂いたところ、「練習期間が7回しかなくて、この少ない期間で受講生を発表会の舞台に上げなければならなかったので、あえて稽古の時は怒ったり怒鳴ったり、厳しく稽古させて頂きました。

本来舞台に立てる程度の腕になるには12年位はかかります。稽古の費用もそれなりにかかりますしね。でも私は練習が7回だからといっても、クオリティの低い演奏はさせたくなかったのですよね。でも皆さん立派にやり遂げましたよ。皆さん素晴らしかったです。

指導について?私はとっても指導するのが楽しかったですよ。出来れば毎年今回の様な体験講座の指導をやらせて頂きたい位です。」と、邦楽のプロとしての素敵なお言葉を聞かせて頂きました。

受講生の皆様と挨拶をして別れた後、会場のロビーで待っていてくれた家族と合流し、帰路につきました。息子が「ママ格好良かったよ!」と褒めてくれて、主人も「7回の練習の割にはうまくいったんじゃない?」というコメントを貰いました。本当に家族の協力あって、子供の頃の憧れを一つ成就させることが出来ました。こういう機会を与えてくれた家族にも心から感謝しています。

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※写真左:講師の原先生 / 中央:地元の伝統芸能『車人形』 / 右:発表会の様子

伝統芸能体験から学ぶ事・感じる事


今回単純に『楽器をやってみたい』と思い篠笛を習ってみましたが、最初は「主人と子供に迷惑かけてまでやる事だろうか?」と躊躇もしました。しかし結果的に挑戦してみて良かったと思った事は幾つもあります。

1つ目は『目標(発表会で演奏)に向けて努力する』というスピリットを取り戻した事でしょうか。昔武道を習っていた頃に度々体験したことながら、どうしても大人になり親になると、家族優先になり、自分自身の私的な目的のために時間を割く機会が少なくなります。たまにはこういう風に、プライベートでも新しい目標を持ち、努力する機会を持つ事は大事ではないかなと思うのです。仕事以外でも(笑)。

2つ目は、亡父の気持ちが理解できるようになった事でしょうか。私の父は、前述しましたが生前尺八の師範でした。一緒に住んでいる頃は、週末は「演奏会だ、稽古だ」と出かける事が多く、家事も子育ても母に任せっぱなし。子供の私は『お父さんは家庭よりも尺八の方が大事なのだろうか』と快く思っていませんでした。しかし、やはり芸事というのはゴールがなく、常に精進しなければいけないものなのだ、という事が自分なりに理解できるようになりました。小さな篠笛でも結構肺活量も使い、複雑な運指があるので、大きな尺八は相当難しいだろうと想像がつきます。ですから会社勤めと並行し、何十年も尺八の稽古をコツコツ続けていた亡父の努力は、尊敬に値すると素直に思える様になりました。

3つ目は「子供の興味のあるものはとりあえずやらせてみて、本人に続けるか否かは判断してもらう」と思った事です。今回、私は単純な楽器の憧れから体験講座に参加してみましたが、憧れの洋楽器ではなく、和楽器も奥が深くて楽しいという事を自ら体験して知りました。こればかりは体験してみないとわからないですね。夢中になれることを見つけるきっかけ作りは大事だと思いますが、子供の意思を最優先して、親の一方的な意見や、理想を押し付けるのは控えます(笑)。

最後に、昔ながらの日本の伝統芸能に触れることは素晴らしい!そういう素晴らしい伝統芸能に触れることが出来て良かったと改めて感じました。今回篠笛体験講座に参加しなければ、『車人形』や『説教節』等は全く知らないまま過ごしていたと思いますが、特に車人形の精巧さや操作の仕組みに驚き、考案した昔の人達の技術力・発想力に、日本人の技術力の高さを改めて誇らしく思ったのであります。そしてこの素晴らしい芸能を継承している地元の皆さんを、同じ地元民として応援していきたいなと、郷土愛?みたいなものが芽生えました。

 

もし読者の皆様の地元に昔から受け継がれている伝統芸能等があれば、機会があれば是非親子共に一度体験してみて頂きたいと思います。日本人のアイデンティティが薄れつつある現代ですが、代々祖国で受け継がれてきた文化芸術からは沢山学び取るものがあります。

そんな訳で、次回は息子が興味を持った伝統芸能挑戦レポートをお届けしたいと思います!お楽しみに!!

CHANTOママライター/トヤマチエコ

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