小学生の勉強管理と幼児の世話…仕事は睡眠時間を削ってこなす

普段は家事育児を分担できていても、今回ばかりはフェアに乗り切れていない夫婦もいます。

 

歯科衛生士の高瀬リサさん(仮名)は、不動産会社勤務の夫、小2と4歳の兄弟の4人家族。これまでは家事育児はほぼフェアに担っていましたが、コロナ禍によって夫婦間のバランスが崩れたといいます。

 

「子どもの習いごとの連絡や学校のプリント管理などを私が担当していたこと、私の勤め先の診察時間が短縮したことが重なって、気づけば私が子どもの“先生役”もこなすことに。まったく集中力が続かない長男を机に向かわせ、怒ったりなだめたりキレ散らかしたりしながら、必死で課題をやらせています。

 

さらに大変なのが、暴れざかりの4歳次男もそこに乱入してくること。『次男くんのことも見てよー!』『レゴでこれつくって』『ママ、麦茶とって』と絶え間なく要望が来て、もう毎日ヘトヘト。まだ学習習慣のついていない低学年と未就学児の組み合わせは無理ゲーすぎです!」

 

後回しにした自身の仕事は、早朝に起きて何とか帳尻を合わせているという高瀬さん。睡眠時間を削る日々が続いて、心身はすでにボロボロ…。もはや祈るような気持ちで学校再開を待ち望んでいるそうです。

 

コロナ禍であらわになったのは、子育て中の多くの女性たちが「自分が家庭の“調整弁”になっているように感じた」という現実です。

 

子どもの勉強や家庭運営を優先させるためには、自分(母親)が勤務形態や勤務時間を変えていくしかない。働く女性がそう考えるようになる背景には、さまざまな要因があります。

 

「夫のほうが収入が上だから」という金銭的な理由。 「男は仕事、女は家庭」という性別役割意識。 「子どもには母親が一番」という世間の風潮。

 

もちろん、どういう選択を取るかは各家庭の自由です。すべての条件を吟味した上で、家庭に入る道を選ぶ女性もいるでしょう。専業主夫の男性も着実に増えてきています。

 

    それでも、今回の外出自粛で「調整しやすい仕事に就いているのは結局、ママ」「子どもの世話は結局、ママ」といった現実が表面化したことで、ジェンダー格差について考えた女性も多かったのではないでしょうか。

     

    働くママたちにとって、今回表面化した家庭内ジェンダーギャップは、今後の彼女たちの働き方や家庭における男女の役割を見直すきっかけになるかもしれません。