女の子が安心して成長できるスポーツ環境を

──2020年夏に設立されたばかりのプレー・アカデミーですが、今後はどのようなイベントを行っていくのでしょう。

 

ナイキ広報担当者

現在、ナイキとローレウス財団は助成金対象団体の選定を進めています。選定後には「Made to Play Coaching Girls Guide

(※1)に基づいた、女の子がスポーツに参加しやすい環境を構築する手助けとなるトレーニングを実施する予定です。

 

──Made to Play Coaching Girls Guide」とは?

 

ナイキ広報担当者

2020年8月にナイキが発行したコーチングガイドです。女の子がスポーツでぶつかる障壁を低くするサポート方法などを、コーチの皆さんに紹介する無料公開のリソースです。

 

ナイキとWe Coach(コーチングに関するアメリカの専門団体)が作成し、世界各地の専門家グループのサポートを受けて(日本ではルーデンスジャパンが監修)、女の子が安心・安全な環境でスポーツをより楽しめるようなツールを紹介しています。

 

たとえば、指導者側は女の子の身体の発育や月経症状についての基礎知識を備えておく、指導の際は身体接触を控えるなどの配慮を行うことで、女の子が安心してスポーツを学べるような環境づくりの指針を提案します。

 

2021年には、プレー・アカデミーの助成金プログラムによって、女の子がアクティブに動けるさまざまな機会や活動を提供できることを目指しています。

 

もちろん、新型コロナウイルス感染拡大防止策を考慮して、遊びやスポーツの活動再開に向けて、安全の担保や活動実施するタイミングの判断、および、必要に応じて現地の保健当局から方針や助言を仰ぎながら検討・判断していく予定です。

スポーツにはジェンダー平等を進める力がある

──「スポーツで女の子をエンパワーメントする」ことが、社会にどのような影響をもたらすと思われますか? 

 

ナイキ広報担当者

スポーツにはジェンダーの不均衡を是正し、女性のエンパワーメントを促進する力があります。

 

コートに立つ大坂なおみ選手をはじめとする第一線で活躍する女性のアスリートやコーチ、また身近なロールモデルとなる人の存在は、「女の子なのに」「女の子だから」といった性の固定概念を打破して、女の子たちに自信を与えてくれます。

 

女の子が参加しやすいプログラムを設計することは、女の子が自分をアスリートとして認識する姿勢に大きな影響を与えることでもあるのです。

 

ナイキの目的は、スポーツを通じて世界を団結させ、それによって健全な地球、活発なコミュニティおよび誰にでも公平な環境を構築することです。

 

その一環として、従業員である私たちも無意識からの偏見や差別にまつわる意識変革を目的としたトレーニングを行っています。偏見になりかねない言動に気づくことで、差別を防ぎ、相互理解に基づく対話を持てるように日々、努めています。

 

 

コートの中でも外でも、臆することなく自己主張をしっかりとする大坂なおみ選手。その毅然とした姿は、子どもたちはもちろん、スポーツから遠ざかった大人にも鮮烈な印象を与えます。

 

ロールモデルを示し、環境を整備すれば、女の子はもっとスポーツと親しめる。スポーツを通じて自分に自信を持てる女の子が増えることは、ジェンダー平等の一歩にもなるはずです。

 

プレー・アカデミー with 大坂なおみ

ナイキとローレウス・スポーツ・フォー・グッド財団(以下「ローレウス」)が連携し、女の子のスポーツ参加を促進するため、大坂なおみと共に設立した助成プログラム。女の子がスポーツや遊びを通じて、よりポジティブな体験を得られるよう、助成金の提供、イベントの実施、そしてコーチ研修を含めた能力強化トレーニングを行い、地域コミュニティ団体をサポートする。

 

文/阿部 花恵 

(※1)https://www.nike.com/made-to-play

参考/大坂なおみ公式インスタグラム https://www.instagram.com/tv/CDcBLleJe-j/