安全性への配慮は


お母さんたちが一番気になるのは安全性だと思います。 利用できるベビーシッター事業者は都が基準を設けて認定し、担当するベビーシッターは都が指定した研修を受けるなどの対策を取っているとのこと。 また、厚生労働省は「ベビーシッターなどを利用するときの留意点」を発表しているほか、東京都は事業の利用案内でも考え方を公表しています。 納得して預けられるよう、自分でも事業者をきちんと選び、事業者との打ち合わせでは保育中に配慮してほしいことなどを丁寧に伝える必要があるでしょう。

 

kosodate20190422-2

 

今後の広がりに注目


これまでどれくらいの利用があったのでしょうか。 都に利用状況を伺ったところ、18年度にこの事業を実施したのは5区市で、利用したのは14人でした。 台東区では、18年12月から事業を実施し、同年度は8人が利用。19年度に向けては50件以上の問い合わせがあり、4月9日現在で7人が利用しているとのことです。 区の担当者に話を聞くと「待機児童解消はもちろん、多様な働き方にも対応できる」と評価していました。 19年1月から事業を開始した目黒区では、開始直後は多くの問い合わせがあったものの、昨年度の利用は3人。 区の担当者に取材したところ、利用開始までおよそ1か月かかることや手続きに手間がかかること、4月入所の内定が出る時期と重なったことなどから、問い合わせたものの利用に至らなかった人もいたのではないかと分析していました。

 

検討した方は多くいたものの、利用するにはまだハードルがあるようです。

 

また、事業を実施しているのは12区市に限られるため、使いたくても使えないというお母さんも多いのが現状です。 都の担当者に話を聞くと、「ベビーシッターにあまりなじみがないことや、こうした支援事業よりも保育園を増設するなどの対応を優先するという考え方の区市町村もあること、さらに、市部はベビーシッターが行きにくいということも影響し、今のところ12にとどまっているのではないか」としており、今後どの程度広まっていくのかが注目されます。

 

選択肢を増やせる可能性も


今のところ都の狙いほどは利用が進んでいないベビーシッター利用支援事業。 ベビーシッターをお願いしたことがないというお母さん・お父さんも多いのでためらう気持ちがあるのかもしれません。 ただ、選択肢が増えるのは悪いことではないはず。 対象者であれば、一度事業者に話を聞くなどして調べてみると可能性が広がるかもしれません。 お住まいの区市町村が実施していなくても、今後利用できるようになる可能性もありますので、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

 

文/小西和香