2018.10.01

幼保育無償化の最新情報!家計はどうなる!?

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今年(2018年)7月末、内閣府より幼児教育・保育の無償を来年(2019年)10月から本格実施との方針が発表されました。

 

3歳~5歳児は家庭の状況や収入に関わらず全員が無償、0~2歳児は住民税非課税世帯が無償(ただし上限あり)という制度にほぼ確定しそうです。

 

「いま認可外保育園に通っているわが家はどうなるの?」「えっ、保育園が無償なら預けてパートに出られるかも…」「でも、待機児童がすごく多いのに、無償って言われても入れないよ!」など様々な疑問の声が上がっています。

 

細かい部分は今後変更になる可能性がありますが、現時点で分かっていることや、指摘されている問題点などをまとめてみました。参考にして下さいね。

 

まずは「幼児教育・保育無償化」制度をおさらい


当初、この制度は「2019年4月から5歳児の無償化スタート、それ以外は2020年スタート」という案が出ていましたが、2018年9月現在では以下のようになっています。

 

  • 3~5歳の保育園・幼稚園・認定こども園→全員が無料(ただし幼稚園の保育料は25,700円が上限)
  • 3~5歳の認可外保育施設→月37,000円まで
  • 0~2歳の保育園・幼稚園・認定こども園→住民税非課税世帯のみ無償化
  • 0~2歳の認可外保育施設→住民税非課税世帯のみ、月42000円まで
  • 幼稚園の預かり保育・ベビーホテルなども対象
    (幼稚園預かり保育は保育料57万円+預かり保育1.13万円=計3.7万円まで)

 

結局、うちはどのパターンなの?と混乱してしまいそうですが、現在すでに何らかの保育施設に通っているのであれば、園を通じて詳細が伝えられるはず。

 

また、今回の国の制度とは別に、以前から独自の保育無償制度を実施している自治体もあり、その場合は条件が変わってきますので確認が必要です。

 

無償化制度の疑問点・問題点は?


無償化はもちろん歓迎すべきことですが、現在、この制度について専門家や現場の保育関係者、ママやパパからは次のような疑問も出てきています。

 

女性の社会進出に本当につながるのか

ママが正社員であれば、育休後の復帰を前提に「収入の大半が保育料に消えていく」状態を乗り切ることも可能ですが、出産で退職したり、パート・派遣で働いていたママの場合「パート代が全部保育料に変わるくらいなら、今は勤めに出ないで赤ちゃんと過ごしたい」と考える人も少なくありません。

 

それが、「保育が無償なら、短時間だけ働けるかも」と変わることで、女性の社会進出をもっと促進したいという政府の狙いが、この制度にはあると言われています。

 

ただ、0~2歳の保育に関しては、今回の制度では住民税非課税世帯のみが対象です。住民税を払っていて、「なんとか夫の収入だけで家族が食べていける」という家庭には適用されません。

 

本当に女性が働きやすくなるためには、0~2歳児を含めた全世帯での保育費用の軽減などが必要ではないかという意見も出ています。

 

待機児童解消はいいけれど、質は保証できるの?

政府は、2020年度末までに32万人の受け皿を整備して待機児童をゼロにするという目標を掲げていますが、具体的な方法については「引き続き現状を的確に把握しつつ取組を進めていく」にとどまっています。

 

しかし、期限に間に合わせるため急速に受け皿を作ることにより、一部の認可外の保育施設などで保育の質が低下するのではないかと心配されています。

 

筆者は、これまでにお話を聞いた幼稚園・保育園・認定こども園・認可外保育施設それぞれで、保育士さんやスタッフさんはみんな全力で保育に当たってくれていると感じています。 

 

しかし、現在、ヨーロッパや韓国では無償化にしたことで子どもの健全な成長にどの程度効果があったのかを数値で評価する仕組みがありますが、日本には存在しないそうです

 

今問題になっているのは、実際に質が低いかどうかということよりも、日本に「客観的に評価する制度が存在しない」ことではないでしょうか。

 

保育者の需要は高まるが、待遇の改善が追い付くのか

また、保育の質の確保には、今後さらに深刻な人手不足が心配される保育担当者の待遇を改善することも必須と言われています。

 

国は給与など金銭面での待遇改善を検討していますが、それ以外にも、

  • 研修制度の充実(忙しく受けられないということがないように/正職員パートに関わらず受けられるように)
  • 残業代を正しく加算
  • 文書・書類関係の仕事を効率化

などの対策が必要だと言われています。

 

財源となる「消費税増税」は、子どもの未来のために使うんじゃなかったの?

