弁護士費用には実際どのくらいのお金がかかる?

—— 法律相談の金額はいくらくらいですか?

 

上谷さん:

相場としては30分5500円(税込)、1時間だと11000円(税込)くらいです。2004年から弁護士報酬は自由化されたので、30分1〜2万円というところもあります。金額は事前に確認しておくのがいいですね。

 

——もし、パートナーと離婚したくて弁護士をお願いしたい場合、どのくらいの金額を目安に準備すればいいのでしょうか? 

 

上谷さん:

うーん、協議離婚か調停離婚か裁判離婚か、また相談内容によっても変わるので、金額は一概には言えませんが…。


まず、弁護士費用には着手金と報酬金があります。着手金は、依頼をする際に支払う費用で大体30〜50万くらいです。報酬金は、依頼した問題が解決したときに支払う費用で、成果に応じて決まります。相手側から慰謝料の支払いがあれば、その10〜20%を報酬金として支払うのが目安です。


—— 収入が少ないパート主婦の場合、自分で用意できるお金は限られます。離婚したくて弁護士相談したくても、金額が心配で二の足を踏んでしまうこともあると思いますが…。

 

上谷さん:

法テラス(日本司法支援センター)では、相談者の年収に応じて費用を立て替えてくれる、民事法律扶助制度(※)があります。収入や資産の審査を通過すれば、着手金と実費などは法テラスが立て替えてくれ、申込者は毎月分割した金額を法テラスに支払う制度です。自分の年収で制度を利用できるかどうか、問い合わせてみるといいでしょう。

 

困ったことがあったときには、決して我慢などせず、法律家を頼っていただきたいなと思います。

 

 

理不尽な目にあったり、つらい思いをしたときは、「我慢しなくていい。自分の気持ちや意見を主張していいんです」という上谷さんの言葉が印象的でした。法律を味方につけ、女性一人ひとりが小さな声をあげ始めることは、私たちや子どもたちの未来を明るくする一歩になるに違いありません。


PROFILE 上谷さくら(かみたに・さくら)さん

上谷さくら
弁護士(第一東京弁護士会所属)。犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長。第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会委員。元・青山学院大学法科大学院実務家教員。福岡県出身。青山学院大学法学部卒。毎日新聞記者を経て、2007年弁護士登録。保護司。2020年5月に著書『おとめ六法』(KADOKAWA)を出版。

取材・文/早川奈緒子  イラスト/Caho
※法テラス(日本司法支援センター) https://www.houterasu.or.jp/houterasu_gaiyou/mokuteki_gyoumu/minjihouritsufujo/index.html