子どもの自己肯定感を上げるマインドフルネス

背中を預けて気持ちを話し合う「お背中トーク」

 

イラスト:大金丈二 『感情の知性(EQ)を伸ばす 学校と家庭でマインドフルネス! 1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク』(学事出版)より

 

背中でぬくもりを感じながら気持ちを素直に語り合うことで、つながりが得られる安心感、感謝の気持ちがアップします。否定や評価なしでただ耳を傾けてくれる相手がいることで、自己肯定感が育まれます。 (1)親子で背中を合わせ、体育座りをする。 (2)「話し役」「聞き役」を決めて、何について話し合うのかテーマを決める。 (3)背中合わせのままで「話し役」から2分間、テーマについて話をする。その間、聞き役は「うんうん」「そうなんだ」などの相槌以外は口を挟まない。 (4)話し役と聞き役を交代して(3)を行う。

 

POINT

「出来事」ではなく、「自分の気持ち」を話すのがポイント。背中にぬくもりを感じながらも顔は見えない背中合わせの体勢だと、本音を話しやすくなります。最初に大人が「聞き役」にまわるとスムーズに。気持ちを込めてしっかり「聞いているよ」という姿勢を見せてあげてください。

 

「最近嬉しかったことは?」「学校で今ちょっと大変だなと思っていること」「お友達とケンカしたときどう思った?」など、話し合うテーマは何でもOK。聞き役は相手が話しやすいように、きちんと相槌を打ってあげましょう。ただし、途中で「お母さんはこう思うけど」「それは違うよ」など口を挟んで遮るのはNG

 

一緒に暮らしている家族でも、普段の会話は「出来事の報告」や「業務連絡」に意外と偏りがち。皆さん、「気持ちの交換」まではできていないのではないでしょうか。

 

お背中トークのような形で、「気持ちを素直に話す」と「しっかり聞いてもらう」がセットになっている場をつくると、子どもの安心感は格段にアップします。新しいことに取り組む積極性、失敗しても再挑戦するパワーの獲得、そして親への信頼感も育まれます。

肯定感&モチベーションを上げる「頑張った自分ノート」

 

イラスト:大金丈二 『感情の知性(EQ)を伸ばす 学校と家庭でマインドフルネス! 1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク』(学事出版)より

 

「今日できたこと」「今週がんばったこと」など期限を区切って、自分が取り組んだこと、できたことを紙に書いていきましょう。自己肯定感とモチベーションの向上につながります。 (1)紙とペンを用意する。 (2)今週がんばったこと」を3つ、紙に書く。3つ以上あれば加えてもOK

 

POINT

大切なのは、書いた後の紙を見直して、湧き上がるポジティブな感情があれば、それに気付いていくこと。また3つを挙げるのに苦労したり、「こんなことを書いてもいいのかなぁ」という迷いがあったりしたなら、それも認識できるようになります(日頃から自分に厳しい、という気付きになる)。どんな小さなことでもいいので、がんばったことを言語化・確認すると、自分の努力を自分で評価できるようになります。

 

「私ってダメだ」と自分を責めるのは、実はとても簡単なこと。脳には、ネガティブな感情や思考に引きずられやすいという特徴があります。だからこそ、自分で自分がポジティブになれるようなワークをする時間を意識的に設けることが大切。

 

紙に書くだけでもいいですし、1冊のノートにまとめるのもおすすめです。定期的に「頑張ったこと」を積み重ねながら、振り返ることで、努力が可視化され、モチベーションがさらにアップします。 … 心の土台を安定させ、努力を自分自身で評価できるようになれば、親や世間のものさしではなく、子どもは「自分のものさし」が持てるようになります。情緒が安定した子どもは、学力も高まるというデータも出ています。

 

受験や習いごとの発表会など、結果が上手くいかなかった場合でも、努力したことの価値までは損なわれません。自分のがんばりをきちんと認めたり応援したりする心や、ポジティブな心を育むためのマインドフルネスのワーク、大人にもおおいに役立ちますので、ぜひ親子で試してみてはいかがでしょう。

 

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PROFILE 戸塚真理奈さん

一般社団法人heARTfulness for living協会代表理事/1977年、東京都生まれ。外資系投資銀行やIT企業を経て、一般社団法人heARTfulness for living協会を設立。NY在住時には子ども向けマインドフルネス指導者トレーニング修了。現在はマインドフルネスとEQ教育プログラムの開発・実践教育を行う。著書に『感情の知性(EQ)を伸ばす 学校と家庭でマインドフルネス!1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク』(学事出版)。

 

文/阿部 花恵