おやつ代自己管理制度を妨げる義母の愛

さて、このおやつ代自己管理システム、案の定というか、数か月もしないうちに子どもたちは、月初め早々にゲームや趣味などに使いこむようになりました。

 

これも計算のうち、ひもじい思いをしてやりくりの難しさを思い知るがよいそう心の中でつぶやいていたのですが、どうも様子がおかしいのです。子どもたちが、買えるはずのないおやつやジュース、アイスなどを頻繁に食べているではないですか。

 

そのお菓子どうしたの?と聞くと返事は決まって「おばあちゃん(または)おじいちゃんがくれた」とのこと。自分のおやつ代使いきったからって、おばあちゃん達にねだったらダメでしょ!と叱ると、「ねだってないよ!向こうが勝手に買ってくれるんだもん」と。

 

義父母に尋ねると「娘ちゃんも息子君もねだってないわよ、私たちが勝手に買ってるだけよ!」と。

 

たびたびそんなことを繰り返し、そのたびに「これじゃおやつ代制度の意味がないです」とやんわり伝え続けてきましたが、義父母にいっこうに反省の様子は見えず、ついにふたたび同居嫁がブチギレる日がやってきました。

 

「子どもたちの経済観念を育てるためにやってるんですよ!おやつ代使いきってもおじいちゃんおばあちゃんがいくらでもお菓子買ってくれるなら、ただ月々のお小遣いを増額しただけになっちゃうじゃないですか!

 

そう詰め寄った私に、義母はさすがにきまり悪そうに、でもきっぱりとこう言い放ちました。

 

だって、かわいいんだもん!」

 

開き直った。

 

いい年をした、どころか古希を超えた高齢者にこう開き直られてしまっては、もはや打つ手はありません。

 

祖父母というのは、孫におもちゃをねだられて我慢することはできても、お腹を空かせてひもじそうな様子でいるのは耐えられないものなのでしょうか(食事は3食たっぷり食べているのに!)

 

こうして、我が家の経済教育を兼ねたおやつ代自己管理システムは、わずか数か月で元通り撤廃されることになりました。

 

そうして再び、母が買ってくる昭和系おやつ(だって安くて多くて美味しいんです)に文句を言いながらも、今日もおやつ箱をごそごそまさぐる子どもたちなのでした。

文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