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子どもの発達障害、診断のメリットとデメリット

子育て

2019.11.15

子どもの発達障害については、いまだに正しい知識や理解が行きわたらず、検診や園・学校などで学ぶ機会も少ないのが現状です。

 

そのため、「この子はどうして他の子とこんなに違うのか」と思いつつ発達障害の可能性に思い至らなかったり、「この子は発達障害かも?」と思っても、心理的抵抗から受診をためらってしまったり…。

 

しかし、正しい診断により、その子に一番合った接し方や授業のやり方などを工夫することで、困った行動が減る可能性があり、何よりも子ども本人が非常に生きやすくなるという大きなメリットがあります。

 

しかしその反面デメリットもゼロではありません。

 

今回は、子どもの発達障害に診断がつくことで、どのようなメリット・デメリットがあるのか、診断後に予想されることもふまえて解説します。

 

子どもの発達障害、診断のデメリット


子どもの発達障害についての理解や支援体制は少しずつ前進していますが、まだまだ十分とは言えません。

 

2013年4月にNHKで放送された「ハートネットTV」の番組内で募集された、発達障害のあるお子さんのママ・パパからの書きこみを見ると、

 

「早期診断・早期支援といいますが、検診で受診だけすすめられて診断がついても、必要な支援を受ける場所が近くにありません」

 

といったコメントが多数寄せられています。

 

もしも、支援がなく次のようなデメリットだけがあるとしたら、診断を受ける意味が分からなくなってしまいますね。

 

【子供時代】発達障害の診断を受けるデメリット

幼児期から小学校にかけては、発達障害の診断を受けたと周囲に伝えると、次のような反応が起きることもあります。

 

  • 義両親や親戚などから「あなたの家系に問題がある」などと言われる
  • 「自閉症」などの症例名だけでこういう子だろうと決めつけられる
  • 障害者自体に偏見を持つ同級生の保護者などから悪く言われる
  • 同じく偏見からいじめられたりからかわれたりする
  • いったん特別支援学校や学級に入ってから普通学級に戻ることが難しい
  • 過剰診断の可能性がある

 

とはいえ、診断がなくとも、発達障害の子特有の言動で周囲とトラブルを起こしたりからかわれたりする可能性はありますので、診断さえなければ上記の問題が起きないわけではありません。

 

また、診断を受けることと、それを周囲にオープンに伝える(=カミングアウト)かどうかは別の問題。

 

診断は受け、公表はせずに対策を考えるという手もあります。

 

【成人・社会人】発達障害の診断名を明らかにするデメリット

就職後には、おもに理解不足から次のような問題も予想されます。

 

  • 発達障害を単なる言い訳や甘えに使っていると思われる
  • クローズ就労(職場に障害を公開せず働くこと)ができなくなる
  • 生命保険に加入できない可能性
  • 結婚を反対される可能性

 

生命保険に関しては、発達障害そのものが理由で加入を断られるとは限らずケースバイケースですが、発達障害のためにいじめやパワハラに遭うなどしてうつなどの精神疾患を発症した状態では加入できないケースが多いとされています。

 

子どもの発達障害、診断のメリット

一方、専門医を受診した結果、発達障害の診断がついた場合は、次のようなメリットもあります。

 

  • 「親の育て方が悪い」や「本人の努力不足」ではないことが分かる
  • その子の特性に合わせた対策を専門家と共に考えて周囲で共有できる
  • その子にとって必要な支援が受けられる
  • 適切な環境を整えることで、いじめなどによる二次障害を予防できる

 

発達障害のある子は、脳の発達の特性により、他の子が当たり前にできることの一部がまったくできなかったり、何倍も努力してやっとできたりします。

 

診断の結果、本人が少しでも生きやすくなり、適切な行動を取れるようなトレーニングとサポート体制が整えば、それは非常に大きなメリットといえるでしょう。

 

発達障害の診断がつくまでの流れ


発達障害の診察を受けるには、小児科または精神科の医師の診察が必要です。

 

学校や園で相談したり、自治体の育児関係の窓口に問い合わせれば、最寄りの受診機関を教えてもらえます。

 

ただ、ADHD(注意欠陥多動性障害)やASD(自閉症スペクトラム)には、実は現在まだ確立された検査の方法がありません。

 

一般的に、ADHDに関してはアメリカ精神医学会の発刊する「精神疾患の診断と統計マニュアル」や「厚生労働省研究班ADHD診断ガイドライン」などが基準になっています。

 

MRIや血液検査を行う医療機関もありますが、基本的には別の病気も疑われるような場合に鑑別するため行う検査だとのこと。

 

ASDでは「自閉症スペクトラムの評価尺度(M-CHAT)」などが用いられます。

 

しかし、発達障害については脳波やレントゲン画像など根拠となる生物学的な検査所見(バイオマーカー)はなく、いずれもチェックリストなどで普段の行動や生活面の特徴から診断をつけるのが最終的な診断の方法とされています。

 

「精神障害者保健福祉手帳」は交付される?


診断の結果、発達障害があると診断されれば「精神障害者保健福祉手帳」を受け取ることができます(知的障害を伴う場合は、「療育手帳」が交付されます)。

 

ただし、自治体によって交付の条件には基準があり、障がいの程度や二次障害による精神症状の有無などによっては交付されないこともあります。

 

精神障害者保健福祉手帳を持つことで受けられる支援には次のようなものがあります。

 

  • 保育費・教育費の援助
  • 特別支援学級や支援学校の利用
  • 所得税や住民税など各種税金の減免
  • 公共交通機関の運賃割引や減免

 

また、子どもが成長して独立する時期になれば、次のような支援も受けられます。

 

  • 精神障害者の雇用枠(オープン枠)への応募
  • 精神障害者居宅生活支援事業
  • 携帯電話料金の割引
  • 障害者年金の需給

 

発達障害の診断を受けていても、自分に適した仕事の進め方や生活の工夫を身につけて、しっかりとお金を稼いで自活できる子もたくさんいます。

 

しかし、万が一働けなくなった時に、上記のような支援があるのはやはり安心。

 

診断や手帳を受けるかどうか迷ったら、これらの支援についても視野に入れ、じっくりと検討するのがベターだと思います。

 

おわりに


親はほとんどの場合子どもより先にこの世を去ります。

 

その前に、子どもが少しでも安心して生きていけるための方法を見つけておきたい。

 

それは、発達障害の有無に関わらず、すべてのママ・パパが思うことではないでしょうか。

 

学校でも職場でも「人並み」が重視される日本社会。

 

今回の記事が、その中で生きづらさを感じている発達障害を持つ子・傾向のある子たちと親御さんの参考になれば幸いです。

 

関連記事:子供の発達障がいはいつ分かるもの?赤ちゃん時代から何らかのサインも

 

文/高谷みえこ

参照/熊本大学教育学部「発達障害児における障害告知とカミングアウトの実態調査」

厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト/精神障害者保健福祉手帳」

NHKハートネット「発達障害・子育て中のお母さん・お父さんの声(2013年4月特集)」

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