2018.09.19
2021.03.03
前回「プラトニック不倫」に関する記事では、肉体関係なしの不倫に妻たちがハマる理由を聞きました。さらに取材してみると、経験者たちが求めているのは、夫婦間にかけてしまった〝心のピース〟であることが見えてきました…彼らは何を、探しているのでしょうか?
<関連記事>それは不倫か純愛か…肉体関係なしの「プラトニック不倫」人妻はなぜハマる?
求めるものと守るもの、お互いの利害が一致(美香さん/34歳/飲食店勤務)
不倫相手の彼は、私の勤めているカフェにお客としてよく来てくれていて、そのうちにお互いに顔を覚えるようになりました。
ある休みの日のこと、私がそのカフェでお茶を飲んでいると彼が来店しました。なんとなく目が合って相席したところ、話に花が咲いた勢いでLINEの交換をしました。そうして、どんどん親密になっていったのです。
うちの旦那はいい人ですし、とくにセックスレスということもありません。ただ、私はどうしてもドキドキするというか、「恋している」という感覚が欲しかったんだと思います。
家族としての愛だけじゃなくて、ひとりの女としても愛されたいというか。ただデートをしたり、ふたりで行ったことのない場所に行ってみたり。恋人時代は当たり前だった感覚を取り戻したいと思っていました。
そしてそれは彼も同じだったようで…お互いプラトニックな恋愛関係を味わいたいという気持ち。なのでセックスはなくてもいいんです。体の関係で愛を実感しなくても、ただ一緒にいるだけで満たされていました。
お互いに「家族」という確かな拠り所はありつつ、日常のちょっとしたスパイスというのでしょうか。
いつかは終わるとわかっているから…(毅さん/37歳/会社員)
妻とふたりの娘がいる4人家族です。6歳と3歳の娘は本当にかわいい子たちです。妻はどちらかというといい加減な性格で、子どもたちが大きくなるごとにケンカも増えている状態です。
そんなときに、取引先で3つ年下の女性と出会いました。彼女には母性を感じるというか、ついつい甘えたいと思わせる魅力がありました。そのせいもあってか、初対面にも関わらず妻との関係に悩んでいることを打ち明けてしまいました。
彼女は妻のことを悪く言うことはなく、私のこともよく理解してくれました。そう思った瞬間、彼女がなくてはならない存在になりました。その後は、ランチを一緒にしたり、デートをしたりといった関係が続きました。
このまま夜を共にしたいと考えたことがないといえばウソになります。しかし一過性の関係であることもわかっているんです。だからこそ、「心はゆだねても体の関係はなし」。いつか会えなくなる日が来たときにお互い傷つかないだろうと思い、プラトニックな関係が続いています。
こんな考え方は、ズルいんですかね?
一度は関係を持ったけれど…(涼子さん/33歳/看護師)
夫は他人に厳しいタイプで、私が失敗をしたり上手にできないことがあったりすると、かなりキツイ言葉でまくしたててきます。家事・育児・仕事を両立させるのは大変ですが、自分なりにがんばっているつもりなのに…3歳の息子を抱きしめながら、泣いてしまう日もありました。
そんなとき元気のない様子に気づいてくれたのが、勤務先の病院の男性医師でした。ちょうどその日は診療が立て込んでおらず、彼は私の話を静かに聞いてくれました。それ以来つらいことがたまると彼に打ち明ける日々が続き、いつしか体の関係を持ちました。
でも、何度か回数を重ねるうちに、自分が「セックスをしたからといって、特別満たされた気分になっていない」ことに気がつきました。むしろ、罪悪感が大きくなってしまうだけ。それに気がついてからは、あまりセックスはしていません。
ただ悩みを聞いてもらって、私の努力を彼がそっと認めてくれる。そんな相手が私は欲しかっただけなのかもしれません。彼とデートをしたり抱きしめてもらえたり…ただそれだけで、満足になりつつあります。
分かり合えたと思って結婚したのに、時間が経つうちにすれ違って失ってしまったもの…プラトニック不倫の経験者の話からは、人は「心のつながり」を強く求める生き物だということを再認識させられました。
ライター:藤崎陽菜