2018.09.12

歩行器が赤ちゃんにもたらすメリットとデメリット

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少し前に、もうすぐ赤ちゃんが生まれるママから、「歩行器をゆずってもらえることになったんだけど…赤ちゃんに良いのかな?」と相談を受けたことがあります。

そういえば、最近はバウンサーやハイ&ローチェアに赤ちゃんを座らせることが多く、「歩行器」ってひと昔前のアイテムな感じもしますよね。ちょっとインターネットで検索してみたところ…出てくるのは、介護やリハビリ用のものばかり!

歩行器は絶滅してしまうのでしょうか?減っている理由は?メリットはないの?と気になり、調べてみました。

 

歩行器ってそもそもどういうもの?


歩行器の歴史はかなり古く、15~16世紀のヨーロッパが発祥。日本にも明治時代から伝わり、団塊の世代がいっせいに出産育児を迎える「第二次ベビーブーム」の1970年代には、年間生産台数68万台とピークを迎えました。

 

いま子育て中のママ・パパの祖父母世代が若い頃には、どこの家庭にも歩行器がある風景が見られたといえます。

 

しかし、その一方で、歩行器使用による赤ちゃんの事故の報告も相次ぎ、海外でも毎年数件の死亡事故も起きていることから、カナダやアメリカでは現在販売が禁止されています。

こういった不幸な事故では正しい使用法を守っていなかった可能性が高いとはいえ、おじいちゃんおばあちゃんが「歩行器を買ってあげる」と言ってくれても少し心配になってしまいますよね。

 

現在、日本国内で販売されている歩行器で、SG(Safe Goods=安全な製品)マークのついている商品を見てみると、対象年齢や使用条件は次のようになっています。

  • おすわりのできる赤ちゃん(またはつかまり立ちのできる赤ちゃん)
  • 生後7ヵ月~15ヵ月まで
  • 体重9キロ~15キロ(製品により違いあり)まで
  • 上記の範囲内でも、体が小さくシートからすり抜けてしまう赤ちゃんは使用不可

 

また、使用上の注意としては、次のようなものがあります。

  • 使用中は目を離さない
  • 改造しない・部品等を取り付けない
  • 6年以上経過した製品は使用しない(年数はメーカーにより違いあり)
  • 1回の使用時間は20~30分、一日の使用時間は2時間以内
  • 自力で歩行器から出てしまうようになったら使用をやめる

 

こうして見るとやはり、安全に使うためには歩行器に座っている間は目を離さないことが必要だと分かりますね。

 

歩行器のデメリット


歩行器には、「目を離すと危険」という以外にも次のようなデメリットが懸念されています。

 

1人で歩くために必要な、骨格・筋肉・バランスの発達が妨げられる

リハビリなどで使われる歩行器のイメージから、「歩行器」は赤ちゃんが自力で歩く練習になると思ってしまいがちですが、実は、海外では「歩行器を長期間使用していた子どもたちの方が、使用していない子どもたちより歩行などの発達が遅れた」という研究報告が複数あげられています。

 

ハイハイは手足や体幹をバランスよく使い、肺の成長までも助けてくれると言われています。また、手の届かない場所のものが見たい・触りたいという好奇心や欲求から、赤ちゃんはつかまり立ちや伝い歩きを始め、歩くことにつながっていくとも言われますので、ハイハイの時期に歩行器でその欲求が叶ってしまうと、本来鍛えられるべき部分が育たない懸念があるそう。

また、便利だからと長時間歩行器を使っていたために、転んだ時にとっさに手が出なくなってしまった…と振り返って後悔しているママもいました。

 

赤ちゃんの身体に負担がかかる

腰がしっかりすわっていない赤ちゃんを、長時間おすわりの姿勢にさせておくと、背骨や腰への負担も心配です。

また、足の向きが固定されたまま、つま先で床をけって歩くことが続くと、股関節に負担がかかりやすいと言われています。

 

部屋との相性が悪いとあまり役に立たない

歩行器を部屋に置いてみると思ったより大きく、モノがたくさん置かれている部屋では、ほとんど移動できなかったりジャマになってしまうケースがあります。

反対に、広々としているのは良いのですが、勢いがついて窓や壁にぶつかるという場合も。

また、じゅうたんでは摩擦で動かなかったり、畳が切れる・フローリングが傷むといったデメリットや、「階下への音が気になる」という声もありました。

 

歩行器ユーザーママが語る「こんなメリットもあるよ!」


それでも、歩行器をじょうずに使っているというママもたくさんいます。メリットに感じている点や、おすすめの使い方などを聞いてみました。

 

「あまり歩行器で歩かせるつもりはないので、車輪をロックして、おもちゃ付きのイスとして使ってます。私の腰痛も改善したし子どもも喜んでいるので、あって良かったなと」

 

「つかまり立ちはするのですが、すぐ尻もちをついたり、後ろに転んで後頭部をぶつけてしまうんですよね。できるだけ側についていてあげたいけど、家事もあるので、どうしても手が離せない時は歩行器で見えるところで遊ばせています」

 

「いま、絶賛後追い中です。トイレまで泣きながらついてきてしまうのですが、さすがに抱っこして用を足すのは落ち着かないので、その間だけ歩行器に座らせ、トイレのドアを開けて顔が見えるようにしてます…」

 

「床の掃除中など、ハイハイでは衛生面が心配なので、歩行器に座って待っていてもらいます。よだれのついたおもちゃや歯固めも、付属のテーブルの上に置いただけなら口に入れても安心ですよね」

 

「上の子が、ブロックやビーズなど細かい遊びをしている時は、誤飲が心配なので、下の子は歩行器へ。大き目のおもちゃを渡すと、一緒に遊んでいる気分になれるみたいで、けっこうご機嫌ですよ」

 

「離乳食やミルクのあと、食後すぐはよくうつぶせになった拍子に吐いてしまっていました。でも、歩行器で15分ほど遊んでからベビーベッドに入ると、落ち着くようで吐くことが少なくなりました。」

 

「最近、離乳食の遊び食べが多くて、ちゃぶ台とイスではすぐ逃げてしまいます。車輪をロックした歩行器に座らせると、ある程度おとなしく食べてくれます。気分を変えて別の部屋で食べたいときも、歩行器はテーブル付きなので一式まとめて移動できるのが便利ですよ」

 

まとめ


ママたちの使い方を見ていると、歩行器とはいえ「歩く」ことにそれほど重点を置いていないのが印象的でした。

ハイチェアとダイニングテーブルを使っていない家庭では、赤ちゃん用のローテーブルとイスの役目に使ったり、おもちゃ付きの安全なスペースにしたりと、ロックして使うと活躍する場面も広がりそうですね。

 

使用上の注意を守るのは大前提ですが、「必需品」ではなくても、「便利グッズ」としてはアリかもしれないと思います。冒頭のママにも、そんな風にお伝えしましたよ。

 

文/高谷みえこ 

参考:乳幼児期における匍匐期間および歩行器使用と歩行開始以降の運動発達の関連性

コンビ「ラック・チェア・歩行器の安全な使い方」

 

高谷 みえこ

ライター歴15年。大手企業サイトなどで執筆を行う。得意分野は女性・主婦向けの記事。育児ポータルサイトでは新米ママのお悩み相談コーナーで回答者を務めた実績を持つ。