家事代行サービスで心も晴れ晴れしたのも束の間

つい先日、自宅の水回りが汚れているのに耐えかねたユリさんは、ネットで調べて家事代行を業者に依頼することにしました。

 

1時間2000円で2時間。台所とお風呂など水回りがピカピカになったんです。私は掃除が大の苦手だけど、汚いとストレスがたまる。自分の短所を毎日見せつけられる気がするんですよね。思い切って頼んでよかったと思いました」

 

帰宅した夫は、きれいになったキッチンを見て目を丸くし、その日は機嫌よく夕飯を作ってくれたそう。こんなことなら半年に1回頼むのもいいかも、他の場所も頼んでみようと夫婦は話しました。

 

「夫がうっかりそれを義母に言ってしまったんですよ。すぐに義母から電話があって、『あなたそんなに高給とりなの?』『主婦としてのプライドがないの?』と。いつもなら受け流せたんですが、ちょっと仕事のことでイライラしていたので、『プライドなんてありません、あなたが息子をもっと家事のできる大人に育てていたらこんな苦労はしなくてすんだんですけど!』と、言い返してしまいました」

 

10年以上、なんとかバトルが勃発せずにすんできたのですが、今回ばかりはユリさんも黙っていられませんでした。以来、義母からは連絡が来ません。夫がフォローしているようですが、そのことが新たなストレスになっているとユリさんは言います。

 

「義母と10年以上つきあってみて、息子をひとりの人間として見ていない母という存在をいろいろ考えさせられています。自立って何だろうと思いますね」

 

ユリさんの研究テーマにも関わってくるこの問題、子どもを育てている現代の母親たちにも突きつけられているのかもしれません。

姑に反論する女性
文/亀山早苗 イラスト/もちふわ

※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。