便秘対策の食事は、何でもたくさん食べること

 実際に便秘になってしまっている場合は、どうしたらいいのでしょう? 

「便秘薬を使うのは、最後の手段と考えてください。まずは食事改善、そして水分をしっかりとることが大事。

もっとも効果的なのは、ごはん、パン、肉・魚・野菜のおかず、汁物などをまんべんなく、おなかいっぱい食べさせてあげること。

これにつきます」(金子先生)

 

 

iStock.com/monzenmachi

 

便秘解消のためにと、繊維質豊富な野菜ばかりをたくさん食べさせようとする人もいますが、それでは便秘が悪化しかねません。 野菜中心の食事をとっていると、炭水化物中心の食事に比べて便のかさが少なくなり〝直腸に便がしっかりたまる→排便したくなる〝という正常な反応が起きにくくなるためです。 油ものを避けるのもよくないそう。便がほどよいやわらかさにならず、腸内できれいにまとまらなくなります。まずは炭水化物や肉、魚をとらせ、そのうえで野菜も食べさせることが大切。お水もしっかり飲ませます。 そうすると便がやわらかくなり、スムーズに出せる体になってきます。

 

食事改善でダメなら綿棒浣腸、そのうえで薬を検討

 

多くの子どもたちは、食事改善と適切なトイレトレーニングで、健康な排便習慣を身につけていきます。 ただなかには、食事を変えてもまるで出ないという子もいます。その場合は、まず浣腸を試してみましょう。

 

「浣腸を続けていれば、多くの子はそれだけで治っていきます。下剤を使わなくてはならないのは、それでもダメな場合だけ。

便秘の子の腸内には、硬い便がたくさんたまっていますから、その状態で下剤を使うのもよくないんです。

〝おなかが痛い、でも出せない〟という状態で苦しむことになりますから。

どうしても薬が必要なときにも、まずはたまったものを浣腸で出しきってからにしてください。

浣腸をいやがる子どももいますから、一時的に下剤を併用することもあります。

でも浣腸がいちばん効果的で、安全な方法であることは、覚えておいてほしいですね」(金子先生)

 

こうしたケアをせずにほうっておくと、カチカチの便がいつも大量にたまっていることで、腸が広がってしまいます。 すると、自力で出したくても出せない体質に。こうなると、数か月から数年単位の治療が必要となります。 まずは食事改善と浣腸を試してみて、それでも出なければ、小児科で下剤を処方してもらいましょう。 〝食べて出す〝という正常なサイクルを身につけるためにも、薬以外の手段をすべて試し、それでもダメな場合に薬を使うのが理想的です。

 

 

文:川西雅子