2018.09.19

赤ちゃんの体重が増えないのはなぜ?考えられる可能性

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出産後、産院では毎日のように体重を計っていたのに、自宅に戻ると「ちゃんと体重増えてるのかな…?」と不安になりながらの育児がスタートします。

 

レンタルの赤ちゃん用体重計もありますが、計ったら計ったで「増えていない」とよけい心配になってしまうことも。

 

保健師さんの新生児訪問や乳幼児健診でも、体重が増えていないと必ず指摘されますよね。

 

赤ちゃんの体重が増えないのには、どんな理由があるのでしょうか?

 

育児書に書かれている体重増加の目安


育児書や産婦人科でもらうガイドブック、インターネットの出産育児サイトなどに書かれている一般的な赤ちゃんの体重増加のペースは、多少の差はありますが、おおむね以下のようになっています。

 

出産直後~退院まで

出産直後の数日の間は、赤ちゃんが生まれてきた時点の体重から10%前後減ってしまうことがよくあります。

これを「生理的体重減少」といい、出産直後はまだおっぱいを飲める量が少ないのに対し、お腹の中に残っているウンチ(胎便)や体内の水分が汗やおしっことして出ていく量の方が多いことから起こります。

その後、また体重は増えていき、ほとんどは生後1週間、遅くとも生後2週間までに出生時の体重に戻るといわれています。

 

生後2週間~1か月頃

生後2週目あたりから体重が急速に増え始めます。母乳の場合で一日15g~20g、ミルクの場合で一日20g~30gが平均的な体重増加といわれます。

 

生後1か月~3ヶ月

個人差はありますが、平均一日18g~30gずつ体重が増え、1か月に500gほど増えていきます。

 

生後4か月~6か月

平均で一日20~25gほど体重が増加します。生後5~6か月で、赤ちゃんが生まれた時の約2倍の体重になっているのが標準的です。

離乳食を始める子が多くなり、その影響で一時的に体重の増減が激しくなることもあります。

 

生後7か月~9か月

ハイハイ・つかまり立ち・伝い歩きなど動きが活発になるにつれて消費エネルギーも大きくなり、体重の増加は一日に10~20gとだんだんゆるやかになっていきます。

 

生後10~12ヶ月

平均で7~10gずつと、体重の増加はますますゆるやかになります。1歳の時点で、出産時の約3倍前後の体重になっている子がほとんどです。

 

WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、

 

  • 生後6カ月まで→1日の体重増加が18~30g(1カ月で500g増)
  • 生後6カ月以上→1日に5g増程度(1カ月で200g増)

 

を健康な赤ちゃんの体重増加の目安としています。

 

体重の増えない原因として考えられることは何?


先ほどのデータはあくまでも目安として言われているもので個人差や体質もありますが、大きく外れているとママは気になってしまいますよね。

ここでは、赤ちゃんの体重が増えない時に考えられる原因をいくつかあげてみます。

 

Case1:母乳・ミルクを飲む量

低月齢の赤ちゃんの体重が増えない時、ママが真っ先に心配になるのが「母乳が出ていないのでは?」ということ。ミルクと違って、どれだけ飲んだか毎回わからないので、不安になってしまいますよね。

一般的に言われるのは、母乳の量が足りないこと以外にも、十分出てはいるけれど、赤ちゃんがぐっすり眠るタイプで授乳間隔が空きすぎていることや、ママや赤ちゃんが授乳に慣れていない・陥没乳頭などの原因で十分に飲めていないことが理由だといわれます。

 

体重の増加以外で母乳が足りているかどうかを見分けるポイントは、

  • おしっこが1日5~6回以上出ている
  • おしっこの色が濃すぎない(赤ちゃんは大人より色が薄いことが多い)
  • 便秘をしていない

などがあります。

 

「おっぱいが張らなくなってきたから母乳が出なくなったのでは…?」と思うことがあるかもしれませんが、産後すぐは常におっぱいが張っている人も、だんだんと赤ちゃんが吸った時にだけお乳を製造するように変わってきますので、「張らない=作られない」わけではありません。

むしろ効率がよくなり、乳腺炎にもなりにくいので、良い傾向だと言われていますよ。

 

Case2:体重の増加に波がある

母子手帳に載っている「成長曲線」は、なだらかにカーブが描かれていますが、実際は急に上昇したり、横ばい状態になることは珍しくないと言われています。

 

これは、成長加速現象といい、ランダムに急激に体重が増えたり、身長が伸びたりするもの。どの赤ちゃんにも時々起こる状況です。

おばあちゃんなどから、「今は縦に伸びる時期だから」とアドバイスされたことがあるママもいるかもしれませんね。

 

Case3:運動量が多い

7~8カ月を過ぎると、体重の増加はゆるやかになる一方で、ハイハイやつかまり立ちなど赤ちゃんの動きはどんどん活発になっていきます。

また、周囲のモノへの興味がますます増える時期でもあるので、離乳食を少し食べただけで興味を失い脱走してしまう「遊び食べ」が始まる子も。

この時期に摂取カロリーと消費カロリーが逆転すると、体重が増えないどころか減る子も出てきます。

また、3か月くらいで寝返りしようとしたり手足をよく動かしたりする活発な子は、低月齢でも体重が増えにくいことがあります。

 

