■集中をジャマするものの正体と対処法

ここまで見てきたように、脳の構造からいっても、集中力を持続させるのはそもそも難しいもの。それに加えて、私たちの周りには、集中力を途切れさせるさまざまな要因があります。それらを取り除き、勉強する環境を整えることが大切です。 ・視覚的な刺激 学習を始める際、ゲームやマンガ、タブレットなど、お子さまの好きなものが身の回りにあると気が散るのは当然です。加えて、遊びの道具ではないにしても、机の上に不要なものがあったり、インテリアがあまりにもカラフルだったりすると、そのゴチャゴチャ感が視覚的な刺激となり、集中できない原因になります。 勉強するときには、勉強道具以外、机の上に何もないスッキリした状態で。また、インテリアは落ち着いたトーンでまとめるとよいですね。リビングで学習するときも、座る位置を工夫するなど、なるべく視覚的な刺激が入らないようにしましょう。 ・聴覚的な刺激 テレビの音声やにぎやかな話し声などが集中を妨げるのは当たり前ですが、あまりにも静か過ぎる環境だと、逆にそれが気になってしまうことも。環境音楽を流したり、窓を開けて自然の音を取り入れたりなど、心地よく耳に届く音を探してみましょう。 ・生理的欲求 眠いときやお腹がすいているときに、勉強に集中させるのは、難しいですよね。そんなときは無理をせず、仮眠をとったり先におやつを食べたりする方が結局は早道になります。 ただし、長過ぎる仮眠は逆効果。起きたあとに頭がぼんやりするだけでなく、夜の就寝時間にも響きます。また、おやつを食べるときには、できるだけ勉強するところとは場所を変えて。脳が勉強する場所を「おやつを食べる場所」と認識することを防ぎましょう。 ・心理的要因 何か心配事があったり、学校で嫌なことがあったりすると、そちらが気になって勉強が手につかなくなります。お子さまの様子をよく見て、モヤモヤがありそうなときにはまず話を聞き、心の中にある不安や不満を吐き出させるようにしましょう。話したことでスッキリし、気持ちが切り替えられることもありますよ。


■まとめ

長い時間、集中力がもたないのは、人間の本能や脳の構造として自然なこと。特に、人生経験が浅く、自分自身でコントロールできない子どもにとっては、難しいといえるでしょう。だからこそ、集中して勉強に取り組めない子どもにイライラするのではなく、大人が手を貸してあげる必要があります。 適宜休憩を取り入れながら、短いスパンの学習を積み上げたり、環境を整えたり。少しでも集中できるように、親子でいろいろ試してみてくださいね。