ところで、これまで保護者が払っていた保育料の約8000億円分…いったいどこから出てくるのでしょうか?

 

現時点では、同じく2019年10月に10%へと引き上げられる「消費税の増収分」でまかなうとされています。

しかし、当初政府は「消費税を増税したお金で国の借金を返済する」と言っていました。子どもたちの未来に負債を残さないための増税のはずが、目先の政策に2兆円近く回してしまっては、将来、子どもたちの世代にしわ寄せがいくのでは…と懸念する声も上がっています。

 

海外とは目的が違う

近年、「幼児教育の質の向上は、その後の小学校での学力はもちろんのこと、一生に良い影響を与える」とOECD(経済協力開発機構)などから報告があり、各国で無償化の動きが盛んになっています。 

 

ただ、この海外での無償化は、「費用がかかるから、義務教育だけしか通わせることができない」という家庭の子どもたちが、早い時期から幼稚園や保育園に通えるようにと用意されたという面が大きいのも事実。

 

日本の場合、すでに幼稚園や保育園などの就園率が非常に高いので、無償化による子どもの学力の向上という効果は期待できず、海外とは事情が異なります。

 

その中で、高額所得世帯まで、税収をつぎ込んで無償化する必要性が本当にあるのか?という疑問も上がってきています。

 

幼児教育無償化でわが家はどう変わる?


最後に、この制度についてどう思うか、0~5歳のお子さんがいるママに直接インタビューしてみました。

 

Yさん(34歳・3歳と1歳のママ)は、無償化後の受け皿となる保育施設の運営が気がかりだそう。

「私は元保育士です。幼児教育と言っても、保育の場でいわれる教育とは、算数や読み書き・英語といったものではないんですよね。遊びの中で工夫してより良い方法を考えるとか、複数の子が自分の主張も相手の思いも取り入れて結論を出すなどの成長全てを教育ととらえています。無償化で入所希望者が増え、受け入れ施設を短期間で増やした場合、すべての園や施設できめ細かく子どもたちの成長を見ていけるのかは気になります。」

 

Mさん(29歳・7歳と5歳と2歳のママ)は現在は専業主婦で、まんなかのお子さんが幼稚園に通っています。

「幼稚園が無償化になったらその分を貯蓄や習い事代などに回せて助かりますが、下の子もいるので、下の子の保育園を探してまで仕事に出る予定はないですね。現状維持だと思いますが、同時に消費税が10%上がるので、無償化の分は消えていくのかな…」

 

Eさん(29歳・1歳のママ)は1歳の子を保育園に預けてフルタイムで働いています。

「今は保育園に預けていますが、もう一人子どもは欲しいと思っています。ただ、最初の1年間はよく病気をするといいますけど、うちの子、本当に熱を出すことが多くて。職場にいづらい雰囲気になってきて、退職も考えているんです。無償化といっても保育料の安くなる3~5歳の間だけなので、その後の高い教育費を考えると、二人目を生むことをためらってしまいます。仕事をやめたら次が見つかるのか、二人を育てるほど稼げるのか…まったく自信がありません」

 

Wさん(31歳・2歳のママ)は、来年幼稚園に入園する長男のために、いくつかの園の情報収集を開始したところ、無償化制度について知りました。

「保護者からの保育料を徴収しないという枠があると、予算的にもできることが限られてきそうですよね。少し学費が高くても、納得できる保育内容に自費を投じたいと思う保護者は私立の園に流れていくのではないでしょうか?この頃、ママ友の間でもそういう話が飛び交っています」

 

まとめ


今後、お子さんが3~5歳を迎えるママ全員に関わってくるこの「幼児教育の無償化制度」ですが、政府の期待通りに、女性がどんどん子どもを預けて社会進出したり出生率が上がったりするどうかは未知数です。

 

今回調べていて、筆者個人としては、単に無償化するだけではなく、「保育担当者の待遇向上」や、「男性の長時間労働解消、育休の完全取得」なども含めた総合的な対策を講じていくことが欠かせないと思いました。

 

皆さんもこの機会にぜひ「女性が働きやすい制度ってどうだったらいいんだろう?」「子どもが幸せな保育環境って?」などを一緒に考えてみましょう。

 

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文/高谷みえこ 

参考:内閣府「幼児教育の無償化について」 

「幼稚園、保育所、認定こども園以外の 無償化措置の対象範囲等に関する検討会 報告書

 

高谷 みえこ

ライター歴15年。大手企業サイトなどで執筆を行う。得意分野は女性・主婦向けの記事。育児ポータルサイトでは新米ママのお悩み相談コーナーで回答者を務めた実績を持つ。