長い年月をかけて映像授業の活用を展開

テキストの問題がわからなければ、QRコードで解説を聞くことができる。画面は教師の手元だけ

 

──映像授業を取り入れた20年前には今ほどインターネットは普及していなかったと思います。啓明館では、制作した映像授業をどのように活用してきたのでしょうか。

 

後藤さん:

そうですね、当初は今ほどネット環境が普及していませんでしたから、家庭で視聴することは想定していませんでした。休んだ分の授業動画を観たい子、苦手科目の復習をしたい子に、塾の空き教室 のブースで映像をみてもらっていました。

 

やがて、ネット環境の普及にともない、月額制でこれまで蓄積してきた映像授業を自宅で好きなだけ視聴できる仕組み、「中学受験@will(アット・ウィル)」をスタートしました。

 

ただ、家のパソコンで授業動画を視聴させると、親が目を離したすきに他のサイトをみて遊んでしまうという課題もありました。入試直前対策の映像などは好評でしたが、日常的に利用してもらうにはまだほど遠い状態でしたね。

 

そこでさなるグループが独自開発した学習タブレットを2017年から啓明館生にも配布。有料の「@will」のほか、塾生が無料で視聴できるコンテンツを大幅に増やしました。

 

算数の予習映像はすべて用意されていますし、テキストのわからない問題はQRコードから解説映像に飛べたりするような仕組みを整えています。今はほぼ全員に、映像授業を日々の学習に有効活用してもらえるようになりました。

 

こうした20年近くの積み重ねがあったから、コロナ禍に伴う一斉休校にも対応できたと考えています。

 

──効率的に学習できる動画コンテンツは、発達がまだ未熟な小学生が中学受験を戦うのに、大変有効なんですね。次回はオンライン学習との賢い付き合い方について伺います。

 

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取材・文/鷺島鈴香 撮影/河内彩