虐待「対策」ではなく「予防」として

草地仁史さん

 

──気づきを得られるようなイメージでしょうか。

 

草地さん

そうですね。日本では「虐待対策」が議論されることが多いですが、パパカードは「虐待予防」なんです。子どもと関わるときに持っていてほしい視点を伝えることで、子どもが健やかに育つ環境が広がっていく、というのが理想ですね。

 

虐待が生まれてしまう時というのは、環境も視野も狭いことが多いんです。例えば育児で悩んでいるとき、受けられるサービスや支援はないかと探して頼ることができればいいんですが、家の中だけで解決しようとしてうまくいかず、子どもに手を上げてしまう、というような。

 

ですからパパカードでは、「困難な状況に出合ったとき、決して、ひとりで何とかする必要はありません。お父さんだって誰かに助けを求めたり、自身のことを考えてよいのです」などと呼びかけています。

 

「周りに助けてもらうのは悪いことじゃないし、非難されることでもない。むしろ子どもにとってもその方がいい」と思えるよう、視野を広げるきっかけになればと考えています。

 

──配布を始めてもうすぐ1年となりましたが、どんな使われ方をしていることが多いですか?

 

草地さん

産婦人科や小児科、児童相談所、あとは母子保健の事業などで使われています。

母子手帳を交付する時に全員に配っていただいている自治体もありますし、「父親学級」を開いている病院でも使っていただいています。「お母さんはこういう状況だから手伝ってあげて」といったお母さん目線じゃなく、「お父さん」を主語に話ができる資料はあまりないので喜ばれているようです。

児童相談所などでは、親たちに読み聞かせるような形で使い、対話のきっかけにしていると聞きました。

 

──読んだお父さんからはどのような反響があるのでしょうか。また、今後はどのように広めていきたいと考えていますか?

 

草地さん

反響としては、「背伸びしなくていいんだと思った」とか、「特別なイクメンにならなくても、今のままでいいと思ったら、より自然に振る舞えると思った」などの意見が多く、嬉しく思っています。読み聞かせをした場合の反応も良いようで、自然と「それはおかしいんじゃない」「今の言葉は響く」などの感想が出てきたそうです。

 

今後は、やはり母子手帳の交付時に配布するのが効果的なのではないかと考えていますので、そうした面での普及啓発を目指していきたいと思っています。

 

取材・文・写真/小西和香