Case4:病気の影響

体重に関わる病気には、突発疹やウイルス性の胃腸炎など赤ちゃんが比較的よくかかるものと、頻度は低いものの早く治療を開始しないと後遺症などが心配されるものとがあります。

風邪や胃腸炎などの場合、嘔吐や下痢の影響で一時的に体重が増えなかったり、減ってしまったりすることがあります。この場合、しばらくするとまた体重は増え始めるので基本的に心配はいりません。

しかし、ごくまれではありますが、以下のような疾患で体重が増えない場合は要注意です。

 

・肥厚性幽門狭窄症

生後2~3週間から生後3ヶ月頃発症する病気で、胃の出口の筋肉が厚くなってミルクの通り道を塞いでしまうもの。

飲んだミルクが腸に行かないため噴水のようにミルクを吐くことが続き、比較的発見されやすい病気ですが、わずかに通り道が空いているような場合、「吐きやすい」「なぜか体重が増えない」と思われたまま発見が遅れる可能性があります。

 

・クレチン症(先天性甲状腺機能低下症) 

甲状腺ホルモンが不足する病気で、放置していると、身体・精神・知能ともに発育不全を起こしてしまいます。

体重が増えないこと以外には、黄疸が続く・便秘・舌が大きいことなどが特徴で、発症率は3000~5000人に1人と推定されています。

少しでも早く不足するホルモンを補うことで、成長しても問題なく生活できるようになるため、日本では、産後すぐにすべての新生児への検査(マススクリーニング)が行われています。

 

・ヒルシュシュプルング病

消化に必要な神経節細胞が生まれつき欠損している病気で、重い便秘や腸閉塞を引き起こします。難病に指定されていて、発症率は5000人に一人(推定)とされています。

母乳やミルクから栄養を吸収できないため、体重はもちろん、その他の発育にも悪影響を及ぼし、身長も伸びていかないのが特徴です。

その他、心臓の疾患や代謝異常などが原因で体重が増えない場合もありますが、そのほとんどは「体重が増えない」以前の段階で発見されています。ただし、万が一ということがありますので、おかしいと思った時は受診したり、乳幼児健診はきちんと受けておくことをおすすめします。

 

Case5:室温が低すぎる

大人でも、気温の下がる冬場は基礎代謝が上がり、夏よりエネルギー消費が多くなることが知られています。

赤ちゃんは体温が高く暑がりなイメージが強いですが、新生児は体温調節が未発達なため、寒いと簡単に体温が下がってしまいます。

体温の低下は自然界では命に関わるため、体はエネルギーをたくさん使って体温を維持しようとします。その結果、母乳やミルクで栄養を摂取しても、体作りに回せなくなってしまい、体重が増えていかなくなります。

 

Case6:離乳食の影響

5~6か月頃になると離乳食が始まる子も増えてきます。離乳食を始めたり、ステップアップした後は、母乳やミルクと比べて腹持ちが良いため、その後の授乳で飲む量が減ったり、食べたものの消化吸収が十分にできず栄養素が偏っていたりする場合があります。

トータルで一日の栄養吸収量が減るため、一時的に体重が減ったり横ばいになる可能性も。

 

まとめ


以前の記事でも書きましたが、赤ちゃんの身長・体重が成長曲線のライン内に入っていないから必ずしも異常であるとは言い切れませんし、入ることが目的・ゴールではありません。

ただ、統計的に、全体の3~97%の体重の赤ちゃんと、それ以外の赤ちゃんでは、隠れた病気などが見つかる確率が有意に高いので、より丁寧に見てあげる必要がある…ということなんです。

 

体重だけですべてが決まるのではなく、手足の動きや表情、首のすわりなどの運動機能と、ウンチやおしっこが順調かどうか、機嫌よく過ごしているかどうか…など、数多い判断材料の1つと思っておきましょう。

ただ、赤ちゃんの体質や体調は1人1人違います。

他の人が「おかしい」と言っても、その子なりに元気に成長している場合もありますし、反対に他の人が大丈夫だったからといって気になる部分を放っておき、後で病気が分かったとしたら大変ですので、気になる時はきちんと受診することをおすすめします。

 

診察の結果、異常がなく元気に過ごせているのであれば何よりです。体重に一喜一憂せず、笑顔で赤ちゃんとの時間を過ごしてあげて下さいね。

 

文/高谷みえこ

参考:WHO/世界保健機関  “Infant and young child feeding(乳幼児の栄養法)”

日本小児外科学会「ヒルシュスプルング病」

日本小児内科分泌学会「先天性甲状腺機能低下症」

高谷 みえこ

ライター歴15年。大手企業サイトなどで執筆を行う。得意分野は女性・主婦向けの記事。育児ポータルサイトでは新米ママのお悩み相談コーナーで回答者を務めた実績を持つ。