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「仲直りのルール」に縛られ、夫婦の距離感がつかめない

コミュニケーション

2021.09.11

ハグして仲直りするルールを作った夫婦のスレ違い

できることなら夫婦喧嘩はしたくないもの。子どもがいれば、なおさら悪影響も出てくるでしょう。そこで「喧嘩終了のルール」を決めた夫婦がいます。ところがルールを決めても、心がそこについていかないモヤモヤもあるようです。

「ハグ&キス」がケンカを終わらせる合図

結婚して10年になるサトミさん(39歳)。2歳年上の夫との間には8歳のひとり娘がいます。共働きのふたりはすれ違いが多く、特に子どもが生まれてからは「洗濯しておいてくれるって言ったじゃない」「今日は残業だからムリって言っただろ」と些細なことからケンカになりがちでした。

 

「あるとき、夫がケンカ終了の合図を決めようと言い出して。不快な気持ちを長引かせない、翌日に持ち越さないためにもそれがいいと賛成しました。夫は『ハグ&キスにしよう』って。ある程度、お互いに言いたいことを言ったらハグして、軽いキス。それでもうこの件は終わり、と決めたんです。娘が3歳くらいのころでした」

 

娘の前では言い争いはしないようにしている夫婦。我慢できずにサトミさんが文句を言うのはだいたい深夜の寝室です。最初は不満に耳を傾け、解決策を一緒に考えていた夫ですが、最近は彼女が何か言い始めると、近づいてきてハグとキス。「はい、終わりね」と言うケースが多くなりました。

 

「そう言われたら、私もそれ以上、何も言えない。結局、ケンカにも話し合いにもならないまま、かえってストレスがたまっていきました。だから夫にルールを一度、なくしてみようと提案したんです」

 

その意見に夫も賛成します。すると、今度はケンカの終わらせ方がわからなくなり、何日も口を利かないことも増えました。

 

「あるとき、仕事も夫との関係も何もかもイヤになった私が爆発して、モノを投げて寝室のテレビを壊してしまったんです。その物音に娘が起きて私たちの寝室にやってきました。『パパとママ、けんかしてるの』と泣きじゃくる娘がせつなくて。私自身、両親が不仲でいつもケンカしている家庭に育ったので、これはよくないなと思いました」

 

そこで、夫婦は再度話し合って、ハグ&キスのルールを復活させました。

夫婦は10年経てば無関心な存在になるもの?

復活させる際、「ある程度、言いたいことは冷静に言う」と決めました。ところがサトミさんが冷静に話すと、夫は「きみはどこか冷たいよね」と。細かく感情を交えてみたら「話が長くてよくわからない」と言われ、どうしたらいいかわからないと彼女は嘆きます。

 

「ハグ&キスも、今や形だけになりつつあります。ある程度のところでケンカはやめて、肝心なことは話せない。お互いの心の深いところには触れないほうが、ダメージが少ないとわかってしまったんですよね。そのほうが日常的には支障なくやっていける。

 

でも本当は私、もっと夫と話し合いたい。もっと夫の気持ちも知りたい。でもそれができないままに時間が過ぎていくんです」

 

週末、夫とふたりでゆっくりお酒でも飲みたいと思っても、そんなときに限って夫は「明日は接待ゴルフ」などと予定を入れるそう。自分と一緒にいるのが楽しくないのではないか…、サトミさんも夫への関心が薄れていきます。

 

夫も、仕事とその関係のつきあいが最優先なのでしょう。サトミさんは、夫が何を考えているかを知りたがろうとしなくなりました。

 

「以前はお互いにもう少し相手に関心があった。会社の先輩となにげなくそんな話になって愚痴ったら、『10年経って、まだ関心があったら偉いわよ』と豪快に笑い飛ばされました。そんなものなんですかねえ、夫婦って。結婚する時、ずっと恋人みたいな感覚でいようねと約束したんですけどね」

 

距離を詰めすぎると喧嘩になる、少し離れれば無関心になっていく。10年経って、お互いが居心地のいい距離をとるのは難しいものなのかもしれません。 

ハグして仲直りするルールを作った夫婦のスレ違い

合わせようとしても合わない夫婦のズレ

文/亀山早苗 イラスト/前山三都里
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元に執筆しています。 

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