2019.04.10
日本の子どもたちに多いと言われているのが、「睡眠不足」です。夜遅くまで起きていることで睡眠時間が足りなくなれば、さまざまな活動に支障をきたしてしまいます。
成長途中の子どもたちにとって、これは由々しき問題でもあります。脳や学力とも密接に関わっていると言われていますから、早期に改善をしていきたいところです。
子どもの年齢と必要とされる睡眠時間、子どもの睡眠不足を解消するための方法について解説していきます。
■子どもの年齢別、推奨睡眠時間
心も体も、そして脳も大きく発達させていく子ども時代は、質の高い睡眠を、十分に確保することが大切だと言われています。
米国睡眠医学会によると、子どもの年齢別推奨睡眠時間は以下のとおりです。
生後4カ月~1歳未満……1日12時間~16時間
1歳~2歳ごろまで:1日11時間~14時間
3歳~5歳ごろまで:1日10時間~13時間
6歳~12歳ごろまで:1日9~12時間
13~18歳ごろまで:1日8~10時間
これらの数字は、「1日あたり」の合計睡眠時間となります。まだ幼い子どもの場合、夜の睡眠時間と昼寝時間を合計して計算することになります。
幼い頃は「昼寝」の習慣で、それなりに睡眠時間の確保ができていたとしても、幼稚園や小学校に通うようになると、それも難しくなってしまいます。
また習い事や日々の学習、余暇時間などで、「どんどん眠るのが遅くなってしまう……」なんてこともあるのかもしれませんね。
しかし子どもが睡眠不足に陥ったとき、生じるデメリットは決して少なくないのです。
■子どもの睡眠不足がもたらすデメリットとは?
子どもが睡眠不足に陥ると、以下のようなリスクが高まると言われています。
・肥満
・学力低下
・怒りっぽくなる
・免疫力が低下し、病気にかかりやすくなる
・うつ病の発症
子どもが多少睡眠不足に陥ったところで、すぐに生命をおびやかすような事態にはならないでしょう。しかしその影響は、じわじわと子どもの生活に影を落とし始めます。
体形や学力にまで影響を与えるなんて……と驚く方も多いかもしれません。
常にイライラしていると、友人関係にも悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。健康的で健やかな成長を妨げてしまうのが、「子どもの睡眠不足がもたらす弊害」だと言えます。
■習慣は、早めに直すことがコツ!
子どもの睡眠習慣は、ごく幼い時期に決まってしまうと言われています。幼い頃の就寝時間が遅かった子どもは、成長してもその傾向を引き継ぎやすいことがわかっています。
ごく幼い時期には、「昼寝」で睡眠をカバーすることができるかもしれませんが、学校に通うようになれば、それは難しくなってしまうでしょう。「昼寝」に頼らず、できるだけ夜の睡眠時間をしっかりと確保できるよう、生活リズムを整えておきましょう。
また子どもの素直さの面から考えてみても、幼い時期の方が、習慣の見直しはしやすいものです。子どもに必要な睡眠時間を確認した上で、家族の生活スタイルを見直してみてください。
■睡眠不足解消のコツ3つ
では、すでに子どもが睡眠不足に陥ってしまっている場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。3つのコツを紹介するので、ぜひ実践してみてください。
★「早起き」からスタートする
睡眠不足解消のため、まず「早寝」からスタートしようとする方は多いのではないでしょうか。しかし実は、「早起き」の方からリズムを整えた方が、効率が良いのです。
早起きをしたら、カーテンを開けて、しっかりと朝日を浴びましょう。これにより、体内時計を整える効果が期待できます。夜になると、自然に眠くなるサイクルが整うでしょう。
子どもに早起きさせたいなら、朝に楽しいイベントを持ってくるのがオススメです。子どもの好物を用意したり、ちょっとした遊び時間を取り入れてみたり……工夫してみてください。
★夜寝る前の環境を整える
せっかく早起きをしても、就寝前の環境が整っていない場合、体は覚醒してしまいます。「睡眠の準備が整っていない」と脳が判断すれば、気持ちよく眠ることは難しくなってしまいます。
就寝の1時間ほど前から、部屋の照明を薄暗くします。またテレビやスマートフォンは、脳を覚醒させるもの。使用は控えておきましょう。子どもの心を安心させる「入眠儀式」を取り入れるのもオススメです。
★可能であれば、親も一緒に眠ってしまう
仕事の関係で難しいかもしれませんが、もし可能であれば「親も一緒に眠ってしまう」というのも効果的な方法です。
親が眠ってしまえば、子どもが「寝室の外の明かりや人の気配」に悩まされることもありません。安心して眠りにつけることでしょう。
大人の活動は、「朝活」として行うのがオススメです。家事や仕事などは、さわやかな朝の空気の中で、誰にも邪魔されずに行うと気分転換になりますよ。
■まとめ
子どもの睡眠不足は、非常に大きな社会問題となっています。子どもの心と体、そして脳を健やかに発展させていくためには、親の働きかけが不可欠です。子どもが適切な睡眠時間を確保できるよう、子どもの生活ペースを、上手に誘導してみてください。
「子どもが最近攻撃的で……」「しっかりと勉強させているはずなのに、なかなか成績が伸びない!」なんてときには、実は睡眠不足が悪影響を与えている可能性もあります。
生活習慣の見直しからスタートしてみることで、より良い方向へと導いていけるのかもしれませんね。