AIの「おすすめ」に頼らない、人生を選べる大人に

eスポーツを盛り上げるのが谷田さんの仕事

——知識が増える、親子のコミュニケーションに役立つという以外にゲームのいいところはありますか?

 

谷田さん:

苦手を克服する力を育てるところですね。

 

息子は「スマッシュブラザーズ」というゲームで100人抜きができずに拗ねていたことがありました。そこで「どうしたら勝てると思う?」と疑問を投げかけてみたんです。すると「苦手なところを練習したらいいと思う」と答えて。苦手な技を練習するゲームを2時間ほどやらせた結果100人抜きを達成することができました。

 

息子はゲームを通じて「できなかったこと」の原因を考え、克服することに挑戦し、壁を乗り越える経験ができた。この経験は人生においてあらゆるシーンで通用すると思うんです。勉強やスポーツでも壁にぶつかって苦手を克服し、乗り越えるという本質は同じことですから。

 

息子の例に限らず、ゲームは人生の大切な経験を代替することができるものです。人生を豊かにしてくれるものはいろいろあるけれど、ゲームも例外ではありません。

 

——変化の激しいゲーム業界で働く谷田さんですが、これからの未来を生きる子どもにとって必要な力は何だと思いますか。

 

谷田さん:

情報があふれる社会で生きるからこそ「自分は何か好きなのか」「今何を求めて、決めているのか」という自分なりの「軸」を持っていることが大切になってくると思います。

 

情報社会において、今はAIが情報を選んで候補を出してくれる時代。だんだん「おすすめ」されたものの中からしか意思決定ができなくなってしまっていないでしょうか。

 

「今、自分はどうしたいのか」「自分は何が好きなのか」の答えを持っていられるほうが、あふれる情報の中からいろんな選択肢を決めやすくなっていくと思います。

 

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ゲームは子育てにおいても、人生においても、「ポジティブな要素が多い」と経験をもとに語ってくれた谷田さん。谷田さんのゲームを活用した子育ては、子どもとゲームの上手な付き合い方の参考になるかもしれません。

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取材・文/前嶋みどり