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〝夫源病〟は夫婦関係が引き起こす適応障害…この症状あなたは大丈夫?

コミュニケーション

2018.12.12

メディアでしばしば耳にする〝夫源病〟というワード…一般的に「夫の言動によって妻に不調が発生すること」をこう呼ぶのだとか。夫といるとめまいが起こる、帰宅が近づくと体が重くなる…「もしかして、この症状が〝夫源病〟なの?」と悩むワーママたちの相談に、心療内科医師の松本拓也先生のアドバイスをいただきました。

 

帰宅時間が近づくと…(ちかさん/41/ アパレル)

わが家は共働きですが、旦那はかなり激務で、休日出勤や深夜帰宅は当たり前の生活です。以前は「今度の休みも出勤になった」と言われると、子どもと一緒にがっかりしていました。

ところが最近、その気持ちに変化が…「今日も遅くなりそう」とメールが来ると、嬉しいと思うようになったのです。でも終電の時間が迫ると、「そろそろ帰ってくる…」と憂鬱な気分になってきて、体の全体が一気にだるくなるのです。

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昔は、いい奥さんだと思ってもらいたくて、凝ったメニューに挑戦したり、家事を完璧にこなしたりしていました。なのにこの頃は、自分でもあきれるほどの手抜きメニューばかり…旦那に喜んでもらおうという感情が湧かないのです。

私の仕事がハードになったわけでも、育児で行き詰まっているわけでもありません。むしろ、子どもが小学校に入学したため、負担は減ったくらいです。それなのに夫の不在を喜ぶなんて、これって〝夫源病〟なのでしょうか。

 

<松本先生のアドバイス>
まず、〝夫源病〟という診断名はないことに注意が必要です…これでは「夫だけが100%悪い」ような言い方になっていますから。夫婦も人間関係ですから、DVやそれに近い夫の場合を除けば、「どちらかが100%悪い」ということは、まずないと考えてよいでしょう。なので、精神医学的に〝夫源病〟をとらえると「夫との関係性が原因の適応障害」といえると思います。
さて、今回のケースでは「夫が帰宅すること」が原因で倦怠感などの症状がでています。それを考えると〝夫源病〟にあてはまるでしょう。完璧主義で無理をしがちな生真面目な性格も、ちかさんをしんどくしています。
いまの状態で旦那さまにイライラし続けるのは、ちかさん自身だけでなく家族や周りの人に悪影響を与えてしまいます。まずは「自分が楽になること」を最優先に。少し夫との距離をおいて、心を休めるのもひとつの方法です。そして夫のこと以外にストレスを抱えていないか、振り返ってみてください。

嫌な部分だけが目につく(かずこさん/38/公務員)


旦那のやることなすこと、すべてに腹が立つのです。物を落としても拾わない、自分が使った食器を片づけない、返事をしないなど、ひとつひとつの動作にイライラ…視界に入れなければいいとわかっているのに、つい目で追ってしまうんです。まるで「万引きGメン」にでもなったかのように。

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1歳の娘とふたりだけでいる間は、家がすごく心地よく感じます。それなのに旦那が帰ってきたとたん気分も空気も重くなり、居心地の悪さにモヤモヤします。目立った体調の変化はありませんが、腹立たしいことが次々に思い浮かんで寝つけないことはよくあります。

娘のいたずらやグズリ、仕事での嫌なことは「あ~、やれやれ。仕方ないか」と考えられるのに、旦那に関してだけは「怒りのスイッチ」が作動。

話しかけても返事がない場合など、「あれ、聞こえなかったのかな?」ではなく、「絶対に聞こえていたはず、無視された!」とネガティブに捉えてしまう自分に嫌気がさします…これって、夫のせいなのでしょうか? それとも、些細なことが許せない私が原因なのでしょうか?

 

<松本先生のアドバイス>
「お話からわかる範囲での推測となりますが、かずこさんのケースでは〝夫源病〟とはいいきれないと考えます。もしかするとなんらかの理由から、旦那さまに対して攻撃的・被害的になりすぎているのかもしれません。イライラや不眠などのストレスが先にあり、それを夫にぶつけている可能性はありませんか? 

