2019.08.26
誰しも「自分基準」で物事を考えてしまいがちですが、こと保育園ママたちの「生活水準」に関しては、それはとっても危険です。収入はもちろん給与体系や、親からの援助の有無など…それこそ千差万別で、おいそれと話ようなものではありません。うっかり「自分と同じくらい」と見誤って、地雷を踏んじゃったママたちの失敗談です。
■私のよそ行きは、彼女の作業着(美香さん/32歳/スーパー店員)
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子どもを保育園に預けて共働きということは、みんな「旦那さんの収入だけでは足りず、奥さんもパートなどで働いて家計を支えている」のだと、思い込んでいました…まさに、わが家がそうなんですけど。
お迎えでよく会うママと仲良くなりました。洋服はいつも、私も御用達の庶民的プチプラブランドですし、同じようにパートをしているママだと思っていたのです。ところがある日、自宅に子どもの忘れものを届けに行ってびっくり!
なんとたいそう大きな一戸建てで、広々とした庭にはトピアリーがずらりと並んでいたんです。じつはこのママ、趣味でやっていたガーデニングがSNS投稿で注目され、いまや「トピアリー作家」として活躍、自宅をアトリエにしているんだとか。
ご主人の収入だけでも十分生活できますが「刃物を使うので子どもがいると危ない」という理由から、個人事業主として届け出を出して、子どもを保育園に預けているんだそう。同じ生活水準だなんてとんでもない!
私にとってはよそ行きのプチプラブランドの服も、彼女にとっては作業着。「いかにコスパがよくて流行っぽいか」なんて、得意げに語っていた自分が恥ずかしくて…それでも変わらず仲良くしてくれる彼女に、感謝しかありません。
■シングルだから大変かも(喜美さん/35歳/事務員)
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うちの園では、運動会や発表会などの行事だけに着る「体操服」があります。普段は私服なので、使う回数が少ないわりに結構高価。そのため、卒園したりサイズアウトしたら、誰かに譲るのが暗黙のルールになっていました。
息子が卒園して間もなく、わが家のとなりにシングルマザーの親子が引っ越してきました。ご挨拶がてら話していると、息子さんが春から同じ園に通うことがわかったんです。私はさっそく「良かったらどうぞ」と体操服を譲りました。
「よかったな、母子家庭なら大変だろうし」なんて思っていたのですが…しばらくして、彼女のご実家はとんでもない資産家だと判明。わが家のとなりの部屋も「保育園に近いから借りた別宅」だったそうで。
そんな人におさがりの薄汚れた体操服をあげるなんて…丁寧にお礼を言ってくれましたが、本当はいらなかったと思います。勝手に「シングルマザーだから大変かも」なんて、思い込んでいた自分が、本当に恥ずかしいです。
■地雷はそっちか!(ほのかさん/32歳/公務員)
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長男が卒園する年、アルバム制作のために保護者が集まったのですが、そこで子どもの習い事の話題になったんです。「何かさせてる?」と聞かれたので「スイミングと英会話とピアノに行かせてるよ」と答えました。
すると「えっ! すごいね…」と微妙な空気に。教育ママだと思われたのかと「子どもが行きたいって言うから仕方なくね〜」と弁解したのですが、「子どもが行きたいって言って、行かせられるのはすごいよ…」と、むしろもっと重い空気に。
(そっちか!)と思ったけれど、すでに時遅し。ひとりのママが「うちにはとてもそんな余裕ないわー」と言ったのを期に、他のママたちもがうんうん頷きはじめ、私だけが完全にアウェイな空気になってしまいました。
そして「うちは親の介護費用を…」「旦那が給料削減で…」と、各家庭の経済事情が暴露され始めたのです。(やっちゃった…)と思いましたが、これ以上なにを言っても、嫌味にしか聞こえないだろうと思い、沈黙を守っていました。
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「生活水準」については大っぴらに話すことではなく、各家庭の事情がわからないがために、見誤ると失言を招く可能性も。その手の話には、少し警戒しながら話すくらいがちょうどいいのかもしれません。
ライター:矢島 みさえ
心理カウンセラーとして勤務しながら、ライターとしても活動中。オタクな母と同じ道を歩まぬよう、2人の娘には、王道のアニメしか見せていなかったにも関わらず、長女は創作活動、次女はマイナー路線への道を歩み始めていることに、少し頭を悩ませています。