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4月から「妊婦加算」完全廃止に「あたりまえ」の声…今後はどうなる?

出産

2020.04.08

2020年4月1日から、妊婦さんが医療機関を受診すると一般より多い金額を支払わなくてはならない「妊婦加算」の制度が、正式に廃止となりました。

 

といってもこの制度には当初から疑問の声が多く、2019年1月から凍結となっていたため、実際に妊婦さんが加算分を支払っていたのは1年足らずの期間でした。

 

ニュースなどで「妊婦加算を廃止」というのを見て「どういうこと?」と疑問に思っている妊婦さんのため、妊婦加算の内容や問題点、廃止までのいきさつ、今後どうなるのか…などを解説します。

 

そもそも「妊婦加算」とは?

妊娠中は赤ちゃんへの影響から飲めない薬が多く、ママの体調も不安定で、慎重な治療が求められることがあります。

 

一般の病院やクリニックの中には「何かあっては困る」と懸念して、妊婦さんが診察にきても「うちでは診られません」と断ったり、産婦人科に行くようすすめられたりするケースがありました。

 

そこで、

 

  • 妊娠中の患者を診察する医療機関に診療報酬を上乗せして、より丁寧な診察・治療ができるようにする
  • 妊婦さんがどこでも安心して診察を受けられる
  • 診療を断られた妊婦さんが産婦人科へ来なくてもすむようにし、産婦人科の負担を減らす

 

などを実現するために、2018年4月から診療報酬に追加されたのが「妊婦加算」という項目でした。

 

妊娠に配慮した診察を行うかわりに、医療機関へは初診750円、再診380円の報酬が上乗せされ、患者(妊婦さん)は、原則、本人3割負担でそれぞれ約230円・約110円多く支払う形に。

 

ほかに診療報酬が上乗せされる例としては、認知症・いくつもの病気で薬を飲んでいる(多剤投与)などがあります。

 

なかでも身近な加算の例は「乳幼児加算」です。

 

6歳未満の子どもへは治療や投薬をより慎重におこなう必要があるため、その対価として診療費を数十円~数百円多く(※時間帯により異なる)支払わなくてはなりません。

 

「え、そうなの?知らなかった」

 

という人が多いと思いますが、それは現在、各自治体に「乳幼児医療費助成制度」制度があり、赤ちゃんや子どもは無料または低額で診察を受けられるから。

 

妊婦加算にはそのような助成はなく、差額分は患者が負担する形になっていました。

 

世間の「なぜ?」の声で凍結→再開検討→廃止へ

「妊婦さんをどこの医療機関でも安全・丁寧に診察できるように」という、妊婦加算の発想そのものは悪くなかったのかもしれませんが、実際に導入されると世間からはさまざまな疑問の声が上がりました。

 

「コンタクトレンズを作るために視力を測っただけなのに、なぜ妊婦だからって多く請求されるの?」

 

「何回か通院しているうちにお腹が大きくなってきて、受付で妊娠中かと聞かれ、はいと答えると、過去にさかのぼって数千円を払うように言われた」

 

などの経験をした人も。

 

妊婦加算の考え方は、本来、妊娠中だと知った上でそれに配慮した診療をおこなうことに対する報酬なので、医師が妊娠を知らなかったのであれば、当然報酬を支払う必要はないわけです。

 

しかし、周知や理解が不十分な医療機関では、妊婦であれば診療内容に関係なく一律で金額を上乗せしているケースもありました。

 

また、「多く支払わないといけないんだったら…」と、妊娠中に調子が悪くても受診を控えたり、通院の頻度を減らす人が出てくるなどの問題も起こり始めました。

 

「妊娠するとこのようなデメリットがあるのは、少子化対策に逆行しているのではないか」と社会的に批判が高まり、2019年の1月「当面、妊婦加算は凍結する」と発表されました。

 

その後再開が検討されたものの、結局合意に至らず、2020年4月1日から正式に廃止されることとなりました。

 

今後はどうなるの?

2020年4月からは、妊娠に限らず、通常よりも配慮が必要な患者に関しては、かかりつけの病院と別の症状で受診した先の病院のあいだで、診察結果や今後の治療方針といった情報を共有することが推奨されます。

 

例えば、産婦人科に通院中に腰痛が悪化して治療が必要になった場合、産婦人科から整形外科に紹介状を書き、妊婦さんであることを伝えてもらいます。

 

そして整形外科では、お腹を圧迫しない治療法や赤ちゃんに影響のない痛み止め・湿布薬などを選んで処方。その情報を産婦人科にも報告します。

 

この時に診療報酬1500円が上乗せされ、患者の本人負担は1~3割(150円~450円)となります。

 

もちろん自己負担金は発生しますが、妊娠中に必要な配慮やケアをきちんと受けられる場合に限られ、廃止前のように「他の人と治療内容がまったく同じなのに妊娠中というだけで無条件に金額上乗せ」ということは起こらなくなります。

 

おわりに

妊娠中の体調不良は、一時的な不調で心配ないものか、赤ちゃんの成長に関わる重大なものか…診察を受けてみないと分からないこともあり、不安が大きいもの。

 

限られた予算ですべてをまかなうことは難しい面もありますが、乳幼児医療費助成のように妊婦さんが安心して近くの医療機関を受診できる仕組みができれば一番ですね。

 

文/高谷みえこ

参考/厚生労働省「<参考>妊婦加算の概要/妊婦加算に係る議論の経緯」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000460129.pdf

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