ダメな部分があってもいい人生を

「夫は強烈なポジティブ思考ではないのですが、人間はつねに前を向いて頑張るべきと思っているんですよね。私はどちらかというとネガティブ思考だから、自分がへこんでいるときに穏やかな表情でイキイキする夫に疎外感を覚えます。暑苦しい感じの人なら、『うるさい、少し放っておいて!』と言えるけれど、夫は心からの親切心で気遣ってくれる。文句は言えない。それも私のわがままなんでしょうけど…」

 

あまりに優秀で完璧な人が近くにいると、たしかに自分を顧みて落ち込んだり卑下したりしてしまうことは、誰にでもあるでしょう。でもそれが「夫」なのがつらいところかもしれません。

 

「なんでそんなにいい人なのよ、キーッ!!」と言うことができればラクになれそうですが、今の状態が続くと、エリカさんの自己評価が下がっていきかねません。夫と自分は違う人間だからとくらべずに「ダメな自分も自分」と、受け入れることが大事なのではないでしょうか。

 

出来すぎる夫
完璧夫に引きずられない妻
※この連載はライターの亀山早苗さんがこれまで4000件に及ぶ取材を通じて知った、夫婦や家族などの事情やエピソードを元にストーリーを紡ぐコラムです。

 文/亀山早苗 イラスト/もちふわ