2019.10.07
家事や育児をがんばっているからこそ「自分のやっていることを認めて欲しい」という承認欲求が強く、ママ友に〝良いママアピール〟をしてしまうことがあるようです。でも周りからは賞賛されるどころか「めんどうな人」「関わりたくない」と思われてしまうことも。それでも「アピールがやめられない」ママたちのお話を聞きました。
■褒めて欲しくてアピールしてしまう(蘭さん/29歳/販売)
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昔から裁縫が趣味で、子どもの服や小物はすべて手作りしていました。作りながら「私ってなんて良いママなんだろ~」と考えることもしばしば。でも保育園や近所のママ友たちは、なぜか私が作った子ども服の話に触れてくれないんです。
気持ちが消化不良になって、いつしか自分から「これ、私が作ったんだ~!」とまわりに言うようになっていました。まさに〝良いママアピール〟ですよね。さらに、「よかったら作ってあげようか?」と、自分から言ったりして。
でもママ友たちは「すごい!」とか「えらい!」という言葉しか言ってくれません。それどころか「あの人は自慢したがるヤバいママ」「お粗末な自作の服を押し売りされる」という噂まで流れてしまいました。
それでも手作り子ども服の自慢がやめられないんです。それどころか、なんとか悪い評判を挽回しようと、さらにアピールしまくって…そんな自分に嫌気がさしています。
■「叱らない育児」を認めて欲しくて(玲子さん/34歳/パート)
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私は「叱らずに子どもと話し合う育児」をしています。様々な本を読んだ結果、この教育法にたどり着きました。息子がなにか悪いことをしたときは一方的に叱るのではなく、同じ目線に立って時間をかけて話し合います。
はたから見たら「甘い親」だと思われるかもしれません。だから聞かれてもいないのに、自分の育児論について熱弁してしまうんです。特にママ友の前で子どもが悪いことをしたときは、慎重に話し合う様子を見て欲しくて。
心のなかでは、ママ友たちに理解してほしいと思っているんでしょうね。でもあるとき、息子が保育園のお友だちと言い争いになり、叩いてしまったことがありました。そのときにその子のママから、こう言われてしまったんです。
「あなたは叱らずに話し合う方針みたいだけど、お子さんはあまり理解していないようね。あなたがしていることって、本当に教育なの? ただの良いママアピールにしか見えないけど」。私にももう、何がしたいのかよくわからなくなっています。
■気づいたらママ友フォロワー不在(梨花さん/27歳/パート)
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私は、自分が作った子どものお弁当や食事をSNSにアップしています。これはママ友に見てもらいたいがため。以前ママ友たちが「最近の若いママは子どもの食事に手を抜く」と言っているのを聞いていたからです。
でも自分から「私、こんなお弁当作ってるの!」とアピールするわけにもいかないので、SNSという方法で発信。でも毎日アップしていると、どんどんエスカレートしていって。お弁当はキャラ弁に、食事も栄養やバランスは二の次で、見た目重視に変わっていったんです。
自分でもわかっていたのですが、日々増え続ける「いいね!」の数に、やめることができませんでした。しかしある日ふと気づけば、フォロワーからママ友たちがすっかり消えていたんです。本来見てほしい観客は不在で、いるのは見知らぬ人ばかり。いったい何のためにやっているんでしょう?
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周りからよく思われていないのはわかっていても、承認欲求を抑えられないママたち。他人の評価を気にすることは、それ自体が大きなストレスにもなります。自分の価値観を大切に、子育てを楽しめるようになることを願っています。
ライター:葛西 明
人材派遣及び、人材紹介を行う会社に勤めるサラリーマン。求人募集の文章を書くのが楽しいと感じて以来、ライターとしても活動中。家事が苦手な妻と結婚後、気付けば兼業主夫になっていることが悩み。