息子の帰省にどんどん上がる義母のテンション

義母もさすがに私に申し訳ないとは思ってはいるらしく、毎年師走に入って私が「大晦日やお正月は、ご飯はどうしましょうか?」と聞いても「適当でいいわよ、(義兄は)お客様じゃないんだから、ふつうの家庭料理でいいのよ。外食してもいいんだし」と口では言うのです。

 

しかし、いざ義兄が帰省してきて愛しい息子の顔を見ると、「普段はコンビニ弁当ばっかりみたいだから、野菜たっぷり食べさせてあげたいわね!」「せっかくお正月だから、ちょっといいお肉(年始価格で驚くほど高い)ですき焼きはどう?」「(義兄)は鶏ガラで出汁をとったお雑煮が好きなのよね」「外食より家庭料理がいいのよ、家庭料理(の中でもイベント感があり見栄えもするちょっと手のかかる料理)が!」とどんどんテンションが上昇していくのがもはや毎年の恒例。

 

独り身の息子を案じる母心もわかります、わかりますけれども!

 

私だって年末年始はゆっくりしたい!大晦日はおせちを詰め終わったらあとはひたすらダラダラしたい!紅白は敷物の上に寝転がって観たいし、元旦は昼過ぎに起きて明るいうちから酒が飲みたい!

 

そんな切ない(?)同居嫁の望み、なかなか叶いそうにありません。


わかっているのです、私が空気を読むのをやめて、ダラダラする勇気を出せばいいのだと。

 

今年こそは私もテレビの前に座って、立ち働く義母のプレッシャーに負けずにビール飲んで紅白観るぞ!と、毎年決意してはいるのです。

 

    

とはいえ、結局は堂々とダラダラする勇気もなく、家事に手を染めてしまう同居嫁、まだまだ修行が足りません。…く、くやしい。

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文/甘木サカヱ イラスト/ホリナルミ