これが父親の正しいあり方なんて…人それぞれだし、それでいい

 

―――ちなみに、今は家事や育児の役割分担はどのようにされていますか?担当制ですか?

 

髙橋

うちは、Googleカレンダーでスケジュール管理をしています。完全に仕事的な(笑)。子どもが熱を出した時とか、何か起こった時には「どうする?」みたいな相談をするんですけど、「私、無理」って言われちゃうと、自分が行くしかないってなるから、何とか仕事を調整して迎えに行ったりしています。男性の意識が変わんないともう回らないって思ってるので。あとは、子どもと妻が寝た後に、楽しみながら家のことをするのが僕のスタイル。音楽をかけながら、酒飲みながらね、洗濯物を畳んだり、自分の靴を磨く。ついでに妻のハイヒールも磨いて並べておく。そうすると玄関がすごい綺麗になるんです。

 

寺島:

髙橋さんが仕事で忙しくてできない時って多々あると思うんですけど、「やってないじゃん」とか言われないですか?

 

髙橋

それはさすがにないですね。

 

―――夫婦ともに、そこは思いやりが必要ですよね。

 

寺島吉昭さん(総合商社勤務、小3女子、小1女子、年中男子のパパ)
寺島吉昭さん(総合商社勤務、小3女子、小1女子、年中男子のパパ)

 

寺島:

うちは完全に自然な流れでやってますね。家に帰ったら全部きれいに片付いている時もあれば、洗い物とかごちゃっとなっている時もあります。帰宅した時に子どもがまだ寝ていなければ、僕が子どもを寝かしつけて、ご飯を食べてから洗い物をするとか、洗濯物がかかったままなら畳むとか、臨機応変にやっています。でも自分が仕事で本当に忙しい時は、お酒飲んでそのまま寝たりもします。それで次の日の朝にやるとか。その日の夜に絶対やらなきゃいけないという風にも決めていないんです。

 

阿部:

うちは、基本は分担を決めていて、それでできない時にはお互いで助け合う。料理が妻、お皿洗いとか洗濯は僕。水仕事はできれば妻にやらせたくないっていうのがあって。手が荒れちゃうから。

 

寺島:

それぞれ家庭環境も違うし、経済状況も違うから、正解ってないと思うんですよね。 それぞれのポリシーとか信念って原体験から生まれてくるもので、それを「いまの世の中こうだからこうしなきゃいけない」とか、「その考え方はダメだ」という風に外からいうのは無理がある。原体験に正解はないですから。結局、それぞれパートナー間ですり合わせするしかなくて。そのためにも、色々な家庭の話を聞いて、ヒントやエッセンスをもらいたい。その上で、自分なりの考え方も持っているので、それを実践していきたいって思いますね。もしかしたら理想とする生活とは違うかもしれないけど、夫婦一緒に家庭を作っていく、子どもを育てていく上では、現実問題としていまは大変だけどしょうがないよねって現状を受け止めて、臨機応変にやっていくしかないんじゃないかな。

 

これは母親の仕事、という無意識の思い込み

 

松延:

うちは阿部さんのところと似てるんですけど、掃除、ゴミ出し、洗濯のように分担がわかりやすいもの以外で1個だけ「これはあなたがやって」って言われたのが、通知表のコメント。長女が小学校1年生の時に言われたんですけど、「それ俺?母親の仕事だろ?」って最初は思って戸惑いました。

 

寺島:

それはどうして母親だろって思ったんですか?日々の勉強は母親が見てるから?

 

松延友記さん(「フレディ レック・ウォッシュサロン」プロデューサー、高1・中2女子のパパ)
松延友記さん(「フレディ レック・ウォッシュサロン」プロデューサー、高1・中2女子のパパ)

 

松延:

単純に、それを父親がやっているイメージがまったくなかったっていうだけなんですけど。最初は、学校のことなんかわからないしって感じで戸惑いました。でも書かなきゃいけないって思ったら、学校でのことも見るようになったし、先生の名前も覚えるし。それが狙いだったのかな、わからないですけど。あとで6年分見返せるから、やってよかったなって思いますね。いい仕事を俺に与えてくれたなって。

 

———これまで当たり前と思っていた夫婦の役割も、まっさらな視点で考え直すことで、新しい夫婦のあり方が見えてくるのかもしれませんね。でも、世の中的には子どもと遊ぶのはいいけど、いわゆる家事・育児はやらないパパはまだまだ多いように思います。

 

髙橋

:テレビで観たんですけど、育児休暇を取れば参加してる感を出してしまうパパがいっぱいいるって。育児休暇の期間が終わればあとは何もやってない。仕事が忙しいですからって。そんなのでいいんですか?って思いますよね。なんとなくママに対するアピールにしか思えないところがあって、僕はあまり好きじゃないですね。育児休暇を取ることで子どもとスキンシップをとる楽しさとか感じてくれたらいいんですけど。いまになって思うと、0歳児とか1歳児のほっぺたとか触ったりするだけで超癒される。

 

寺島

:ニオイとかも。かわいいですよね〜。その時は夜泣きとかで大変だろうけど、いまだけだよって教えてあげたくなりますよね。

 

次回は後編「今の時代の父親らしさは威厳よりも信頼感!子供が成長したら父親なんて無力だ」をお届けします。

 

取材協力:

特定非営利活動法人スーパーダディ協会(SDA

取材場所提供:

フレディ レック・ウォッシュサロン トーキョー

取材・文/田川志乃 撮影/菅井淳子