上の子をケアできない思い共有で前を向く

双子の世話をする茂呂さん
少しずつ歩くようになってきた双子の成長を喜ぶ。「2人のいない人生はもう考えられないです」

 

茜さんは双子が初めての子どもでしたが、2人目3人目などの出産でも、また別の悩みがあるようです。

 

中学1年生の長男と、小学4年生の双子の次男・三男を育てている埼玉県の母親は「上の子に我慢をさせているのがつらかった」と双子が生まれたばかりの時期を振り返ります。

 

「双子には、生まれるまで分からない大変さがあります。物理的に、大人の数が足りない。手があと2本くらい欲しいとずっと思っていました」

 

長男を育てた経験があっても双子育児の大変さに翻弄され、心身ともに余裕がなくなり、1日を終えるのに必死だったそうです。

 

双子にかかりきりになってしまうため、長男に手が回らず、3歳で遊びたい盛りだった長男の相手が難しかった上、長男が騒いでしまうと双子が起きてしまうのでピリピリしていたと言います。

 

「長男が凄く我慢しているのがこっちも分かるけど、ケアができませんでした。同じ思いをしてる人がいると知るだけで少し頑張れるので、そういう場が大切だと思います」と話し、現在は子育て支援員として多胎児を育てる家庭の支援をしているそうです。

 

 

今回は双子を育てる2つの家庭にお話を聞きました。みなさんはどう感じましたか? 具体的な話を聞くと、お母さんたちの切実な訴えが胸に響きます。 2人のお母さんが共通して話していたのは、同じ思いを持つ仲間と話すことの大切さと、多胎家庭に対する支援の必要性です。 「『多胎育児』のサポート充実を 奮闘する親たち」では、妊娠中から多胎児を育てる家庭を支えようとする取り組みを取材しています。

 

取材・文・写真/小西和香