2019.06.13
ママ友から「相談がある」と言われて話を聞いたら…それはなんと、離婚問題。人生を左右する一大事に軽々な発言はできないし、ましてや経験でもなければ具体的なアドバイスだってはばかられます。とはいえ、心底悩んで自分を頼ってきた友だちです。「なんとか力になりたい」と思うのは、当然のこと。このような場合、どんな対応をするのが誠実なのでしょう? 相談された経験を持つママに、お話を聞きました。
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■頭を整理する手伝いをした(陽子さん/33歳/営業職)
保育園のママ友から、離婚について相談されました。なんでも旦那さんの浮気癖が治らないようで、ついに限界が。「どうしたらいいと思う?」と、泣きながらアドバイスを求められたんです。
話を聞いて「絶対離婚したほうがいい!」という言葉が喉まで出かかりました。でも、かろうじて思いとどまりました。勢いに任せて離婚をすすめては、今後の彼女の人生を大きく左右しかねないと思ったからです。
そこで「頭の中を整理する手伝い」をすることに。
「あなたはどうしたいの?」
「もし離婚するとして、子どもはどうするつもり?」
「ひとりで子どもを育てていくだけの収入は確保できるの?」
考えられる状況に対し、ひとつずつ丁寧に質問していきました。その結果、彼女が出した結論は「子どもが成人するまでは我慢する」というもの。自分の現状と向き合った結果「いま離婚するのは得策ではない」と判断したのでしょう。
あのとき、軽々しいアドバイスをしなくて、本当によかったと思っています。
■聞き役に徹しました(真奈さん/29歳/事務員)
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ママ友に「大事な話がある」とカフェに呼び出されました。いつも明るい彼女が、珍しく神妙な面持ちで話し始めたのは「離婚話」。旦那からのモラハラと軽度ではありますが暴力を受け、ずっと悩んでいたというのです。
外ではいつも笑顔で、悩んでいる素振りなんて微塵も見せなかったのに、裏ではそんな思いをしていたなんて…気づくこともできずショックでした。でも、打ち明ける相手に私を選んでくれたことは嬉しくもありました。
そして、「離婚しようかどうか悩んでいる」と…彼女の運命の分かれ道に、無責任なことは言えない。悩んだ末、彼女の話をただただ聞いてあげることにしました。意見やアドバイスは避け、ただ「うんうん」と頷きます。
さらに「大変だったんだね」「辛い思いをしたね」「私まで悲しくなってくるよ」と、こちらの理解をきちんと伝えて。しばらくすると、彼女が「離婚しようと思う」と自分で決断を下したのです。
「真奈さんが話を聞いてくれたから、頭が整理できた!」と、その日初めての笑顔も見せてくれました。その後、彼女は宣言通り離婚しましたが、きっと私に相談した時点で、だいたいの答えは決まっていたんでしょうね。
■私は絶対にあなたの味方!(美希さん/34歳/保健師)
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以前からママ友に「旦那に浮気相手がいるかもしれない」という話を聞いていました。ある日、ついに決定的な証拠をつかんだようで「離婚しようかどうか迷っている」という相談を受けたんです。
とはいえ離婚経験者でもない私が、そんな重大な相談に的確なアドバイスができるとは思えません。決断はあくまで本人が下すもの。(絶対に無責任な発言だけは避けないといけない)と思っていました。
だから徹底して「彼女に寄り添う」ことだけを伝えたんです。「あなたがどんな決断を下しても、私は応援するよ」「離婚してもしなくても、いつでも相談に乗る」「これからもずっと友だちだから」と繰り返しました。
結果的に彼女は離婚しました。そして私とは、いまでも仲の良いママ友です。「他のママ友が『絶対離婚したほうがいい!』と旦那を中傷するなかで、美紀さんだけは違った」と、いまでもそのときの私の対応に感謝してくれています。
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この場合「相談」とはいうものの、他人が「こうしたほうがいい」とアドバイスするのは避けるべき。人生の一大事を決められるのは、結局自分自身でしかありません。友だちとしてあげられるのは、「結論を出す手助け」と「何があっても寄り添う気持ち」。ずっといい友だちでいるために、お互いに支え合ってくださいね。
ライター:葛西 明
人材派遣及び、人材紹介を行う会社に勤めるサラリーマン。求人募集の文章を書くのが楽しいと感じて以来、ライターとしても活動中。家事が苦手な妻と結婚後、気付けば兼業主夫になっていることが悩み。