2019.09.24
東京都心より約1,000キロ南。大小30余の島々からなる小笠原諸島は、世界でも珍しい海洋島です。
海洋島とは大陸と接した事がなく、海底火山の爆発などでできた島のこと。そのため独自の進化をし、島々には特有の希少な動植物たちが生息しています。2011年にはユネスコ世界自然遺産に登録されました。
住所は東京都ですが、亜熱帯気候の小笠原諸島は本土とはまるで別世界の南の島です。
そんな一生に一度は訪れたい小笠原諸島をご紹介したいと思います。
小笠原諸島へのアクセス方法
小笠原諸島には飛行場がありません。基本的には、東京都内の竹芝桟橋から定期船「おがさわら丸」で父島まで移動します。
「おがさわら丸」は郵便や食料品、宅配便も運んでおり島民にとって生活のライフライン。繁忙期を除き、週に1便の運航のため、旅行で行く際は6日間のツアーが組まれていることが多いようです。
気になる時間ですが、片道24時間かかります。かつては、竹橋桟橋から父島まで片道丸1日以上かかっていました。小笠原へ行く際は、最短でも往復船2泊と現地3泊の5泊6日が必要になります。
ちなみに母島へ行く際には、父島で「ははじま丸」に乗り換えます。こちらは、約2時間で到着します。
観光シーズンはいつ?
小笠原諸島は年間を通して気温差が少なく、年平均気温は23℃前後でウェットスーツを着れば、1年中泳ぐ事ができます。最高気温は東京本土の夏と大差はありません。最低気温は15℃前後と、とても過ごしやすいです。また、島にはスギやヒノキが生息しないため花粉症の方の避粉地にも最適です。
2月~4月にかけてはザトウクジラ、5月~11月はマッコウクジラに会えるチャンス。父島から母島への移動途中に会える事もしばしばです。野生イルカには年間を通して会えるチャンスがあります。
マリンアクティビティを楽しもう
小笠原の海は、ホエールウォッチングやイルカウォッチングの他にも魅力がいっぱいです。
まずは海の色。「ボニンブルー」と呼ばれ、透明で深く濃い青色をしています。その美しさは格別でダイバーの憧れの地です。
ダイビングスポットで人気なのが父島から船で約2時間のケータ列島の嫁島にある「マグロ穴」。その名のとおり沢山のイソマグロがおり、グルグルと円を描くように回遊する姿を見る事ができます。人の身長以上のイソマグロもおり、その大きさには圧巻です。
運が良ければイルカやサメのシロワニ、ウミガメ、マンタにも会えるかもしれません。
ダイビングのライセンスが無い方は、海岸で気軽に楽しめるシュノーケリングがオススメです。美しい珊瑚や沢山の魚が見られます。
海に潜るのに抵抗がある方にはシーカヤックがオススメです。シーカヤックはカヌーの一種で安定感があるため、初めての方でも簡単に乗ることが可能です。小笠原の海は透明度が高いので、カヤックから海を覗くと珊瑚や魚を見られますよ。
ファミリーでの海釣りもオススメで、気軽にできる釣り体験もあります。是非、自分に合ったマリンアクティビティをお楽しみください。
観光名所はどこ?
小笠原諸島は第二次世界大戦時にアメリカ軍との戦争の舞台になりました。父島、母島も激しい空襲を受け、今でも大砲や防空壕などの戦跡が至る所に残っています。父島では「戦跡ツアー」を行っており、「おがさわら丸」の出入港にあわせた半日観光や1日観光などがあります。
ガイドがいないと入れない場所や、密林を歩くため、個人行動は危険です。戦跡を巡る際は必ずツアーに入りましょう。
夜は「ナイトツアー」がオススメです。
都心部では見る事ができない綺麗で幻想的な星空や、暗闇で緑色に光るキノコ「グリーンペペ」や天然記念物の「オガサワラオオコウモリ」は必見です。
数えきれないほどの星の数は、普段の生活ではなかなか見られません。子どもだけでなく、大人も感動間違いなしでしょう。
父島の南西に位置する「南島」も外せない観光スポット。南島は「沈水カルスト地形」という特殊地形の小さな無人島です。この島は天然記念物や絶滅危惧種の植物も生息しており、ウミガメの産卵地でもあります。
自然保護のため南島へは東京都自然ガイドが同行しないと上陸ができず、1日100人、最大利用時間は2時間と決められています。毎年植生回復のために11月初めから2月初めまで上陸が禁止になりますのでスケジュールにご注意ください。
輝く白い砂浜とエメラルドグリーンの澄んだ海は父島と違った魅力を感じる事が出来ます。時間があれば南島にも立ち寄ってみてください。
小笠原の郷土料理「島寿司」も外せない
小笠原諸島の郷土料理で有名なのは「島寿司」です。
サワラなどの白身魚を醤油やみりんで漬けて、甘めの酢飯で握り寿司にします。ワサビの代わりにカラシを使うのも島寿司の特徴。
フルーツや野菜も見逃せません。夏はパッションフルーツやマンゴー、秋は島レモン、冬には甘くて美味しいトマトが出回ります。
また、島ならではのグルメとして注目したいのがウミガメ料理です。
絶滅危惧種に指定されているアオウミガメですが小笠原では昔から食べる習慣もあったことから、年間捕獲数が決まっていますが食用が認められています。
お刺身やお寿司、唐揚げや煮込みで食べる事ができます。
父島の二見港近辺には多くの飲食店がありますので、気になる食べ物を探しに出かけてみてはいかがでしょうか。
小笠原でしかできない体験がある
小笠原諸島までは船で片道24時間と、アクセスが良いとは言えません。しかし、だからこそ美しい自然が保たれています。
また移動時間が長いとはいえ、船内の施設は充実しており、天候が良い日の船からのサンセットはとても綺麗。のんびりとした船旅の良さも満喫できます。
1,000キロの航海の先には、ボニンブルーの海や珍しい動植物が待っています。きっと忘れられない旅になるでしょう。「東洋のガラパゴス」小笠原諸島に、足を運んでみてはいかがでしょうか。
文/小野寺香織