2019.01.19
本来なら心から祝福してあげたい「友人の結婚式」…でもそれが「不倫の末の略奪婚」だったなら。「もしも自分が元妻の立場だったら…」とか「相手の子どもは悲しんでいるだろう」とか、いろんな思いが駆け巡ってしまいます。複雑な思いを抱えつつ友人の結婚式に招待された妻たちの、困惑しきりのお話です。
W不倫の末の挙式に招待されても(りなさん/31歳/事務)
高校生時代の友人から突然電話があり「元気~!? 実は今度結婚することになって…」と報告されました。でも、思わず「え?」と聞き返してしまいました…だって彼女は3か月前に離婚したばっかりだったんです。
どうやら彼女の離婚の原因はW不倫。お互いが離婚したのち、めでたく再婚の運びと相成ったようなのです。いちおう祝福の言葉は伝えましたが、こんなに気まずい「おめでとう」を言うのは人生で初めてでした。
初婚時は挙式しなかったのですが、今回は式をするとのこと。招待状が届いたものの、周りの友人たちは揃って「欠席にするわ」とのことだったので、私も当たり障りのない理由をつけて欠席の返信をしました。
すると後日「みんな都合が悪いみたいで。いまならギリギリ日程変更できるんだけど、いつならいい?」と驚きのメールが…いや、なんでみんな欠席なのか察してよ。「ごめんね、しばらくバタバタしてて予定が見えないの」とかわしておきました。そろそろ気づいて!
不倫にはノータッチの力作スピーチ(りんかさん/36歳/パート)
3年前に「職場の既婚者を好きになっちゃったの」と友人に相談されてから、ずっと相談相手になっていた私。(好きになったものはしょうがない)と思って否定はせず、友人の話をうなずきながら聞くにとどめていました。
ところが、「2人でご飯に行くことになったの」「そのままホテルにいっちゃった」という流れから、「おつき合いすることになった」「奥さんと別れるって言ってもらえた」と、話は急展開していったんです。そして、ついに相手の男性は離婚…彼女は「略奪婚」に成功してしまいました。
これまでは「略奪はけしからん!」と思っていたのですが、ピュアな片思い時代からの話を聞いていた身としては「よかったね」という気持ちも少々あり…結婚式にも出席することにしました。
ただ「一番お世話になったから」という理由で、友人代表スピーチを頼まれたのには参りました…この顛末を、どう表現したらいいのだろう。まるまる1か月頭を悩ませ、ようやく「不倫にはいっさい触れていない円満スピーチ」が完成。こんなに苦しんだのは、卒論以来です(笑)。
「二人の馴れ初めPV」を頼まれて(みずほさん/38歳/会計)
5年もの不倫を経て、ついに略奪婚に至った親友。結婚式に招待されたのはいいのですが、困ったことに「結婚までに至ったなれそめのPVを作ってほしい」と頼まれました。彼女には私の式のとき、受付やピアノ演奏をしてもらったので、断るわけにはいきません。
動画を作るのは得意なのですが、問題は「内容構成」です。「お二人はバーで出会い、酔った勢いでホテルへ直行。新郎の元奥さんに嘘を重ねて不倫関係を続け、このたびめでたくゴールインしました!」なんて、口が裂けても言えません。
とりあえず預かった写真を「二人であちこち旅行しました」「ここが思い出のバーです」と無難ににつなぎ、「このとき元奥さんには、出張と伝えていたそうです」「マスターには口封じを頼んだそうです」というナレーションを入れたい衝動を抑えつつ、なんとか完成させました。
本人は大喜びだったのでホッとしたものの、(これを身内に見せて、心が痛まないのだろか)という疑問は消えません。
そもそも「不倫」とは、「犯罪」ではなく「民法上の不貞行為」。だからといって決して肯定される種類のものではありませんが、たくさんの悲しみや苦しみを乗り越えてなお、二人がたどり着いた結果が「略奪婚」なのだとしたら…ニュートラルな心で見守ってよいのではないかと思います。
ライター:楠 ゆず
娘と夫、茶トラの猫の3人+1匹で暮らすフリーライター。思い切ってマンションを購入し、ローンパラダイスへ突入中。幼児教育にハマってしまい、興味をもった教材は手に入れないと気が済まない。おかげで家には教材の山が…。断捨離欲と収集欲の葛藤に悩む日々です。