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親の遺産を手にした夫が豹変。車やバイクを買って、家族と距離をおくように

コミュニケーション

2022.01.21

遺産で好きなものを買う夫

親からの遺産は、夫婦といえども共有財産ではありません。相続した本人のものなのです。とはいえ、相続したパートナーがそのお金を何に使うか相談してほしい、と思うのは当然なのですが…。

お金を使い放題の夫に妻の不満は募るばかり

サエコさん(39歳・仮名=以下同)は4歳年上の男性と結婚して10年。8歳、6歳、3歳と3人の子がいます。自身もパートで働いていますが、「パート帰りは、少しでも安いスーパーを目指して自転車を飛ばす日々」だそう。

 

「あちこち節約して、それでも5人家族で仲良く暮らしていきたいとがんばっているんです。それは夫も同じだと思っていたんですが…」

 

ことの発端は1年半前。ひとり暮らしをしていた夫の父がガンで亡くなりました。夫はひとりっ子で、義父にきょうだいもなく、つきあっている親戚もいません。コロナ禍でもあり、ひっそりとサエコさん一家だけで見送りました。

 

「遺産もほとんどない、と夫は言っていました。土地は借地だし、家は築40年。解体するのにもお金がかかるけど、知り合いの不動産屋が引き取ってくれるというから二束三文で売り渡す、と。義父は病気がちだったので貯金もほとんどない。そんな夫の言うことを真に受けていたんです」

 

ところが数か月後、夫は突然、車を買い換えました。ある日曜日、新しい車が納車されたのです。新車のミニバンで、夫は「これでみんなゆったり乗れるだろう」と、ご満悦の様子。

 

「“いったい、どうしたの?”と、言ったら遺産で得たお金で買った、と。即金で300万円以上ですって。今までの中古車でじゅうぶんだったのに。でも子どもたちは大喜び。だから怒るわけにもいきませんでした。納得できない気持ちでしたけど」

 

その2週間後、今度は大型バイクが自宅に運ばれてきました。夫は大のバイク好きですが、子どもが生まれた時に手放した経緯があります。いつかまた乗りたいというのが、一時期は口グセでした。

 

「これが異様に高いものらしい。おそらく、車より高額とバイクを見た知人が言っていました。夫は車とバイクで700万か800万円以上、即金で購入。“そんなに遺産があるなら、使い道を相談してくれればよかったのに。あなたには3人の子がいるんだよ”と、言わずにはいられませんでした」

 

そう言うと、夫はたちまち不機嫌になりました。

「家庭にお金を使ってほしい」この願いは届くのか

車もバイクも、税金や維持費がかかる。とくにバイクは夫ひとりの楽しみでしかない。サエコさんとしてはおもしろくありません。もっと家族のことを考えてほしかったのです。

 

「子どもたちには公立の中学に行かせる予定ですが、本人が望めば中学受験だってあり得るし、高校・大学は私立に行く可能性もある。3人ですからね。どれだけ学費がかかるか。

 

しかも中古で買ったマンションのローンに追われて大変な思いをしているのに、はっきりわからないけど、車とバイクで800万円も使ったとしたら許せない。こっちはちっとも幸せじゃないんです」

 

サエコさん、どんどん声が大きくなります。あといくらあるのか知らないけれど、子どもたちの学費にとっておいてほしい、と夫に詰め寄ったこともありました。

 

「すると夫は、“遺産はオレのものだから。もうほとんどないけど、あとはとっておくよ”って。ものすごく憎らしかったですね。しかもその後、夫は夏休みをとって、ひとりでバイク旅行へ。

 

お金が夫を狂わせた。何億円もあるような話じゃないし、相続税もかからない範囲だったらしいけど、2000万円程度はあるのかもしれません。どんなに聞いても夫は言わない。一気にお金が入ると、人はあんなふうになってしまうんですね」

 

週末、夫はふらっとバイクで出かけ、日曜の夜まで帰ってこないこともある様子。“バイクは、やっぱ気持ちいいなぁ”という夫の声をよそに、彼女は「浮気しているのかもしれない」と疑いをもちました。

 

「お金が入ってから、夫は家族に心を寄せなくなっています。そんな気がするんです。私は相変わらずパート先から安いスーパーへ自転車を飛ばしているのに、夫は週末、家で食事せずに出かけてしまう。私もイライラするから、つい子どもたちに当たっては自己嫌悪に…。こんな生活、本当に嫌だと思うようになっています」

 

たしかにお金は人を狂わせることがあります。サエコさんは折に触れて、遺産の詳細を聞いていくつもり、とため息をつきました。

遺産で好きなものを買う夫

夫が気ままに外出する姿に違和感を覚える女性のイメージイラスト

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。

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