2019.08.20
子どもが小学校に入学すると、向き合うことになるPTA。本来は「入りたい人」が入って活動する「任意加入の組織団体」ですが、一部の学校や地域では義務のようになっているという現実も事実。辞められると聞くけど、実際にどうやって退会や入会拒否をするの? 子どもへの影響は? ママたちの体験を聞きました。
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■「退会届」を持って校長先生のもとへ(明日香さん/34歳/介護士)
子どもが公立小学校に入学、気がつけばPTAに入会していました。その時点で年会費が発生しますし、本部役員や委員に選ばれる可能性も生じます。フルタイム勤務の私にとって、できれば避けたい道でしたが、仕方ないことだと思っていたんです。
しかし別の学校のママ友と話していたある日、彼女がPTA会員を辞めたことを知りました。そもそも「PTAを辞められる」ということすら知らなかった私にとっては、衝撃的な話。彼女が辞めた方法を詳しく聞き、その通り実践することに。
「PTA退会届」を校長先生に提出し「PTAを辞めたい」と申し出る…これだけです。軽い引き止めはありましたが「そもそも加入意志はなかった」と説明しました。ちなみに私の場合、辞めた後の子どもへの不利などはいっさいありませんよ。
■入会拒否には「PTA非加入届」(智子さん/39歳/営業)
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PTA役員の過酷さやストレスについては、役員経験ある先輩ママに聞かされていました。役員はくじ引きや推薦で決定され、回避できないことも。その先輩ママは結局、PTAの仕事が忙しすぎたせいで会社を辞め、いまも専業主婦をしています。
心配をしていたとき「PTA会員にはならなくてもいい」ことを知ったんです。そこで、息子が入学したタイミングで「PTA非加入届」を出しました。学校に聞いたところ「PTA非加入届」は用意されていなかったため、自分で作ることに。
無事に届は受理され、PTAに入ることなく小学校生活を過ごしています。余談ですが、私が作った「PTA非加入届」の内容も記載しておきます。「PTA非加入届」という表題と「保護者の名前」「児童の学年組と名前」だけでした。簡単すぎて、逆にびっくりしましたね。
■固い決意をあらわすための〝保険〟(真希さん/38歳/看護師)
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子どもが1年生のときにPTAの本部役員になりました。当初の説明では「平日の集まりはほとんどない」はずだったのに、現実はまったく違うものでした。火曜の夜8時に、突然「明日の朝9時にPTA室に集合してください」と招集メールが届くとか。
「仕事があるど、行かないと何を言われるか分からない」…そんな恐怖から、翌日は仮病を使って仕事を休み、PTA活動に参加しました。そんなことが、わずか1か月の間に5回…この先続けるのは、絶対無理です。
そこで、PTA会長に「役員を辞めさせてほしい」と直談判したのですが「無責任すぎる!」と即座に却下され、延々と引き止めにあいました。考えたあげく、仕方ないのでPTA会員自体を辞めることに。
しかし会長の剣幕からして、普通に「退会届」を出しただけでは受理されない可能性もある。そう思い、ある〝保険〟をつけました。それは、PTA退会に関する過去の訴訟資料や、PTAを辞めた人のブログ記事などです。
「私はここまで調べている」という、脱会への固い決意をあらわしたつもりでした。これが功を奏したのか、その後は無事にPTAを退会できました。
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PTAは本来「保護者と先生が協力して子どもたちの学校生活を豊かにする」のが目的。学校や子どもたちをめぐる環境や、ライフスタイルの変化などにフィットしていない部分はあるものの、目的自体は理解できるのではないでしょうか。辞める決心をする前にもう一度だけ、なにか工夫できるところはないか、譲歩できるところはないか、確認してくださいね。
ライター:葛西 明
人材派遣及び、人材紹介を行う会社に勤めるサラリーマン。求人募集の文章を書くのが楽しいと感じて以来、ライターとしても活動中。家事が苦手な妻と結婚後、気付けば兼業主夫になっていることが悩み。