2020.12.24
常識と思われている健康知識の中には、逆に健康を害するものも含まれています。たとえば、カルシウム。誤解されている栄養素の一つです。正しいカルシウムの摂取方法と子どものためのサプリの使い方を、ひめのともみクリニック院長の姫野友美先生に聞きました。
骨を強くしたくて「牛乳」を飲むのは逆効果?
「健康維持のために牛乳やヨーグルトなどの乳製品をよく飲んだり、食べたりする女性は多いのですが、乳製品だけを摂取するのは実は避けたい行為です」と姫野先生は指摘します。
牛乳やヨーグルトはカルシウムを多く含む食品として知られています。しかし乳製品だけを食べても、カルシウムはあまり吸収されません。かえって骨を弱め、骨粗しょう症になることがわかっています。
「世界的なデータを見ても乳製品をとっている国のほうが、実は骨粗しょう症が多いというデータが出ています。牛乳を飲めば飲むほど骨が弱くなるという皮肉な現象です」
カルシウムはマグネシウムとセットで
このような現象はどうして起こるのでしょうか。それはカルシウムの性質によります。強い骨を作るには、カルシウムだけでなく、マグネシウムやリンなどのミネラルも同時にとることが必要です。しかし、牛乳にはマグネシウムが不足しています。さらに、牛乳に含まれるタンパク質やリンは血液を酸性にし、カルシウムを流出させます。その結果、骨粗しょう症になりやすくなるのです。
「これを防ぐためには、マグネシウムとカルシウムを1対1の割合で摂取することです。そうするとカルシウムがきちんと吸収され、骨が強くなります」
幼児から高校生まで、成長期の子どものいる家庭で、子どもの身長を伸ばそうと牛乳を日常的に飲ませているケースがあります。しかし実はそれも危険なのです。
「イライラしたらカルシウム」は本当でした
カルシウムは骨を作るのはもちろん、神経を安定させる働きもあるため、不足すると怒りや不安が増大します。そのストレスから心身の負担をカバーするために、骨や筋肉に蓄えていたカルシウムを消費してカルシウム不足が進行するため、イライラがさらに悪化する悪循環に。
足がつりやすい、眠るまでに時間がかかる、手足のしびれが起きる場合も、カルシウム不足のときに現れやすい症状。これらの症状が出たらカルシウム&マグネシウムを積極的に摂取しましょう。
マグネシウムを食事で摂るなら豆腐や塩で
乳製品をよく摂取している場合はマグネシウムをサプリメントで補充するのが効率的ですが、実は食品単体でカルシムとマグネシウムのバランスのよい食品があります。
「それは大豆製品なんです。なかでも豆腐は『にがり』を使って作るため、マグネシウムが豊富に含まれています。かつて日本では豆腐をたくさん食べていたためマグネシウム不足はなかったのですが、最近では豆腐の消費が減り乳製品に変わったことで状況が変わってきたんです」と姫野先生はいいます。
また、マグネシウム摂取量を増やす方法としては、普段使う塩をマグネシウム含有量の多いタイプに換えたり、牛乳を豆乳に置き換えたりといった工夫もできます。