性生活のずれが決定的な溝になることも

セックスを強要され、我慢して応じ続けていると、夫に愛情を持てなくなり、夫婦間に決定的な溝ができてしまいます。


そうなる前に、「あなたのことは大事だけれど、まだセックスできる体に戻っていない」「子育てがもう少し落ち着くまで待ってほしい」など、よく話し合って理解してもらうことが大事です。

 

それでも、気の進まないセックスを強要したり、拒むと不機嫌になって無理に応じさせようとする、このような行為はモラルハラスメントです。これも性の不一致の一つで、民法770条1項5号に定められる離婚理由となりえます。

 

セックスは相性もありますし、女性側の子育て負担の度合いや、体調にもよるので難しい問題です。もし苦痛に感じたら、まずはご自分の気持ちや状況を、お互いが落ち着いているときに、はっきりと伝えることから始めてみるといいかもしれません。

 

<夫婦の性生活に関する法律>

〜レイプの定義〜
刑法第177条【強制性交等】

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

 

〜離婚についての規定〜
民法第770条【裁判上の離婚】

1.夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。


 ①配偶者に不貞な行為があったとき。


 ②配偶者から悪意で遺棄されたとき。


 ③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。


 ④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。


 ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 

PROFILE 上谷さくら(かみたに・さくら)さん

上谷さくら
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。元・青山学院大学法科大学院実務家教員。福岡県出身。青山学院大学法学部卒。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。2020年5月に著書『おとめ六法』(KADOKAWA)を出版。

取材・文/早川奈緒子  イラスト/佐久間薫