少しでも心当たりがあるのであれば、それを解決するのが根本かと思います。一方、「夫に当たってしまう自分を責める」というストレスを回避する目的では、夫と距離をとるのもひとつのよい方法です。

旦那不在のときだけ調子いい(あきほさん/32/編集)

旦那と4歳の息子との3人家族です。ここ2年ほど、原因不明の症状に悩まされています。熱があるわけでも咳や鼻水が出るわけでもなく、ただ身体が重くて気分がどんより…最近では生まれて初めて、めまいにも悩まされました。睡魔は感じるのに布団に入ってから数時間眠れないことも。「育児や仕事の疲れかな? 受診するほどでもないかな?」と自己判断を続けていて、病院には行っていません。

このような症状に悩むなかで、ふと気がついたんです…「旦那がいない間は妙に調子がいい」ことに。旦那が社員旅行で不在だった3日間は久しぶりに熟睡できたり、「飲み会で遅くなる」と言われたとたんに気分が明るくなったり。身体もシャキっとして、普段ならやらない長風呂や肌パックにいそしんだり、ネットショッピングを楽しんだり…ワクワクしているのが自分でもわかります。

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旦那のことが嫌いなわけではありませんが、ラブラブでもありません。子どもが生まれてからは息子のことばかりが気になり、旦那が風邪をひいても「へー。うつさないでないでね」と思うくらいで心配すらしなくなりました。冷めているだけなのか、巷でよく聞く〝夫源病〟なのか…旦那と一緒にいる間も「元気な自分」に戻るには、いったいどうしたらいいのでしょうか。

<松本先生のアドバイス>
俗にいう夫源病には当てはまるかもしれません。ただこのケースは、旦那さまの態度に根本的な原因はない印象を受けます。あきほさんは日常に刺激を求めるタイプとお見受けするのですが、調子がいいのは「夫がいないとき」というよりも、「普段と違う行動を気がねなくとれるとき」ではないでしょうか。

日ごろからエクササイズなど、刺激的な体験を取り入れるとよさそうです。また、夫のことを「自分を縛る鎖」と捉えていませんか? 可能ならゆくゆくは、もっと自由にいろいろなことをやっていきたいという希望を相談できるとよいですね。

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自分が〝夫源病〟ではないかと悩む女性は、以前より増えているのでしょうか? 最近の傾向などを教えてください。

松本先生:〝夫源病〟は正式な病名ではなく、夫との関係性が原因の「適応障害」と言えますが、診断基準もなく有病率の報告はありません。精神科や心療内科を受診した女性で「夫との関係がストレスだ」と訴える方が多いという印象は受けますが、夫の言動などが原因で体調を崩す女性は以前から少なからずいたはずなので、実際に数が増えたわけではないと思います。

〝夫源病〟という概念が生まれたことで「夫のせいで症状が出ているのかも」と考える女性が増え、結果的に増えた印象なのだと考えています。

病気ではないのに言葉がひとり歩きしている、という面もあるのかもしれませんね。では、症状を予防するために、気をつけたらいいことなどはありますか?

松本先生:難しいことですが「夫と距離を置く」ことが、予防という位置づけになるでしょう。しかし「夫婦」という極めて親密な関係性では、それは容易ではありません。差し当たっては、「適度にストレスを解消する」「家事や仕事を可能な限り手抜きして無理を減らす」「周りの人につらさを話してみる」などを試すしかないかもしれません。

もし抵抗がないなら、限界を迎える前に心療内科や精神科を受診するのもいいと思います。医師やカウンセラーには守秘義務があって、第三者に悩みがバレる心配はありませんし、より適切で具体的なアドバイスをもらえる可能性も高いです。その過程で、できるだけ穏便に、一時的にでも「夫との距離をおく」ことを考えるとよいと思います。

そして「自分を責めない」こと。働くママは忙しく働きながら、妻や母という大変な役割を果たしているのですから、もう十分にがんばっているのです。自分をほめて認めて、ゆっくり癒してあげてください。

<取材協力>松本拓也先生
尼崎中央病院 心療内科(http://www.chuoukai.or.jp/

ライター:楠 ゆず
娘と夫、茶トラの猫の3人+1匹で暮らすフリーライター。思い切ってマンションを購入し、ローンパラダイスへ突入中。幼児教育にハマってしまい、興味をもった教材は手に入れないと気が済まない。おかげで家には教材の山が…。断捨離欲と収集欲の葛藤に悩む日々です。

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