2019.12.24
12月9日の『あさイチ』(NHK)では、「大人のいじめ」を特集。“昨年度に職場で起きたいじめの件数”は8万件以上だったことを明かし、「10年前の2倍以上」と紹介していました。子どもだけでなく、大人自身も「いじめ」に向き合っていかなければいけないようです。
無視や陰口がつらすぎる…
“大人のいじめ”は職場やママ友同士、趣味のサークルなど様々な場所で起きている模様。同番組では「いじめに遭っている」という被害者の声を集めました。一体どのような被害を受けているのでしょうか?
パートから正社員に昇格したことで、いじめの標的にされたAさん。難しい作業が増えて周囲にたずねても、誰ひとりとして答えてくれなかったといいます。パートの人たちからは嫌味を言われるようになり、ランチ時は誰からも誘われない状況に。Aさんは毎日おこなわれる“無視や陰口”などのいじめに耐えきれず、体調を崩してしまったそうです。
ネット上でも職場でいじめに遭った人が多く、「上司から『この仕事向いてないから辞めれば?』とよく言われて、すごくつらかった…」「話しかけても全員から無視されるし、輪の中に入れてもらえない」といった声が相次ぎました。
深刻化するいじめ問題ですが、社会保険労務士の須田美貴さんは“いじめや嫌がらせの線引きは非常に難しい”とコメント。証拠が取りづらい上に「〇〇さんはお弁当があるから、あえてランチに誘わなかった」など、何とでも言い逃れができてしまいます。あいまいな境界線であることが、一番の問題点なのかもしれません。
“いじめの記録”をつけるべき!?
職場でのいじめや嫌がらせを受ける人は絶えませんが、なぜいじめが起きてしまうのか気になるところ。須田さんによると、「いじめが起きやすい職場は共通点がある」とのことでした。「人間関係が固定している」「上司が部下を管理できていない」というケースがあげられる中、「評価基準があいまい」といった共通点も。評価基準が“成果報酬型”ではない場合、「あの人は私より仕事ができないのに、給料が一緒なのはおかしい」と不満を抱える原因になるようです。
精神的にも肉体的にも負担が大きい“いじめ”ですが、同番組では被害に遭った場合の相談先を紹介。各地の労働局にある「総合労働相談コーナー」や、職場環境の改善をはかる「社会保険労務士」への相談をすすめていました。また個人的に訴訟をしたい時は、「弁護士」への相談も視野に入れてみてください。何を目的にするかによって相談窓口は変わりますが、須田さんは「証拠は絶対必要」と説明。起きたことを普段からメモするなど、「記録を残す作業」が重要です。
ストレスのない職場環境が大切!
職場でのいじめに対して、「気づいたらやめさせたい!」と思う人は多いはず。そこで同番組では“いじめを発見した時の対処法”をピックアップ。職場の信頼できる人に報告したり、被害者に声をかけて寄り添うなどの方法をあげていました。中には、加害者の興味を違う方向に向けさせる「スイッチャー」という役割も。少しでも力になることで、いじめをなくすきっかけを作れるかもしれません。
また「TOKYOはたらくネット」の公式サイトでは、企業に対して“いじめの防止法”を提案。内容を見ていくと、「職場のいじめ防止の第一歩は、会社の姿勢・方針を明確に従業員に伝えることです」といった記載が。
いじめ防止の方法として、「職場風土を変える」という対策法も見られました。いじめは「ストレス」によっても起きやすいため、「公正な評価・仕事の範囲の明確化」や「長期休暇の取得」などを推奨。いじめを未然に防ぐには、“心の余裕を持てる制度”が必要なようです。
身近に存在する“大人のいじめ問題”。職場の人たちと上手くコミュニケーションをとって、誰も傷つかない社会を築いていきたいですね。
文/内田裕子